余計なノイズは除去! BGMや効果音を追加して、見やすい動画を作ろう
ASCII.jp / 2023年11月30日 9時0分
動画制作において、音(サウンド)の役割は非常に大きい。ノイズなど、耳を不快にするような音が聞こえてくると、それが視聴経験を大幅に損なわせ、動画の視聴自体が非常に苦痛なものになってしまうおそれがある。
一方、シーンにマッチしたBGMや効果音が適切なタイミングで流れれば、動画内容への没入感を高められる。このように、音は非常に重要な要素なので、しっかりと動画編集の段階でフォローしておきたい。
今回は、「LumaFusion」アプリでノイズを除去する方法、BGMなどの音楽を使う際の注意点、実際に音楽を入手して編集する方法について解説していこう。
収録した音声のノイズを除去する
動画の編集時、音に集中して作業するにはイヤホン(またはヘッドホン)の着用は必須だ。iPadのスピーカーは高性能だが、周囲の音も一緒に聞こえているので、問題のある細かい音に気づくことができない。視聴者が快適に視聴できる動画に仕上げるには、イヤホンを使って問題のある音を聴き逃さないようにし、適切なバランスの音を目指さなければならない。
さて、イヤホンを着用して音に細心の注意を払っていると、よく「サーッ」というノイズが入っていることに気づくだろう。このようなノイズは「ホワイトノイズ」と呼ばれ、主にエアコンや空気清浄機、冷蔵庫などの家電製品が発生源となっていることが多い。
この手のノイズは非常にうっとうしく、動画視聴の大きな妨げとなる。そのため、ホワイトノイズはできるだけ除去するのが望ましい。しかし、「LumaFusion」だけではホワイトノイズを除去することができない。そこで使うのがプラグインだ。プラグインとはいわゆる拡張機能的なもので、ノイズ除去のプラグインを導入すれば、簡単にノイズを除去できる。
「LumaFusion」でノイズを除去できるプラグインとしては、「Brusfri」がある。元々は単体で動作するアプリなのだが、プラグインとして追加すれば、「LumaFusion」内で機能する。なお、執筆時点では900円の買い切りアプリとなっている。
『Brusfri』 作者:Klevgrand produkter AB 価格:900円 https://apps.apple.com/jp/app/id1289165912
●プラグインを追加する
プラグインを利用するには、まず「AppStore」から「Brusfri」をインストールし、アプリをいったんを起動させる。その後、「LumaFusion」を開いて、プラグインとして追加すればいい。
●ホワイトノイズを除去する
準備ができたらホワイトノイズを除去してみよう。こちらはクリップ編集画面の「オーディオ」タブで操作する。この画面でプラグインを選択すると、「Brusfri」の画面が表示される。あとはオーディオを再生し、ホワイトノイズがある部分で1秒以上ボタンを長押しする。
すると、ボタンを長押しした区間に除去するノイズがあると判断され、オーディオクリップ全体にある同じ音(ノイズと判断された音)を除去してくれる。
BGMや効果音を追加する場合の注意点とは
視聴者を引きつける魅力的な動画を作るには、多くの場合、BGMや効果音は欠かせない存在だ。しかし、BGMや効果音を扱う場合は、まず著作権について注意しなければならない。音楽は著作権によって厳格に守られており、無断での使用は法的な問題を引き起こすおそれがあるためだ。
それでは、どのようにして著作権の問題を避け、合法的に音楽を追加するにはどうしたらいいかを確認していこう。
●素材ライブラリー「Storyblocks」を契約する
「LumaFusion」は、「Storyblocks」というサービスから音楽や効果音などの素材提供を受けており、これらの素材であれば直接挿入できる。素材はロイヤリティフリーで商用利用可能なので、この素材を使うのが最も手軽な方法だ。ただし、無料で使えるのはほんの一部。ほとんどの素材はサブスクリプション契約が必要となる。
ちなみに、料金体系は月額1100円または年間7800円だ(執筆時点)。利用できる素材は音楽、効果音以外にビデオ素材などもある。利用できる素材数は100万以上と非常に豊富なので、バリバリと素材を使う人であれば、かなり破格な値段と感じるだろう。
しかし、素材をたまにしか使わないというのであれば、けっこうな負担となってしまうかもしれない。迷ったときは、いくつかの素材を事前にチェックし、自分のやりたい表現に見合うものがあるかどうか、確認しておこう。素材を確認するだけなら、無料でできる。
●著作権フリーの音源を外部サイトから入手する
最も一般的な方法が、著作権フリーの音源を外部サイトから入手して使用する方法だ。著作権フリーと称される音源は、著作権者が一般に対して利用を許可している音楽のことで、通常は問題なく利用できる。ただし、すべての使用が許可されているわけではなく、あくまで著作権者が設定した条件の範囲内での使用が可能となる。
特に注意したいのが、「クリエイティブ・コモンズライセンス」というもの。このライセンスには複数の種類があり、商用利用不可や改変禁止、クレジット表記必須などの条件を設けていることがある。そのため、音源を使いたい場合は、それぞれのライセンス内容を確認する必要がある。
●信頼できる音源サイトを使う
音源を探す際は、信頼できる音源サイトを利用することが肝心。「YouTubeオーディオライブラリ」「DOVA-SYNDROME」「甘茶の音楽工房」「効果音ラボ」など、著作権フリーを明確にして音源を提供しているサイトは多いので、このようなサイトを使うのがおすすめだ。
