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【レビュー】新Apple Pencil(USB-C)は安価でビジネスや勉強用途にピッタリ

ASCII.jp / 2023年11月4日 12時0分

新しいApple Pencil(USB-C)、価格1万2880円

 アップルが2022年10月18日に発表したiPad(第10世代)は、USB-CコネクターになったのにApple Pencil(第2世代)に対応しておらず、ケーブルと変換コネクターを組み合わせてペアリングや充電する必要があった。

 遅ればせながら、ようやく10月17日にUSB-Cケーブルで充電できるApple Pencil(USB-C)が発表され、すでにApple Storeオンラインや直営店で購入できるようになった。Apple Pencil(USB-C)は安価(1万2880円)なのはうれしいが、一部省略されている機能もあるので注意が必要だ。

 ここでは、Apple Pencil(USB-C)のインプレッションと、どういう人に向くか、そして他のApple Pencilとの機能比較をお届けする。

こんな複雑なことになるとは思わなかった

 まず、前提条件として、Apple Pencilには対応機種があることをご説明しておこう。

Apple Pencil(第1世代)は、なんとiPadのLightningコネクターに挿して、ペアリングと充電をする

 Lightningコネクターを持つ第1世代のApple Pencilは、Lightningコネクターで充電するタイプのiPadの対応機種で利用可能だ(古いiPadにはApple Pencil非対応のものもあるので、詳細はアップルのサイトを参照のこと。無印iPadだと第6世代以降で対応している)。

Apple Pencil(第2世代)は、サイドにマグネットで付けることで、ペアリングと充電が可能になった

 対して第2世代のApple Pencilは、USB-Cコネクターを持つiPad Air、iPad mini、iPad Proで使用できる。充電やペアリングは本体側面にマグネットで付けることでできる。非常に便利な仕組みになっている。

 しかし、iPad(第10世代)が登場して、話がややこしくなった。

iPad(第10世代)

 iPad(第10世代)はUSB-Cコネクターを持っているが、側面にApple Pencil(第2世代)を付けて充電したり、ペアリングすることはできない。無印iPadとして、あくまで対応するのはApple Pencil(第1世代)だったのだ。したがって、充電やペアリングのためにはUSB-C to Lightningケーブルに、(Apple Pencil付属の)Lightning(メス)to Lightning(メス)コネクターを使わねばならない。これは、いかにも不便だ。

 こうやって書いていても、読者のみなさんにちゃんと伝わっているか不安になるほど複雑だ。と、思っていたら、Apple Pencil(USB-C)が発表されたというわけだ。

新しいApple Pencil(USB-C)は、キャップをスライドさせてUSB-Cケーブルを挿す仕組み

 ちなみに、このApple Pencil(USB-C)はUSB-Cコネクターを持つiPad Air、mini、Proでも使用できる。つまり、iPad(第10世代)だけでなく、Apple Pencil(第2世代)対応のiPadの廉価版Apple Pencilとしても利用できるというわけだ。

手前からApple Pencil(第1世代)、(第2世代)、(USB-C)。対応機種も微妙に違う

Apple Pencil(USB-C)をシンプルに説明すると 「USB-Cで充電可能・筆圧感知なし・廉価版」

 しかし、廉価版という位置づけなのでApple Pencil(第2世代)より機能が劣る。だから、(第3世代)ではなく(USB-C)というネーミングなのだと思う。

 ピクセルレベルの描画ができる精度や、低レイテンシー、傾き感知などの主要な機能は、Apple Pencil(第2世代)と同等なのだが、Apple Pencil(USB-C)には筆圧感知の機能がない。

 つまり、Apple Pencil(USB-C)は、「USB-Cで充電できて筆圧感知のない、廉価版のApple Pencil」ということになる。

筆圧感知をしない、デメリットとメリット

 さて、実際にApple Pencil(USB-C)を使ってみよう。

 といっても、普通に使っている分には、書き心地はまったくApple Pencil(第2世代)と変わらない。実は長さはApple Pencil(第2世代)より1cmほど(正確には11mm)短いのだが、重心の変化などは感じない。重さも0.2g軽くなっているが、感じられるほどではない。

