国内初開催のDuolingoファンイベント潜入!681日連続ユーザーとして楽しんできた
ASCII.jp / 2023年10月20日 10時0分
語学学習アプリとして世界的な人気を誇る「Duolingo(デュオリンゴ)」のファンイベント「Duocon Watch Party, JAPAN」が開催された。都内某所に集まった50人のファンたちは、同社のイベント「Duocon 2023」を視聴しつつ、Duolingoメンバーとの質疑応答やファン同士の交流も楽しんだ。ファンも一人として、イベントに潜入してきたのでレポートする。
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Duolingoファンがリアルで集結 Duoconをみんなで視聴する
私がDuolingoを始めたのは、約2年前。コロナ禍でずっと在宅勤務になっていたことから、なにか新しいことを始めようと思い、たまたま目にしたDuolingoで中国語を学ぶことにした。始めてみると、ゲームっぽくて楽しいし、1回のレッスンが短時間で終了するので、負担なく続けられた。かわいいキャラクターから急かされるので、ついつい続けてしまい、昨日連続681日を超えたところ。年始から課金も始め、家族プランで息子は英語、かみさんはフランス語をやっている。家族でどハマりというわけだ。
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先日DuolingoのAI活用について書いたこともあり(関連記事:最良の教師を目指してきたDuolingoのAI活用 GPT-4で語学学習は新時代へ)、PR会社から「『Duocon Watch Party, JAPAN』というリアルイベントがあるので取材に来ませんか?」とお誘いを受けた。なにやらファンを集めて「Duocon 2023」という同社のグローバルイベントを視聴しつつ、Duolingo本社の開発担当に質問したり、ミニゲームでお互いに交流しようという内容。ファンとしては面白くないわけがないということで、一も二もなく参加することにした。
時刻はすっかり日も暮れた18時過ぎ。表参道から近い洒脱なイベントスペースに集まったのは抽選で集まったDuolingoファンたちだ。まさに老若男女問わずという感じだが、割合としては女性が多い。定時となり、すっかり席も埋まり、連続530日の記録を持つDuolingoユーザーである女優の中田クルミさんのMCでいよいよイベントが開始した。
中田さんが50名近い参加者に聞いてみると、英語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語など幅広い言語を学習している。ちなみにDuolingoは現在42言語をサポートしている。続いてコース開発を手がけるラーニングデザインエンジニアのジェシー・ベッカー氏、カントリーマネージャーの水谷氏が挨拶した。
水谷氏は、「Duolingoが日本進出してすでに数年が経っていますが、ずっとこうした学習者同士が交流する場や語学学習に関するコミュニケーションする場を持ちたいと思ったので、このようなWatch Partyを実現できてうれしい」と参加者たちとともに乾杯し、Duocon 2023の視聴からスタートした。
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音楽を学べるDuolingo Musicが発表 なぜ「音楽」なのか?
最初に登壇したのはDuolingo CTOであり、共同創業者のセヴリン・ハッカー氏。11年前、CEOのルイス氏と2人でDuolingoを立ち上げたとき、立ち上げたミッションは「Develop the best education in the world and make it universally available.(最高の教育を開発し、普遍的に利用できるようにすること)だ。そこで、一番最初に選んだのが言語で、その理由は「経済的な機会とつながりを生み出すもっとも強力なツールだから」だという。
現在、語学学習法としてもっとも人気のあるDuolingo。セヴリン氏は、そのユニークなアプローチを「ひとくちサイズのレッスン、ゲーム化された機能、インタラクティブな問題」と表現する。科学的に効果が実証されたこのDuolingoメソッドは、多くの人に愛され、この方法でさまざまなことを学びたいという声をこれまで受けてきた。「デートのため」「子どもと話すため」「地理のため」「金融のため」……。確かにメソッドであるDuolingoの対象は言語学習だけにとどまらない。「私たちの使命はつねに、言語だけでなく、教育についてだからです」(セヴリン氏)
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こうして生まれたのが音楽を学ぶための「Duolingo Music」と数学を学ぶための「Duolingo Math」だ。まさに言語学習のDuolingoのメソッドで楽譜の読み方を学び、ピアノで演奏できるようになり、暗算力など実社会の数学スキルを身につけることができる。1レッスン受けるだけで、連続記録を更新でき、モチベーションを維持するやり方も語学と同じだ。
