「Redmi 12 5G」は3万円を切る低価格で日常利用に重点を置いたエントリースマホ
ASCII.jp / 2023年10月28日 12時0分
シャオミのスマートフォン新機種「Redmi 12 5G」は、エントリーの低価格モデルに位置付けられる端末ながらも、約6.8型の大画面ディスプレーを搭載し、5Gに対応するほか、FeilCaによる電子マネーの利用も可能であるなど、日本で安心して利用できる点に力を注いだスマートフォンとなっている。実機からその実力を確認してみよう。
◆背面にはガラスを用い、USB端子もType-Cに
まずは外観だが、ディスプレーは先にも触れた通り約6.8型と大型で、サイズも約76×169×8.2mm、重量は200g。大画面と低価格に重点を置いていることからスマートフォンのサイズとしては大きく重いが、そのぶん見やすく解像度もフルHD+(2460×1080ドット)でリフレッシュレートも最大90Hzと、エントリーモデルとしては高精細かつなめらか表示が可能だ。
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背面を見ると、フラットで光沢のある非常にシンプルなデザインで、低価格モデルながらガラス素材を採用しており、意外と指紋も目立ちにくい。それゆえ実際に手にすると、重量があることもあって、高級感があるというほどではないが安っぽさを感じさせない作りとなっている。
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また前面・側面と背面にはあまり丸みがなくスクエアな形状となっており、手にすると角ばった印象もある。それゆえ手の小さい人が片手で持つ際には、やや持ちづらさを感じてしまうかもしれない。
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続いて側面を確認すると、右側面には音量キーと電源キーが備わっており、電源キーには指紋センサーも備わっている。また上部には3.5mmのイヤホン端子が備わっており、有線イヤホンの利用も可能だ。
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そしてある意味特筆すべきは底面のUSB端子で、最近の多くのスマートフォンと同様USB Type-C端子を採用している。2023年にシャオミが日本に向けて投入した、同じ「Redmi 12」を冠する「Redmi 12C」は、USB端子が旧式のmicroUSBであったことから疑問の声が多く挙がっていただけに、標準的なUSB Type-Cの採用に安心感を抱いた人も多いのではないだろうか。
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◆カメラの性能はいまひとつ、機能もシンプル
続いてカメラを確認すると、背面のカメラは約5000万画素/F値1.8のカメラと、約200万画素/F値2.4の深度センサー用カメラを搭載。2眼構成ではあるが、1つはポートレート撮影用のセンサーなので実質1眼構成というべきだろう。
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実際に撮影してみるとやはり低価格モデルということもあってか、5000万画素といっても上のクラスのスマートフォンが採用するイメージセンサーとは違っているようで、明るい所では綺麗に撮影できるが暗い所には明らかに弱い。手ブレ補正機能もないだけに、とりわけ暗い場所での撮影には注意が必要だろう。
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![Redmi](https://ascii.jp/img/2023/10/24/3627113/x/192fd60adebd2321.jpg)
深度センサーを備えていることもあって「ポートレート」には対応しているが、超広角カメラやマクロカメラなども備わっていないので撮影の幅も広げにくい。ほかにも暗所を明るく撮影する「夜景」や、5000万画素をフルに活用した「50MP」などの撮影モードが用意されているが、他のシャオミ製端末と比べても撮影モード自体が少ないようだ。
![Redmi](https://ascii.jp/img/2023/10/24/3627114/x/efb3ed846f2ac90d.jpg)
一方のフロントカメラは約500万画素/F値2.2と、こちらも性能は高いとは言えない。それゆえ実際に撮影してみると、全体的に青みがかった色になりやすいのが気になった。
![Redmi](https://ascii.jp/img/2023/10/24/3627110/x/85c79502722c13cf.jpg)
◆ゲーミングには弱いがバッテリーは大容量
では性能面はどうか。Redmi 12 5Gのチップセットはクアルコム製のエントリー向けとなる最新の「Snapdragon 4 Gen 2」を採用しており、メモリーは4GB、ストレージは128GB。microSDで最大1TBのストレージを追加可能となっている。
具体的な性能を確認してみようとしたところ、「3DMark」での測定ができないなどベンチマークでの測定には限界があったことから主要ゲームで確認してみると、「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが6段階中3段階の「HD」までと、最近のスマートフォンの中では低い部類に入る。
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![Redmi](https://ascii.jp/img/2023/10/24/3627103/x/64253013e95a174b.jpg)
また「原神」のグラフィック設定はデフォルトで5段階中2段階目の「低」だが、グラフィック設定を上げてプレイすると画面の描画がかなり厳しい印象だった。ベンチマークの結果を見る限りCPU性能は悪くないだけに、GPU性能があまり高くない印象があるのと、メモリーが現在のAndroid端末としては快適に利用できるギリギリの水準ということもあって、3Dを多用するゲームには厳しいといえよう。
