隠れた完全ブランニュー、MacBook Pro 14インチは幅広いユーザーにお勧め【レビュー】
ASCII.jp / 2023年11月7日 12時0分
10月31日(日本時間)に開催したApple Eventで発表し11月7日から発売する、MacBook Proの最下位モデルに位置するMacBook Pro 14インチ(M3)は完全に新しいモデルだ。
ラインアップ上の位置づけとしては、MacBook Pro 13インチ(M2)の後継に当たると思われるが、MacBook Pro 14インチのボディを多少変更して使っており、内部構造はまったく新しい。先行して使用する機会を得たので、このMacBook Pro 14インチ(M3)を使ってみながら、新しい製品の位置づけについて考えてみよう。
ちなみに、M3搭載MacBook Proは14インチ版のみで、16インチにはラインアップされない。
最下位モデルのMacBook Proが やっとお勧めできる製品に
従来のMacBook Pro 13インチ(M2)は微妙な存在だった。MacBook Airと同じM2チップを搭載して、ボディやディスプレイはなんと2016年に発表されたMacBook Proシリーズの流れのものを利用。Proとは名ばかりの「古い革袋に新しいワインを入れた」製品だった。
それでも、「リーズナブルなPro」として人気だったようで、アップルは2022年のWWDCでこの製品のことを「世界で2番目に売れているノートパソコン(一番はMacBook Air)」として紹介しているが、筆者は一貫してお勧めはしてこなかった(だったら、MacBook Airを買った方がいい)。
だから、今回のMacBook Proの登場は本当にうれしい。これが必要だったモデルだと思う。
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MシリーズのPro、Maxの性能は本当に凄まじいので、2次元のデザイン(エディトリアルとか)、それほどストリーム数の多くない4Kまでの映像編集、スプレッドシートを扱ったりするビジネス用途、RAWを扱わないレベルの写真編集……つまり、世の中にあるほとんどの仕事は、スタンダードラインのMシリーズチップでまかなえるのだ。
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しかしながら、旧MacBook Pro 13インチ(M2)のボディには拡張性はないし、ディスプレイもオーディオも2016年のMacBook Proの流れを組むものが搭載されていたのだ。今回ようやく、スタンダードラインのパフォーマンスで十分な人も、MagSafe 3、HDMIポート、SDXCカードスロットの拡張性、最大1600ニトの輝度を持つLiquid Retina XDRディスプレイ、フォースキャンセリングウーファーを備えた6スピーカーサウンドシステムの恩恵に預かることができるようになった。
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MacBook Air M2もいいマシンではあるけれど、やはりこのMacBook Pro 14インチの音質、画質は数段上のレベルにある。チップセットのパフォーマンスを必要としなくても、この拡張性、美しい映像と、音質を選択できるようになったというのは非常に素晴らしい。
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ちなみに、上位モデルのM3 Pro、M3 Max搭載機とは仕様が異なる部分も確認しておこう。
まず、根本的な部分として、冷却ファンが左側1個しかない。これは、MacBook Proの下位モデルの伝統的仕様だし、M3チップの発熱の少なさを考えると何の問題もないだろう。また、Thunderboltポートが、上位モデルはThunderbolt 4ポート×3なのに対して、Thunderbolt 3/USB 4ポート×2になっている。右側のポートが省略されており、Thunderboltの仕様がひとつ古いということだ。
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しかし、ここは大きな差ではないと考えていいと思う。また、外部ディスプレイはM3搭載機は6K 1台まで、M3 Pro搭載機は6K 2台まで、M3 Max搭載機は6K 4台まで制御可能となっている。このあたりはチップセット自体の性能の限界なので、いたしかたないところ。1台使えれば十分……という人も多いだろうけれど、2台以上使うという人は、上位モデルの購入を検討いただきたい。
安価な価格設定のはずではあるが……
従来のMacBook Pro 13インチ(M2)から、飛躍的に仕様の向上したMacBook Pro 14インチ(M3)だが、価格もそれなりに上がってる。だが、筆者としては、新世代の上位クラスのボディ、ディスプレイ、スピーカーの恩恵を考えると、このコストアップは仕方ないところと考える。
MacBook Pro 14インチ(M3)の価格は、24万8800円から。円安だから高く感じするが、米国では1599ドルなのだから「割安なモデル」ということになるのだろう。ちなみに試用機は、このもっともリーズナブルなモデルだ。
リーズナブルとはいえ、ユニファイドメモリーは8GBでも十分に使い物になるし、ストレージも512GBが用意される。一般の使用にはこれで十分なのではないだろうか?
順当なM2→M3の性能向上
では、さっそくGeekbench 6にかけてみよう。
結果、CPUのシングルコアが3115、マルチコアが1万2038だった。これはそれぞれM2の120%と、122%にあたる。GPUはOpen CLは3万582、Metalが4万7636。M2と較べると113%、105%となっている。
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GPU性能は思ったより伸びなかったが、こういったテストには計測誤差というのもあるし、断言はできない。M1→M2の時に大きく性能が上がっていたので、M2→M3はこんなものなのかもしれない。ともあれ、充分な性能ではある。
ちょっと写真.appで写真の加工をしてみたり、iMovieでiPhone 15で撮影した動画の編集などをしてみたが、ちょっと使ってみたぐらいでは、まったく操作が引っ掛かったり、増してやビーチボールが回ったりすることはない。快適に使うことができる。
多数のストリームを持つ8K動画の編集や、何百というトラックを持つ音楽を扱う、精彩な3Dグラフィックを生成する……という作業をするのでなければ、MacBook Pro 14インチ(M3)は最高のパートナーになると思う。
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しばらく使ってみてから気が付いたのだが、MacBook Pro 14インチ(M3)はバッテリーがまったく減らない。ちょっとやそっと作業に使っても数パーセントしか減らないのだ。普通に長時間仕事に使っても、2~3日は充電しなくていいと思う。公称のバッテリーライフはApple TVアプリのムービー再生という負荷のかかる使い方をしても22時間持つという。
どうやら、バッテリーセルはM3 Pro/Max搭載機と同様のようで、M3の消費電力の少なさのおかげで、この素晴らしいバッテリーライフが実現している。22時間というのは、おそらくこれまでのアップルのノートパソコン史上、もっともバッテリーライフの長いノートパソコンだと思われる。
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性能はAirと変わらないが 拡張性と画質と音質はProレベルのお買い得モデル
本機が、もっとも安価なユニファイドメモリー8GB+ストレージ512GBモデルで24万8800円。13インチのMacBook Airを同じストレージ512GBに(MacBook Airには256GBという選択肢がある)したら、19万2800円でその差額は5万6000円。
この価格差は、新しいボディと拡張性、良好な画質と音質を考えると納得できる。
対して、上位モデルであるMacBook Pro 14インチ(M3 Pro)で、チップ以外のメモリを16GB、ストレージ512GBに揃えて比較すると、価格差は5万2000円。
これまで、空白だった両者の中間を見事に埋めていることになる。
正直なとこと、M3は多くの人にとって十分に高性能だ。従来、ここに位置するモデルがなかったので、検討している人は少ないかもしれないが、非常にお勧めできる商品だ。唯一気になる点としては、非常に軽量なMacBook Airより、310gほど重いことだろう。それさえ許容できるなら、良好な画質と音質を備えたMacBook Pro 14インチ(M3)は、自信を持ってお勧めできるモデルだ。
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筆者紹介――村上タクタ 趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。
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