一時はウェアラブルの代名詞だった「Fitbit」が一部の国で販売停止 Pixelにブランド統一か
ASCII.jp / 2023年11月18日 12時0分
グーグルによる買収から2年。Fitbitが一部市場で姿を消しつつある。Pixel Watchに注力するということだろうか。
![Fitbit](https://ascii.jp/img/2023/11/18/3641626/x/80dc2e4149894076.jpg)
Fitbit製品は約30ヵ国ですでに販売を停止
Fitbitが約30の市場で販売を停止した。韓国、マレーシア、タイなどのアジアの一部、エストニア、ポーランド、ポルトガルといった欧州の一部、メキシコを含む中南米すべてが含まれる。
初報を出したAndroid Authorityによると(https://www.androidauthority.com/google-fitbit-exit-countries-3384006/)、現時点で製品が提供されているのは米国、日本、カナダ、英国などの23ヵ国。理由はPixelを重視するため。グーグルの担当者は「ハードウェアポートフォリオをPixelの提供地域に合わせるため、一部の国でFitbitの販売を停止することを発表した」とコメントしている。
これらの国でも既存ユーザーは継続してカスタマーサポート、保証、ソフトウェアとセキュリティアップデートを受けることができるという。
なお2023年、Fitbitブランドの製品は「Fitbit Charge 6」しか投入されていない
ピーク時には44%のシェアを誇ったFitbitだったが……
日本進出は2015年と少し遅れたものの、同社の創業自体は2007年のこと。Apple Watchどころか、iPhoneが生まれた年だ(創業時の名称はHealthy Metrics Research)。最初の製品は2009年で、活動量を測定できるという特徴をうたったFitbit Trackerという名称だった。3Dモーションセンサーが付いたクリップ型のデバイスで、万歩計を知っている我々にとってはそれほど目新しさはなかったかもしれない。
ただ、リストバンド型にしたことが人気を呼んだ理由だろう。また、モバイルアプリでデータを管理できるようにしたことで、さらに人気が高まる。個人的には、Fitbitという名称も良かったように考える。当時、「Fitbitを持っている/着けている」というのは、ウェラブル端末をつけて健康管理をしているということを意味した。Fitbitの株式を取得していたSalesforceのマーク・ベニオフ氏が、Dellのマイケル・デル氏とFitbitで競争しているなどとステージで話していた。
Fitbitが開拓者の1社となって広げたフィットネスバンド市場が盛り上がり始めた頃が、同社のピークだったのかもしれない。
2014年第1四半期、Fitbitのシェアは44.7%(IDC調べ)でトップ、そして黒字化を達成した。そして、その翌年の2015年にIPOを果たした。しかしその年、アップルが最初の「Apple Watch」をリリースした。同年第4四半期、Fitbitのシェアは1年前の43.9%から29.5%に急落。一方のアップルはわずか半年で15%のシェアを取った。
アップルの存在はウェアラブルの世界でも圧倒的になった Jawboneなど、以前のライバルはすでに姿を消した
その4年後の2019年、Fitbitのシェアはわずか4.7%に。トップはアップル(31.7%)、続いてシャオミ(12.4%)、サムスン(12.4%)、ファーウェイ(8.3%)とスマホメーカーが続いて、Fitbitは5位。市場が急拡大する中で、前年比の成長がサムスンが153%、ファーウェイが148%、アップルが121%であるのに対し、わずか14%。平均の89%を大きく下回っていた。
それでもグーグルはFitbitに価値を見出し、買収計画を2019年に発表、2021年1月に買収が完了した。買収金額は21億ドル(当時のレートで約2300億円)だ。Fitbitの共同創業者でCEOを務めていたJames Park氏はウェラブル部門のトップとなり、グーグルが進めていたスマートフォン向け「Wear OS」の開発を進めた。そうしてPixel Watchへとつながっていく。
Fitbit本社を訪問した2015年9月、共同創業者のJames Park氏はフィットネス重視の市場にアピールできること、健康に関するデータを取得していることなどを強みと説明していた。
この原稿を書くにあたって、2014年ごろの市場のデータを見たところ、Jawboneなど懐かしい名前があった。単機能のフィットネスバンドがスマートウオッチに取って代わられるのは明らかだった。Fitbitもスマートウォッチ戦略を進めていたが、やはりここでも市場を変えたのはアップルだったということなのだろう。
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