 したがって、筆圧で太さが変わらないアプリ……つまり、メモ帳的な「手書き」アプリを使っている限りでは、Apple Pencil(第2世代)と何ら変わらない使い心地を体験できる。

メモなどを書き込むだけなら、かならずしも筆圧検知は必要ない

 しかし、Frescoや、Procreate、CLIP STUDIO PAINT、Zen Brush 3などの、いわゆる「手描き」アプリを使うと、筆圧感知がないのは非常に物寂しい。筆者は絵を描くタイプなので「Apple Pencilの価値は筆圧感知にある」と思っているから、この点は非常に残念だ。

上が筆圧感知が可能なApple Pencil(第2世代)で書いたもの。手前が筆圧感知しないApple Pencil(USB-C)で書いた線。筆圧感知できないと単調になってしまう

 一方で、筆圧感知がないということは、常に一定の太さの線を引きやすい(傾きで太さが変わるアプリもある)ので、絵を描かずに、「手書きメモ」用途にApple Pencilを使っている人にとっては、むしろこの一定の太さの線の方が好都合という側面もある。

 実際、身近な何人かに話を聞いてみたが、「Apple Pencilの主要な用途は手書きメモ」という人は案外に多く、そういう人にはApple Pencil(USB-C)はフィットする思われる。むしろ、授業のメモを取るとか、仕事でメモ帳代わりに使う……という人は、iPadとApple Pencilを持ち歩く機会が多く、紛失することも多いだろう。であれば、1万9880円と高価なApple Pencil(第2世代)より、1万2880円と安価なApple Pencil(USB-C)の方がフィットするだろう。

ただメモを取るだけにしても、筆圧感知がある方が表現力豊かで、誰にでも見やすいように描けると思うのだが

 実際、そういう用途にしばらく使ってみたが、もちろんのこと非常に快適で、Apple Pencil(USB-C)の利用用途としては最適だ。

個人的には子どもには筆圧感知のあるApple Pencilを使わせたい

 「安価なApple Pencil(USB-C)は、子どもの利用にも最適!」という意見もあるし、実際に学校での導入ということになると、予算的に厳しい制約もあるだろうし、Apple Pencil(USB-C)を選ぶ学校も増えていくのでないかと思われる。

 しかし、筆者としては、小さなお子さんにこと筆圧感知のあるApple Pencilを使わせてあげたいなとも思う。経済的には悩ましい事ではあるが、筆圧感知のあるApple Pencilだからこそ、クリエイティブな表現をしたり、手先に微妙な力をかけたり、抜いたり……という加減を学んだりすることができる。たくさんの子どもたちの中で、誰かがズバ抜けた才能を開花させて、その後の人生を切り開いて行くきっかけになるかもしれない。そう思うと、筆圧感知機能付きApple Pencilを買い与える意味はあると思うのだ。

 しかしながら、Apple Pencil(第2世代)はiPad(第10世代)では使えない。iPad Air、もしくはProと組み合わせる必要があり、さらに大きな予算が必要になる。

 ならば、Apple Pencil(第1世代)と組み合わせるか。しかし、それでは冒頭の「ケーブルと変換コネクターが必要」という話に立ち戻ってしまう。なかなか悩ましい。

 3種類のApple Pencilの対応機種と適合機種、そして利用できる機能の順列組み合わせは複雑になってしまっている。シンプルな商品ラインを好むアップルらしくない状態だといえる。今後、もっとシンプルなラインナップになってくれるといいのだが。

 現在のところ、クリエイティブな作業も行うなら筆圧感知の機能がある、Apple Pencil(第1世代)、(第2世代)がイチオシだが、Apple Pencilの利用がメモ用途で、あなたがUSB-Cコネクターの付いたiPadを使っているならApple Pencil(USB-C)を選んでもいいかもしれない。

 そして、無限の可能性のある子どもには、ぜひ筆圧感知機能があるApple Pencilを使わせてあげてほしいな……と筆者は思っている。

 

筆者紹介――村上タクタ  趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。

 

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