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一方で重点が置かれているのがバッテリーで、ハイエンドモデル並の5000mAhと大容量のものを搭載。バッテリーの持ちには安心感があるが、急速充電は18Wまでとそこまで高速ではない点に注意したい。
そしてもう1つ、重点が置かれているのがFeliCa(おサイフケータイ)への対応だ。KDDIのau/UQ mobileブランドから販売されることもあり、エントリーながらしっかりFeliCaに対応していることは、日常利用を考えれば安心感があるだろう。
最後に通信に関してだが、SIMは物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIM構成で、5Gの対応周波数帯はn3/n28/n42/n77/n78となっている。KDDIの周波数帯に合わせた印象も受けるが、ドコモの4.5GHz帯(n79)には非対応なのでオープン市場向けモデルを購入する際には注意したい。
![Redmi](https://ascii.jp/img/2023/10/24/3627105/x/45c0459b07faeea1.jpg)
【まとめ】日常利用には悪くないがカメラ性能はもう少しほしい
Redmi 12 5Gはシャオミのオンラインストアで2万9800円で購入できる低価格ながら、バッテリーの持ちやFeliCaへの対応など日常利用に大きな比重が置かれた端末だと感じる。日常的にウェブや動画などを見たり、決済などを利用したりする分にはリーズナブルで満足できる端末といえるのではないだろうか。
ただ、日常利用を重視するならば、カメラの性能はもう少し高めてほしかったというのが正直なところ。また、日本では大画面に対するニーズが海外ほどではないことから、画面サイズを6.1型前後にしてカメラ性能を上げたモデルがあれば、もう少し値段が上がっても満足感が高かったのではないかとも感じた。
シャオミ関係者インタビュー
今回のRedmi 12 5Gなどの日本投入に際し、シャオミジャパン取締役の大沼 彰氏、同社のプロダクトプランニング本部 本部長の安達晃彦氏にこれからの日本での戦略などについてお話を聞いた(聞き手:スピーディー末岡)。
![](https://ascii.jp/img/2023/10/24/3627464/x/6f0b13cbd26bd009.jpg)
──Xiaomi Japan初の日本人取締役社長かと思います。
大沼氏 そうですね、オファーを受けたときは正直驚きました。しかし、グローバル全体で見た場合、弊社は日本が大事な市場なので、日本のメディアや流通にしっかり商品をわかってもらうためには日本人がいいという判断でしょう。また、日本はキャリア主導のマーケットでもあるので、30年以上通信業界にいる私に声がかかったのだと思います。
──それでは同価格帯のモデルと比べてRedmi 12 5Gの優位性は何でしょう?
安達氏 国内メーカーは持ちやすさを重視している製品が多いと思いますが、グローバルでは大画面が人気なので6.8型のサイズにしました。また、チップセットのSnapdragon 4 Gen 2を搭載している機種は現在日本では発表されていないという希少性もあります。エントリークラスのSoCですが、Snapdragon 695と同じくらいのスコアが出ている優秀なチップなんです。そしてデザイン。この価格帯だとプラスチックパネルが多いのですが、ガラスを使うことで安っぽく見せないようにしています。
──現在、日本のマーケットはiPhone中心ですが、勝算はあるのでしょうか?
大沼 我々の強味としては、スマホが尖っている、豊富なIoT製品があるといったことが挙げられます。これからの日本に必要なソリューションが提供できるのです。iPhoneだけでなく、Android陣営としても他社に負けないようにしっかりやっていきたいですね。もちろん勝機はあると思っています。
──しばらく発表会がなかったので、撤退説も噂されましたが……。
安達氏 コロナ禍もあってなかなかできなかったのは確かです。とはいえ、それ以上に当社の考え方や、製品の説明などをお伝えするためのストーリー作りが必要で、それがすべて揃ったのがこの時期だったんです。おかげでタブレットやスマートバンド以外にロボット掃除機やテレビといった家電も一緒に発表できました。
──クルマにも進出していますが、いつ発売なんでしょうか?
安達氏 すでに中国で発表していますが、2024年に中国にて発売予定です。日本での話はまだありません。試作車はすでに本部で試験走行をしているんですよ。いっぱいお話したいことがありますが、今は何も言えないので、今度はクルマの取材でお願いします!
──Xiaomi 13T/13T ProのSoCにMediaTekを採用した理由を教えてください。
安達氏 グローバルレベルで、MediaTekとクアルコムとは綿密な協力関係にあります。弊社ではモデルの位置付けによってチップセットを使い分けていて、たとえば「Tシリーズ」はフラッグシップの性能をお求めやすい価格でというコンセプトです。このシリーズの狙いとしてMediaTekが最適でした。実はテレビもMediaTekのチップセットが載っています。ただ、弊社もMediaTekも、日本市場でのブランド力が弱いので、良いモノを出し続けるので、ASCII.jpさんをはじめとしたメディアが、お客様にその良さをお伝えください(笑)。
──いつもシャオミの値付けには驚かされますが、どうやって実現しているのですか?
大沼氏 弊社は年間の純利益が5%を超えないようにコントロールしています。これが一番のポイントですね。そして適正な価格でお客様に製品をお届けする。適正というのは単なる安いモノではなく、良いモノだけど安いということです。これがシャオミの基本理念です。そして、Miファンと呼ばれる弊社のファンの方もたくさんいます。この方たちをもっと作っていきたいと思っています。
安達氏 普通ならこの機能を入れたらプレミアムな価格にしたいってなりますけど、シャオミにいると真逆なんですよ。まずどこまで価格を下げられるか、どこまでお客さんに還元できるかが議論になる。これは私もビックリしましたね。そんな社風が今回発表した商品に色濃く反映されていると思います。
──ありがとうございました。
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