AIとアートの融合「第一回AIフェスティバル」でクリエイティブの未来を感じた
ASCII.jp / 2023年11月6日 14時30分
サードウェーブは11月3日、4日に「第一回AIフェスティバルPowered by GALLERIA」を開催しました。
AIアートって何? 気になったから見に行ってきた
本イベントは、「AIをもっと身近に、もっと楽しく感じてもらう」ことを目的としている。3日から4日にかけて、AIに興味がある19歳以上の方が参加可能な「第一回24時間AIハッカソン」を実施。ソフトウェア開発者やそのほかの関連分野の専門家たちが集まり、24時間で新しいプロジェクトを開発するというものです。今回のハッカソンでは、テーマを「楽」としたプロジェクトに24時間で挑んでいました。
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また、4日には作画AIや作曲AIなど、AIを使ったアート作品を募集し、優秀な作品を選出する「第二回AIアートグランプリ」の最終選考会や授賞式も実施。最終選考に残った作品は、会場に展示されていました。
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ChatGPTなどの登場により、どんどん身近になってきているAIですが、私はいまいちよく理解できていません。そんな中、AIとアートを組み合わせたグランプリがあるということを知り、AIとアートが組み合わさったらどうなるんだろう? と気になったので、今回のAIフェスティバルに足を運んでみることにしました。
会場にはAIを駆使したアート作品が並んでいていましたが、AIについて詳しくないので、どうやって作っているんだろう? ということが理解できない作品も結構ありました。しかし、手で影を作り、そこからAIがアートに変換するといった作品や、AIに遺伝子を入れて世界を造る作品、小説を自動生成する支援AIなどもあり、全然違う角度のアート作品ばかりで面白い発想だなと感じる作品が多かったです。
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なお、第二回AIアートグランプリ最終選考に残った作品のプレゼンは、YouTubeの公式チャンネルでチェックできるので、気になる人はチェックしてみてください。
加えて、会場では最終選考に選ばれた方々が直接審査員に対して作品をプレゼンしていました(数名は諸事情で欠席で動画のみ)。そこで、どのような過程で制作されたのかなどの説明があり、作品のなかでは使用したソフトやツールの紹介もあったので、ちょっと使ってみようかなという気にもなりました。
漫画家、イラストレーターの中で、AIの印象は二極化している
また、興味深かったのがトークセッションです。私が全体的に興味深かったのが「今後AIとどう共存していくか」という部分です。
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1つめのトークセッションは、「AIアートの今日と明日」というテーマで、エンジニア/漫画家の千代田まどか/ちょまどさん、第一回アートグランプリ グランプリ受賞者の松尾公也さん、準グランプリ受賞者の小泉勝志郎さんが登壇しました。
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千代田さん、松尾さん、小泉さんはまず、自身のAIを使用した作品を紹介していました。その中で興味深かったのが、千代田さんの「漫画家やイラストレーターの評価が2極にわかれている」というお話です。
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多くの漫画家さんやイラストレーターさんが、AIの画像生成についてネガティブな感情を抱いているそうです。理由としては、本人に無許可で学習してたということに感じる怒りだったり、何年もスキルを磨いているのに、数十秒で生成される絵が上手いということに感じる悲しみだったりがあるとのことです。
ただしその反面、AIを使って新しいチャレンジを使用としている人もいるそうです。千代田さんもその1人で「そもそも絵が描くことが好きなので、AIで生成された絵についてもあまり気にしないですし、絵を描くことは辞めないですね。むしろ背景を描くことが面倒なので、AIに描いてもらったりしています」と話していました。
また、「こういう絵を描きたいなというときに、ゼロベースからアイデアを出すのは難しいんですね。そういったときに、インスピレーションをもらう種出しとしてAIを使うということで、新しい未来が広がるんじゃないかなって思います」とも話していました。
確かに、自身でも絵ではなく仕事で記事を書くことが結構ありますが、記事のすべてを任せるというわけではなく、アシスタント的にAIを駆使するというのはありだなと思いました。そういった意味で、このお話にはとても興味深かったです。
また、亡くなられた奥様の声を取り込んで、AIと組み合わせるという取り組みをされた松尾さんは「自身がやっている取り組みがアートなのかというのは、自分でも疑問に思うことがありますし、ほかの人からクリエイターと名乗っているけど(作業するのは)AIがやるんだろ? と言われることもたまにあります。ただ、AIアートというものがカテゴライズされていて、海外ではすでに始まっているのも事実です」と話していました。
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このようなお話も聞いて、AIをどうとらえるかにおいて、ポジティブな意見とネガティブな意見があれども、共存だったり上手く使えるというのも、アートとしてはありになっていくのではないかなと考えさせられました。
編集者は仕事がなくなる?