【YouTubeのオーディオライブラリ】(https://studio.youtube.com/) YouTubeが運営するBGMや効果音の無料ダウンロードサービス。「YouTube」にアップロードする動画であれば、誰でも自由にコンテンツを使用できる。「YouTube Studio」の「オーディオライブラリ」からアクセスが可能だ。
【DOVA-SYNDROME】(https://dova-s.jp/) アプリ・ゲーム・映像など、さまざま分野の作曲家が登録しているサイト。商用利用可能、クレジット表記不要で利用できるのがポイント。楽曲数も多く、イメージどおりの楽曲が見つかりやすい。
【甘茶の音楽工房】(https://amachamusic.chagasi.com) 幅広いジャンルの楽曲を利用できるサイト。特に、イージーリスニングやヒーリング系の楽曲が充実している。シンプルなデザインで楽曲が見つけやすいのも便利なところ。
【効果音ラボ】(https://soundeffect-lab.info/) フリーで利用できる効果音を集めた国内最大手のサイト。このサイトの効果音は、「YouTube」やゲーム、テレビなどでもよく利用されているので、一度は聞いたことがあるだろう。効果音は2000種類以上あり、すべて無料で利用可能だ。
音楽をダウンロードして「LumaFusion」にインポートする
それでは実際にダウンロードして、「LumaFusion」で使えるようにしてみよう。手順はそれほど難しくない。
まずは、利用する楽曲や効果音のファイルをiPadにダウンロード。次に、「ファイル」アプリでダウンロードしたファイルを共有し、「LumaFusion」を選択する。これで「LumaFusion」の「インポート済み」フォルダの「Shared」フォルダにファイルが保存され、タイムラインに配置できるようになる。
インポートした音楽や効果音を利用する
音楽や効果音をインポートできたら、早速タイムラインに配置してみよう。
●素材をオーディオトラックを配置する
手順は動画素材と同様で、配置したい位置のオーディオトラックにドラッグ&ドロップすればいい。なお、オーディオトラックも6本まで重ねて配置できるが、原則として最上位にメイントラックの音声、次に音楽、下位には効果音を配置する。これは、基本的なルールなので覚えておこう。
●トランジション機能を適用する
映像と同じように、音楽も途中でカットすると唐突に終わった感じが出てしまう。そのため、スムーズに音楽を再生/終了させるには、フェードイン/アウトを使おう。
この方法は映像の場合と同様で、トランジション機能の「クロスディゾルブ」を選び、フェードイン/アウトさせたい場所にドラッグ&ドロップすればいい。クロスディゾルブが適用されたら、あとはフェードの速度を調整すればOKだ。
なお、曲がつながっている箇所にクロスディゾルブを適用させると、曲がオーバーラップしたような感じでつながる。曲を途切れさせずに別の曲へ移行させたい場合は、この方法を使おう。
音量を調整して快適な視聴体験を提供しよう
動画の音量は、視聴者に最も直接的な影響を与える要素の一つだ。あまりにも大きな音量は不快感を与え、また、小さすぎると重要な情報を聞き取れない可能性がある。
よくある例は、BGMが大きすぎて人の話す声が聞き取りづらいというもの。このような場合、音楽ばかり聞こえてきて肝心の情報が理解しにくいので、視聴者はかなり苛立ちを覚えるだろう。このような事態を避けるためにも、音量のバランスを慎重に調整する必要がある。
音量調整で基本となるのは、視聴環境が異なる多くの人々に対応できるよう、標準化されたレベルに設定することだ。一般的に「-15db」程度が多くの視聴環境に適応する音量とされている。ただし、動画の内容や目的によっては、このレベルを調整する必要があるということは覚えておこう。
また、音量の一貫性も重要だ。動画全体を通じて音量を一定レベルにすることで、視聴者が音量調整をする手間を省ける。人が話す場面とBGMが鳴っている場面では必然的に音量が変わるため、これらの差をなくし、聞き取りやすいバランスに調整することが大切だ。
音量を調整する方法は、「プロジェクト全体」「トラックごと」「クリップごと」の3つの方法がある。はじめにプロジェクト全体の音量を調整し、続いて、トラック→クリップというように確認していくと、バランスのとれた音に調整しやすい。
●プロジェクト全体の音量を調整する
プロジェクト全体の音量を調整するには、タイムラインの左側に表示されている音量バーのつまみを調整する。調整したら動画を通して確認し、個別に調整する場所を確認しておこう。
●トラックごとに音量を調整する
トラックごとに調整する場合は、画面左下のミキサーアイコンをタップする。トラックごとに表示された音量バーを調整すればいい。なお、初期状態だとBGMは大きく聞こえがちなので、BGMのトラックは、ここで調整しておくと効率よく作業を進められる。
●クリップごとに音量を調整する
クリップごとに調整する場合は、そのクリップをダブルタップする。クリップ編集画面の「オーディオ」タブが開くので、画面右側の「ゲイン」を調整する。
今回は、視聴の邪魔になるノイズの除去方法、BGMなどの音楽に関する入手方法や編集方法について紹介した。動画は音が非常に重要なので、編集の際はイヤホンを装着して、しっかりと確認しつつ編集作業するようにしよう。
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