その後、新科目のエンジニアリングをしているヴァネッサ・ジェイムソン氏はDuolingo Musicのコンセプトや開発の背景を説明する。Duolingoのメソッドでどんな教科を教えたいか?という質問に対して、彼女が提案したのが「音楽」だ。ジェイムソン氏には、小学校のときにサックスを習い始めたことをきっかけに、内気で不安な性格が解消され、友達ができたという経験があった。音楽に関するこうした個人的な背景は多くの人が持ち合わせている上、音楽を学ぶというのは、最高の教育を普遍的な利用できるというDuolingoのミッションにも合っており、音楽を学ぶことが読解力、言語能力、リスニング能力、数学能力を向上させることもできるからだという。
Duolingo MusicはDuolingoの実践を重んじる「learn-by-doing」の教育スタイルにも合っているという。ビデオやテキストを見る代わりに、画面上のキーボードを使ってEの音を見つけたり、五線譜上で確認することが可能だ。「音楽学習のもっとも楽しい側面は、新しく取得したスキルを応用して、曲を演奏することです」ということで、さまざまな曲の伴奏もでき、正しく演奏できるときちんとフィードバックを得ることもできるという。今回は発表だけだったので、本格的なラウンチが楽しみだ。
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文法や活用法ではなく、脳にパターンを見つけさせるDuolingoメソッド
続いて、学習・カリキュラム担当のボザーナ・パジャック氏がDuolingoメソッドの設計思想について説明してくれた。
冒頭、パジャック氏は、「外国語を学ぶとき、文法の説明や活用表、長い単語リストの暗記などは、どれも重要ではない」とコメントする。初等教育の段階で単語と文法漬けだったわれわれからすると「えっ?」と思うが、確かにDuolingoで印象的なのは、文法を教わるのではなく、まずはイラストで単語を覚え、ゲームのように単語を並べて文を作っていく実践型レッスンだ。これを繰り返すと、パターンが認識されるので、確かにルールを考えなくとも文章を組み合わせることができる。
たとえば、複数のイラストを見て、「Dax」という単語がどのような意味かを考えてみる。1枚目は犬のイラスト、2枚目は3匹の異なる犬、3枚目は黒ぶちの犬のイラスト。この一連のイラストが示すシナリオから、われわれはDax=ダルメシアンの意味であることを導く。パジャック氏は、「これはまさに、私たちが子どもの頃に言語を覚えるときと同じだ。私たちは活用表や文法を暗記したわけではない。聞き、観察し、脳にパターンを見つけさせることで学んだのだ。そして、あなたはそれをすべて完全に自動的に行なった」と指摘する。
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子どもが「eat」の過去形を「ate」ではなく「eated」と言ってしまうのは、例外を覚えるまで、自身が認識したパターンを全面的に適用してしまうからだという。「Duolingoメソッドは私たち誰でも持っている、世界と関わりながら学ぶという自然な能力を高めるものです」とパジャック氏は指摘する。
しかし、シンプルで直感的なDuolingoメソッドを構築するのは、複雑な作業の繰り返しただという。コースで取り上げたいコンセプトをひとくちサイズのレッスンに収まるように分割し、このレッスンをこなしていくうちに、全体のコンセプトを学べるように設計する。パジャック氏は、「性と数の一致」というスペイン語の大事な概念を理解するためのDuolingoのレッスン例を披露。「レッスンを受けて、その体験を楽しむ。しかし、その背後で、あなたの脳は多くの学習を行なっているのです」とパジャック氏は説明する。
より高度な英語学習コースが導入 とにかく続けて
続いて、今回来日したラーニングディレクターのジェシー・ベッカー氏の登壇パート。今までよりも高度な英語学習を可能にする新しい「没入型エキササイズ」について説明した。
2022年のDuolingo言語レポートによると、英語は131カ国で学ぶべき言語の1位または2位を占めているという。また、利用機会の多い英語は学習者がもともとかなり勉強しているため、高度な内容を学ぶ準備ができているという。こうした学習者は、翻訳を必要とせず、職業上・学問上の目標を持っている人も多く、英語の上達自体が仕事や教育の機会拡大に直結するという。
DuolingoではCEFR(ヨーロッパ言語共通参照フレームワーク)と呼ばれる国際基準で言語習得レベルを測っているが、現在開発している没入型エキササイズは中級レベルのCERFのB1とB2をカバーする。これらは言語の自立した使用者になれるレベルで、流ちょうに話すことができるだけでなく、文化や政治的な問題、抽象的な話題についても話せるようにデザインされるという。