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2つめのトークセッションでは、メディアアーティストの八谷和彦さん、落合陽一さん、コルク代表・編集者の佐渡島庸平さんが登壇しました。
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こちらのトークセッションでは、佐渡島さんが「今後編集者はいなくなる」と発言されていました。自身も漫画ではないですが編集者としても活動しているので、他人事ではないなと思いながら、聞いていました。
佐渡島さんは「AIは、時間制限なく漫画家さんに付き合ってくれますけど、人間の編集者では時間の制限があります。漫画家へのフィードバックの精度も上がってきているので、今後編集という仕事はなくなるかもしれませんね」とのことでした。
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AIとうまく共存していくことが重要
ご自身が編集者である佐渡島さんがこれをいうのはすごいなと思いましたが、佐渡島さんもAIとうまく共存していくという方向性で動いているようで「AIはアイデアや絵を作ってくれますが、“技術力の高さ”と“売れる”というのは直接結びついてないんです。漫画において成功するには、売れると芸術的の丁度中間あたりの作品がいいと思うんですけど、AIはその中間点までは探ってくれません。編集者はいらなくなるかもしれないですが、商業を作り出すということは、まだできないと思っています」と話していました。
このお話を聞いて、今後はAIによって目まぐるしく仕事が変わってくるかもなとも思いましたが、上手く使うということの重要さはあるなとも感じました。
続けて佐渡島さんは「AIとの会話をきっかけに、アイデアが溢れ出すなど、途中途中でのモチベーションコントロールとしても刺激を与えてくれるので、商業作品を作るうえでの時間を短縮してくれるだろうと考えています。代替はしないと思いますけど、家事を白物家電が助けてくれるという感覚に似ていますね。今後はAIによって何がクリエイターの収入になり、何がサポート役の人の仕事になるのかも、変わっていくと思うので、そこを試行錯誤しているところですね」とも話していました。
これに対し八谷さんは「AIを使って作品を作っていく人が増えて行くと、編集者や教育者の仕事がなくなるかもという不安はありますけど、逆に編集者がこうやっていくとよりマーケットが広がるとか、教育者が上手く駆使するとより多くのアーティストが世に排出されたりというのもあると思います」と返していました。
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褒めるAIを作るのが重要なタスク
落合さんは、AIアートについて「面白きゃいいなと思っています。なんだかアタリショック(1983年から1985年にかけての北米家庭用ゲーム市場の崩壊)を思い出しますね。アタリショックは、プラットフォームの上のものが面白くなくなったのが原因なんですけど、今は世の中にAIが入ってきているので、世の中自体が面白くなくなったら、世の中が面白くなくなるだけなので、大丈夫だと思います。世の中自体から離脱するのは、大変じゃないですか」とコメント。
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続けてAIアートの今後について「今後はAIアートというものがたくさん作られていくと思うので、それに移行して“褒めてくれるAI”を作らないと、満足度が上がらないんじゃないかなと考えています。ある程度人間のように褒めてくれるAIが出てきて、慣れてくればべつに褒めてくれるのが人間じゃなくてもよくなると思いますよ。ファンボットを作ると平和になるので、重要なタスクだと思っています」と独自の見解を話していました。
八谷は、アイデアの源について聞かれ「私はアイデア自体には価値がないと思っていて、最後まで作り切ることが大切だと思っています。今回のコンテストに応募された方は、最終系のかたちにしているので、すごいと思います。アイデアがどうこうというより、最後まで作るというのが大事なんです」と返していました。
これに対し佐渡島さんは「やり切れないというときに、AIが代わりにやりきってくれたりすることもあります。AIと一緒に作るとやり切れることもありますし、ちょっと楽になると思いますよ」と話していました。
最後に落合さんは「AIでものを作っている人が大好きなので、今後も盛り上がっていけばいいと思っています」とコメントし、トークイベントを締めくくりました。
今までAIを使ったことはあまりなかったですが、当たり前のように使っている人たちの話や作品を見て、今後は学んでいったほうが面白い未来が待っていそうだなと感じました。
イベントでは、第一回24時間AIハッカソンと第二回AIアートグランプリの結果発表もありました。
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第二回AIアートグランプリでは、審査の結果快亭木魚さんの「明日のあたしのアバタイズ」という作品がグランプリを受賞しました。
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快亭木魚さんはグランプリ受賞について「普段はファックスが活躍するような職場で事務職をしているので、こんな日が来るとは思っていませんでした。色んな人がAIを使えるような時代になってくれたから、私にも届いたんだと思います」と挨拶しました。
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グランプリ作品には、賞金15万円に加え、GeForce RTX 4080を搭載するGALLERIA(ガレリア)のゲーミングパソコンも、副賞として贈呈されました。贈呈の際に登壇した、サードウェーブ 代表取締役社長 兼 最高執行責任者の尾崎健介氏は「どの作品も素晴らしかったです。アイデアを出すところからAIを駆使して作る過程も拝見できて、面白い作品ばかりだなと感じました。今後は、ぜひ高い性能のCPUとGPUを搭載したGALLERIAで、新しい作品を作っていっていただきたいです」と話しました。
今回、AIに興味があってイベントに行きましたが、AIをアートで駆使した作品の斬新さと面白さを感じることができましたし、トークセッションでは、今後AIとうまく共存していく必要があるなとしみじみ思いました。
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AIとアートが組み合わさった作品ってどんなもの? と気になる方は、公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。アートが好きな人は、新たな扉が開けるかもしれませんよ。
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