人生を上昇気流に乗せる5つの考え方
ASCII.jp / 2023年11月2日 7時0分
ちょっとしたトラブルの影響で意気消沈してやる気を失うか、あるいは、とんでもない出来事が起きたとしてもそれを受け入れて前に進むか──。
当然のことながら後者は難しいことでもあるので、とかく人は前者に行き着いてしまいがちだ。落ち込んで愚痴でも吐けば、多少は気持ちも楽になるだろうし(もちろん、その効果は一時的でしかないのだけれど)。
とはいえ、そもそも予期せぬ出来事が起きるのが人生である。したがって、「そのとき、どう立ち回れるか」が人としての価値につながっていくとも言えるのではないだろうか?
だいいち、トラブルは必ずしも想定内のことばかりではなく、“意気消沈している暇などないほどとんでもないこと”が起こる場合だってあるのだ。たとえば、『逆張り思考 戦わずに圧倒的に勝つ人生戦略』(成田修造 著、KADOKAWA)の著者がたどってきた道のりが、まさにそれにあたる。
父親が失踪、母親が半身不随に
定職に就かず借金を繰り返していたという父親は、著者が14歳のときに失踪。その3年後には、細々と家計を守っていた母親が脳出血で倒れて半身不随に。思春期にいた著者は、住宅ローンの返済も滞って自己破産せざるを得ないような状況を目の当たりにする。ただでさえ傷つきやすい多感な時期である。果たして、目の前の状況をどうとらえ、そこにいた自分自身についてどう考えたのだろう?
「これからの人生、誰も助けてくれない。自分の人生をどうにかできるのは、自分だけなんだ」 と自覚するようになりました。 「何に対してもはっきりしない生き方にメスを入れよう。一念発起して、少しでもまともな人間になろう。自分の人生なのだから。自分でなんとかしていこう」 と覚醒することになったのです。(「プロローグ」より)
当時は「中学受験に失敗し、『負けん気だけが強くてプライドは高いが、なにをやり切るでもなく、結局、中途半端に投げ出す』」ような状態だったという。いかにも10代半ばの少年らしくもあるのだが、それでも不遇を人のせいにせず、「自分でなんとかしていこう」と考えることができたということだ。
そして高校卒業後に進学した慶應義塾大学在学中にベンチャーに飛び込み、「学生サラリーマン」を約2年経験。ちなみに学費には、その給料と奨学金をあてたのだそうだ。
安定を捨て、先の見えない暗闇に進むのが「逆張り思想」
その後は紆余曲折を経て、運よく誘われたというスタートアップのクラウドワークスに入社。創業3年目には取締役になり、同年に同社は東証マザーズ(当時)への上場を果たすことにもなった。当時はまだ25歳だったというので驚きだが、取締役副社長兼COO、取締役執行役員兼CINOを経て独立。以後は複数の社外取締役などに就きながら、新たな挑戦を始めたのだという。
経歴だけを見るならば、いかにも華やかそうではある。が、重要なポイントは、その原点が少年期の体験にあるということだ。非常に複雑な家庭環境で育ちながら、意気消沈するどころか「暗闇のなかでこそ見える光がある」という感覚を強く持つようになったのだ。
いまは、その「光」こそが人生をおもしろく変化させ、味わい深いものにしていくと実感しているそうだが、それは経験あってこそ行き着いた発想。しかも現実問題として、なかなかそこまで考えられるものではない。なにしろ、目の前に広がっていた現実は過酷なものだったのだから。
安定を捨て、先の見えない暗闇に進む発想は、通常とは逆の考え方かもしれません。 ぼくはそれを「逆張り思考」と呼んでいます。 「逆張り」とは大勢や時流に逆らい、逆に賭けていくやり方です。 多くの人が、常識的に考える行動やレールをあえて疑い、逆に考えてみる。逆の行動を取ってみる。そうすることで、状況を好転させ、想像以上の充実や果実を手にする。それが「逆張り思考」の本質です。(「プロローグ」より)
人生を上昇気流に乗せるための考え方
とはいえ、「なんとかしなければ」というような感情に任せ、ただ闇雲に“逆に張る”だけではうまくいくはずもない。そこで本書では、「逆張り思考」をしていくうえで欠かすことのできないコツやスキルを明かしているのである。
ちなみに、「人生を上昇気流に乗せるための考え方」として紹介されているのは以下の5項目。
1.人生で起きることすべてをポジティブにとらえ、不幸も「明るい未来」への布石と考える 2.自分の個性をよく理解し、信じ、育てる 3.具体的な目標を立てる/目的意識を持つ 4.社会の常識や敷かれたレールを疑い、競争せずに、試行錯誤を徹底的に繰り返す 5.目の前に来た道をつかみ取る (「プロローグ」より抜粋)
よいことも悪いことも「意味のあること」と考えてそこからの学びを吸収し、自分の可能性を信じる。目標を立ててその達成のために意識を向け、試行錯誤しながら動き続ける。そしてチャンスを見きわめ、しっかりと飛び込んでものにすることが大切だという考え方だ。
いうまでもなくそれは、実体験によって身につけたものである。そんなこともあってか著者は本書の内容を、「『ポエム』のようなもの」だと表現している。だが実際のところ、上記5項目をそれぞれ深掘りしたその内容は「ポエム」どころか非常に実践的。机上の空論ではないのだから当然ではあるが、だからこそ本書は多くの読者からの共感を得ることに成功しているのだろう。
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逆張り思考 戦わずに圧倒的に勝つ人生戦略成田 修造KADOKAWA
筆者紹介:印南敦史
![](https://ascii.jp/img/2023/08/16/3587116/x/c9de6a18ea526b6f.jpg)
作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。 1962年、東京都生まれ。 「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「東洋経済オンライン」「サライ.jp」「マイナビニュース」などで書評欄を担当し、年間700冊以上の読書量を誇る。 著書に『遅読家のための読書術』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(以上、星海社新書)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、などのほか、音楽関連の書籍やエッセイなども多数。
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