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このコースはすべて英語で行なわれ、翻訳は一切ない。そのため、英語だけで新しい語彙を覚え、トリッキーな文法もカバーされる。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの主要スキルが徹底的に強化され、似たような音の違いや文章の完全な理解が必要になる。また、学習者が実際に言葉を発することができる新しいタイプの問題も取り入れられ、長文読解での問題やライティングの練習も可能になるとのこと。ロシア語、日本語、中国語のユーザー向けにはすでにラウンチされ、近日中には英語を教える20以上のコースに導入されていく予定だという。
最後に登壇したCEO・共同創業者であるルイス・ボン・アン氏は、5回目のDuoconにして初めて学習者としての自らを語った。学習している言語は、ポルトガル語、フランス語、アラビア語、ドイツ語、日本語、スウェーデン語の6つだ。最近の日課は約20分で、毎日5つのレッスンをしているという。フランス語は2レッスンで、一番上達している言語を学んでいるという。加えて、数学と音楽のレッスン。連続記録は2874日(!)だ。
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外国語を学ぶのに限らず、独学で学ぶためにもっとも難しいのはモチベーションを維持することだとアン氏は語る。そのため、Duolingoは「より楽しく、よりソーシャルなもの」にするために一生懸命取り組んでいるという。アン氏は最新のアップデートをいくつか紹介する。
Androidアプリの新機能である「Adventures」では、ゲームをすることで、インタラクティブに外国語を練習できる。また、アバタークリエイトでは、プロフィール画像も多くのカスタマイズが可能になる。さらにDuolingoからソーシャルフィードにコメントできるようになるという。これまでのカンファレンスをラップアップしたアン氏は、「どうか今日もDuolingoのレッスンをしてください」と語り、イベントを締めた。 なお、Duocon 2023はYouTubeでも視聴できる。今回視聴した以外のセッションも面白いので、ぜひDuolingoファンは見ていただきたい。
ビンゴでファン同士が交流 言語同士のグループで話も盛り上がる
濃厚な30分の視聴を終えた後は、ベッカー氏や水谷氏と質疑応答の時間に入る。会場からは発表されたばかりのDuolingo Musicや、AIを活用したDuolingo MAXの国内展開に関する質問のほか、アプリ内でユーザー同士が会話できるフォーラムが閉鎖された理由、複数言語を効率的に学習するコツなど、こちらも濃厚な質疑応答が行なわれた。
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Duolingoユーザーが増えたタイミングを聞かれたベッカー氏は、「コロナ期間はかなり増えた。コロナ禍が終わってもまだ続いている」と説明。その他、「イカゲーム」のブームとともに韓国語を学ぶ人が増えたり、ウクライナ戦争の後にウクライナ語を学ぶ人が増えたり、流行や国際情勢にも左右されるようだ。学習ペースについてベッカー氏は、「とにかくあせらないでいい。自分のペースで進め、習慣づけることが重要」とアドバイスしてくれた。
イベントの後半は、たくさんのユーザーに話しかけることで、マスが開くというビンゴゲームが行なわれた。時限で豪華なDuolingoグッズも賞品だったため、会場は大盛り上がり。
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せっかくなので何人かにDuolingoを始めた理由やモチベーションを聞いてみたところ、「オペラが好きで、フランス語、イタリア語、ドイツ語を学んでいる」(60代女性)、「北欧が好きでフィンランド語を勉強している。連続記録が切れたのが悔しくて、あえて(ミスの回数の決まっている)無料プランで続けている」(40代女性)、「家族が英語をやっていたので、別の言語ということで中国語を始めた」(30代男性)などの答えが返ってきた。
また、言語ごとでグループになって立ち話もできたため、ファンとの交流が一気に加速したようだった。実際、私も中国語のグループに参加させてもらったが、同じコースを学んでいるからこその会話や悩みを共有できてとても有意義だった。「結局、文法の本は買ってしまった」「Duolingoの英語で中国語を学ぶと勉強になる」「『魚は水を飲みますか?』の例文なんやねん(笑)」などなど。1000日超えし、コースを終えた人からも、どうなるのかも教えてもらった。そのままガチ中華料理屋に行って、みんなで中国語を試したいような一体感と高揚感があった。
2時間半近くのイベントだったが、ファン同士でのイベントをパブリックビューイングするのがこんなに楽しいと思わなかった。Duoとの記念撮影コーナーやファン同士が自然とつながる仕組みも用意され、ファンイベントとして非常に有意義だった。会場の雰囲気もよく、参加者の満足度も高かったと思われる。
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