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気分をアゲてくれる旅先の自動運転カー

ASCII.jp / 2023年11月15日 7時30分

Adobe Stock

 11月9日から10日まで沖縄で開催された「ResorTech EXPO 2023 in Okinawa」(以下リゾテック)。沖縄ITイノベーション戦略センターが「Resort」×「Technology」=「ResorTech」をテーマに主催しているイベントで、2019年にスタートしました。多くのIT関連企業が、観光をはじめとする幅広いソリューションを展示しており、ITと旅、そして沖縄が好きな筆者としては、毎年楽しみしている展示会です。

 そこで、今回は沖縄から「旅の未来」を感じさせてくれた展示をいくつかピックアップしてレポートしたいと思います。

イベント会場はコザ運動公園にあり、8月に開催された「FIBAバスケットボール・ワールドカップ」の会場にもなった「沖縄アリーナ」です

自動運転車はもはや移動空間を演出するアイテムに

 屋外でひときわ目立っていたのが、TISの自動運転車です。中国の貴州翰凱斯智能技術有限会社(PIX Moving社)と提携し、同社の自動運転車「RoboBus」を日本で初披露。敷地内の10mほどですが、体験試乗会をしていました。

TISの自動運転車「RoboBus」

 展示してあったRoboBusは6人乗りで、車内にはタッチパネルが用意されており、車内の音楽を切り替えたり、本格的な運用の場合はルートを選んだりできるとのこと。展示車は人を運ぶタイプでしたが、車内を売店やカフェなどにするといったカスタマイズも可能で、同社としてはシェア、移動、レイアウト、連携を可能にする「移動空間」がコンセプトになっています。

ドアは自動開閉で床も低く乗り込みやすい
シートは片側に3人、向かい合わせで合計6人乗車可能
片側は全面窓で景色などが見やすい
タッチパネルで車内環境をコントロールできる

 ホテルの敷地内やアミューズメントパーク、ゴルフ場といったエリア専用車として、すでに海外では導入事例もあるとのこと。海外のホテルやアミューズメントパークってバカデカいところが多く、迷ったり移動だけで疲れてしまうので、こういうのがあると嬉しいです。もし公道を走れるようなれば、観光ガイドを流したり、チャットAIに質問しながら街中や観光地をこれで回るというのも楽しそうですよね。

 (次ページ:キャッシュレス派の旅人にありがたい、アプリ決済の「コインランドリー」)

キャッシュレス派の旅人にありがたい、アプリ決済の「コインランドリー」

 普段の生活だけでなく、旅先でも極力キャッシュレスで過ごしている筆者ですが、鬼門となるのが「コインランドリー」。国内外を問わず、意外とキャッシュレス化が進んでいないジャンルで、硬貨を用意するためにホテルのフロントで両替してもらったりと、手間もかかります。

 コインランドリー用の機器を提供しているアクアは、同社製の現金専用洗濯機や乾燥機に、1万7000円ほどのパーツを取り付けるだけで、スマートフォンでの支払いを可能にするソリューションを展示。

インターネット接続不要で洗濯機と乾燥機がキャッシュレス対応に
現金専用の洗濯機や乾燥機がキャッシュレス対応機になる

 ポイントは、パーツを取り付けた洗濯機や乾燥機自体にはインターネット接続が不要なこと。ユーザーは、洗濯機や乾燥機に貼られたQRコードを専用アプリでスキャンすることで、Bluetoothを介して機器と連携します。アプリで支払いを完了すると、支払い情報がスマートフォンから洗濯機や乾燥機に転送され、コインを投入した状態と同じになり、機器が稼働を開始します。

専用アプリでQRコードを読み取って機器と連携
取り付ける機器は手のひらサイズで小型

 支払いはクレジットカードのほか、Apple PayやGoogle Pay、そしてPayPayやau Payといったコード決済系にも対応しています。

支払いには複数の決済方法が選べる

 すでに導入済みの洗濯機や乾燥機で利用でき、しかもインターネット接続環境を用意しなくて良いので、かなり低コストでキャッシュレスコインランドリーが導入可能。現状は同社製の洗濯機と乾燥機のみの対応ですが、理論的には電源さえとれればコイン投入型の自動販売機にも応用可能とのことで、そういった相談も受けているそうです。

空車状況がすぐわかる、ビーコン方式より格安なAIシステム

 ジャパンインテグレーションは、カメラを使った駐車場の空車状況管理システムを展示。駐車場の空車状況をチェックする際、一般的にはビーコンを使ったシステムが使われていますが、この場合は駐車スペース1台ごとにビーコンの設置が必要で導入コストがかかります。

