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世界最大の旅客機「フライングホヌ」3号機が念願のハワイに着陸した日

ASCII.jp / 2023年10月25日 7時30分

手前から2号機、1号機、3号機と並んだANAのA380「フライングホヌ」

 みなさんは「フライングホヌ」と呼ばれる飛行機があるのをご存じでしょうか。10月20日、ANAは同社が保有するエアバス A380の3号機でのハワイ便運航をスタートしました。ANAのA380はハワイ路線限定で投入されていて、ウミガメをモチーフとした特別塗装がされています。しかも1号機はハワイの空をイメージしたANAブルー、2号機はハワイの海をイメージしたエメラルドグリーンで、3号機はハワイの夕日をイメージしたサンセットオレンジと、それぞれカラーリングも違っています。またハワイ語でウミガメをホヌということから、「フライングホヌ」の愛称がつけられています。

1号機はANAブルーでキリッとした目
2号機はエメラルドグリーンで笑った細目
3号機はサンセットオレンジで、まつげがくるんとかわいい

フライングホヌ1号機、2号機の活躍と 空港で静かに待機する3号機

 1号機は2019年5月、2号機は同年6月からハワイ路線に就航していて、コロナ禍の期間中に運用停止されてはいましたが、2022年7月から運航を再開。成田空港からハワイのホノルルへと、多くの旅人を運んでいます。

ファーストクラスは8席あり、2階最前方にある
ビジネスクラスは56席でファーストクラスのうしろ。またプレミアムエコノミーも2階で、73席ある
1階はすべてエコノミークラスで382席あり、合計で520席の仕様
エコノミーの最後方エリアはカウチシートになっており、フットレストをあげることでフラットなベッドのようにできる(1列を専有して寝具などを使う場合は別料金)
機内モニターのフライト情報表示のアイコンもちゃんとフライングホヌのデザインになっている

 ただし3号機に関しては、今回の就航までちょっとかわいそうな運命にありました。そもそも3号機は2020年に日本へと受領を予定していましたが、コロナ禍により延期。2021年10月に、エアバスの工場があるフランスのトゥールーズから日本へと送られてきましたが、すでにA380は生産を終了しており、トゥールーズから送られるA380としては最後(A380全体としては最後から2番目)の機体となってしまいました。

フランス・トゥールーズからのデリバリーを待つ3号機

 日本に到着してからも、ハワイ便の旅客需要が以前の水準まで戻っていないことから、3号機だけハワイ便には投入されずじまい。約2年間もの間、整備のためのフライトや見学会などに使われるのみで、成田空港に駐機し、1号機と2号機の活躍を静かに見守っているだけとなっていました。

2023年、ついに3号機が空へ 初有客フライトに向けピカピカに磨かれる

 そんなかわいそうな3号機が、10月20日にいよいよ旅客便として投入されることになり、デビューに向けて、ANAでは機体の洗浄や機内清掃が始まりました。機体に関してはほとんどフライトをしていないため、油汚れなどは少ないものの、空港周辺の土埃がまじった雨だれによる汚れが目立つ感じです。

 機内清掃に関しては、ほとんど使われていないため目立った汚れはないものの、エアコンなどにホコリが付着しており、そのあたりは気をつけて清掃をしたとのこと。ちなみに機内清掃時に取材で筆者も入りましたが、2年が経過してもいわゆる「新車」のような匂いが残っていました。トゥールーズからのデリバリーの際にも筆者は取材で機内に入っているので、少し懐かしくもあります。

成田の格納庫で機体洗浄中の3号機
白い部分は雨だれによる汚れが目立っていた
ブラシとモップ、そしてパッドの3種類を使い、洗剤を使って丁寧に汚れを落としていく
機内清掃にはANAグループ社員もボランティアで参加。ANAグループ社員でもA380に乗る機会はなかなかなく、貴重な体験のため多数の応募書が集まったとのこと

 こうした準備を経て、10月20日に成田空港からNH182として、ハワイ・ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港へフライト。トラブルもなくハワイに着陸し、折り返しNH181として成田空港へと飛び立っていきました。

 今後、ANAのA380は3機体制となり、成田から1日2便の運航となります。何号機がどの便に……というのは固定されていないので、どの機体に当たるかは運次第ですが、それもまた楽しみのひとつといったところ。

ダイヤモンドヘッドに向かって離陸していくフライングホヌ 3号機

エアバスA380は「空飛ぶホテル」と呼ばれ ホテル仕様の豪華な設備を備えた機体

 エアバスのA380は、ANAでは特別塗装機で運用されていますが、ほかの航空会社では大きなキャビンスペースを活用して、独自のサービスをしているところも多くあります。たとえばエミレーツ航空では、ファーストクラス用にシャワーブースが用意されており「空飛ぶホテル」とも言われています。

 シンガポール航空では独立型ベッドを備えたファーストクラスを超える「スイート」を設置。また筆者も搭乗経験がありますが、カタール航空ではビジネスクラスとファーストクラス向けに、機内ラウンジとして本格的なカウンターバーを用意しています。

カタール航空のA380にある機内ラウンジバーカウンター

 このように旅客機のなかでも特別感があるA380。ですが2007年のシンガポール航空でのデビューから16年が経過するなか、大型機のため旅客需要が大量に見込まれる路線への投入が限定され、また2階建てのため乗り入れる空港もボーディングブリッジなどの改良が必要となるなど、運用には難しい面も。

 また航空路線もコロナ禍前から中型機をメインに多頻度で飛ばすというのがトレンドになってきたこともあり、A380の受注は激減。2020年9月に最終機の組み立てが完了しついに生産終了となってしまいました。また、納品された機体もコロナ禍により運航停止をする航空会社も増えており、各社では徐々に退役も進んでいます。

 というわけで、仲間がどんどん減っていくなか、やっと初便に就航できたANAのフライングホヌ3号機。これからA380に乗れる機会もどんどん減っていくので、興味のある人は是非お早めに搭乗して、巨大な旅客機を体験しておきましょう!

ANAの場合は成田から1日2便なので、ホノルルで2機のフライングホヌがすれ違うことに

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヶ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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