 ジャパンインテグレーションではカメラで駐車場全体を映し出し、これをAIで解析し駐車スペースに空きがあるかどうか検知するシステムを開発。駐車場がすべて映し出せるならカメラ1台ですむため、ビーコン方式よりも格安で空車状況の管理ができるわけです。

ブースでは駐車場のジオラマを設置
ジオラマの駐車場をカメラで捉え、空車状況をAIで検知
15AIで検知した情報をもとに、空車案内をサイネージなどで伝えられる

 コストを抑えて駐車状況の管理ができるだけでなく、そのデータをネット上で公開して地図アプリと連携させたり、事前予約システムなどとも組み合わせられそう。クルマで観光地へ向かったものの、駐車場がいっぱいで空車待ちに時間を浪費したり、諦めたりということが何度かあるので、是非ともそこまで進化させてほしいです。

 (次ページ:地域WiMAXを使った月額2200円/容量無制限のサービスがお得すぎる)

地域WiMAXを使った月額2200円/容量無制限のサービスがお得すぎる

 またジャパンインテグレーションは、沖縄市、宜野湾市、豊見城市、那覇市でデータ無制限の通信サービス「JI Wi-Fi(ジャイファイ)」も提供しています。これは地域BWAを使ったサービスで、大手キャリアでもMVNOでもなく、ジャパンインテグレーション自身が提供している電波(Band 41)を使ったサービスです(基地局などはソフトバンクと提携)。

地域BWAを使った通信サービス「JI Wi-Fi」

 沖縄県内の4市に限定され、現地に住所や所在地がある場合のみ契約可能ですが、月額2200円で無制限の通信(下り最大220Mbps)とかなりお得。ひとり暮らしや小規模店舗でのインターネット回線として活用できそうです。

 同社はモバイルWi-Fiルーターと据え置き型のホームルーターの両方を提供しており、物理SIMのみの契約にも対応しています。そのため、Band 41に対応し、物理SIMとeSIMのデュアル運用が可能な富士ソフトの「+F FS050W」を使用すると、特定の4市ではJI Wi-Fiを、エリア外では大手キャリアのeSIMを利用した通信が可能になります。

ジャパンインテグレーションで提供しているルータータイプの「+F FS040W」
地域BWAで使われるBand 41に対応した「+F FS050W」

 民泊を運営しているオーナーは、部屋の固定回線のコストをどう抑えるか苦慮していると聞きます。4市の民泊オーナーがこのJI Wi-Fiを導入すれば、かなりコストが抑えられるのではと思います。

どこでもネットにつながる衛星ネットサービス「スターリンク」(Starlink)の売り込み合戦も

 沖縄セルラー(KDDI連結子会社)とソフトバンクの両通信事業者もブースを出展。しかもそれぞれ衛星インターネットアクセスサービスの「スターリンク」をアピール。沖縄は離島が多いため、固定回線はもとよりモバイル回線の展開も厳しいエリアなので、衛星インターネットアクセスサービスには大きな期待がよせられます。

沖縄セルラーブースでのスターリンクの展示
ソフトバンクブースでのスターリンクの展示

 現地担当者の話では、沖縄セルラーでは宿泊施設で3例ほど導入実績があり、問い合わせも増えているとのこと。一方ソフトバンクは9月下旬に提供が始まったばかりのため導入実績はないものの、同じく多くの問い合わせがあるとのこと。

 ちなみに沖縄は離島間の小型フェリー運航も多いので、そこでの導入も期待したいですが、日本の電波法では12海里(約22.2km)の領海内でのみの利用に限定されています。そのため運用面でややハードルがあるそうです。

宿泊施設で当たり前となった大規模なホテルWi-Fiをより快適に

 沖縄は、ホテルなどの大規模なWi-Fi接続環境が必要となる施設が多いため、バッファローは法人向けのWi-Fiルーターをメインに展示。法人向けの製品は、コンシューマー向けよりも耐久性が高く安心して使える点をアピールしていました。

法人向けのWi-Fi機器を中心に展示していたバッファローブース
沖縄ということで、バッファローが代理販売している水中ドローン「FIFISH-V-EVO」も展示。4K 60fpsの水中映像が撮れる。ロボットアーム付属モデルもあり

ご当地キッチンカーめぐりも楽しいよ

 余談ですが、リゾテックは地元で人気のフードカーも毎年出展しているので、グルメも楽しめるのがポイント。沖縄観光も楽しめるので、来年も開催されたら是非皆さんも来場して、これからどんどん快適化していく旅のことを考えてみてはいかがでしょう!

ご当地キッチンカーもリゾテックの楽しみのひとつ
ベーコンチーズバーガー(950円)を頂きました。肉厚で美味しかった!

訂正と詫び:AQ-Connectランドリーの記述について、より正確な内容に本文を修正しました。(2023年11月29日)

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヶ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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