USB/Bluetoothの両刀使い、Astell & Kernの小型アンプ「AK HB1」をレビュー
ASCII.jp / 2023年12月3日 9時0分
「AK HB1」はAstell & KernのBluetoothレシーバーの新製品だ。しかし、Astell & KernはAK HB1を「Bluetoothレシーバー機能を備えたワイヤレスとワイヤード両対応のDAC内蔵ポータブルアンプ」と呼んでいる。実際にAK HB1は単にBluetoothレシーバーでは収まらない多機能性を有している。
![AK HB1](https://ascii.jp/img/2023/12/02/3649227/x/837931931af2b82c.jpg)
Bluetooth接続とUSB接続に両対応
Bluetoothレシーバーとしては、Bluetooth 5.0に対応し、マルチポイント接続も可能だ。コーデックはSBC、AAC、aptX HDに加えてLDACにも対応している。3.5mm端子だけではなく、4.4mmのバランス駆動用端子も持つ。
特徴は大型のボリュームホイールを採用したことだ。使いやすく細かな音量調節ができる反面、不用意に音量を上げてしまうこともあるので、ホイールロック機能も用意されている。
DACには「ES9281AC PRO」を搭載。最大384kHz/32bit(PCM)またはDSD256までのネイティブ再生ができる。USB DACとしても使用でき、UAC1.0モードに対応している。UACとはUSB Audio Classのことで、ホスト側の機器(PCなど)が備える標準的に備えているUSBオーディオドライバーの種別を指す。
本格的なDACを使用する際にはハイレゾ伝送可能なUAC2.0を使用することが多いが、全ての製品がUAC2.0に対応するわけではない。他方、ほとんどの場合、UAC1.0には対応している。例えば、携帯ゲーム機の「Nintendo Switch」も、UAC1.0には対応しているので、UAC1.0モードにすれば特別な設定なくAK HB1を接続できる。
![AK HB1](https://ascii.jp/img/2023/12/02/3649235/x/24068d05bd39654c.jpg)
AK HB1はバスパワー駆動と内蔵バッテリー駆動の切り替えもできるので、接続できる機器と応用範囲が広がる。内蔵バッテリーを使用すれば、ホスト側のバッテリー消費を抑えたり、給電できる電力に制限があっても回避できる。バスパワーを使用すればAK HB1側の電池切れを気にすることなく使える。
![AK HB1](https://ascii.jp/img/2023/12/02/3649227/x/837931931af2b82c.jpg)
接続用のUSBケーブルはUSB Type-CとLightningにそれぞれ対応した2本を同梱する。両方ともデュアルノイズシールド構造を採用した本格的な太いケーブルだ。iPhoneやAndroidスマートフォンにも接続できる。
さらに車のイグニッションに応じて電源が自動的にオン/オフするカーモード機能も搭載している。
ウェブ会議にも役立つマイク入力
本体には高感度MEMSマイクを搭載。クアルコムのcVc 8.0にも対応し、クリアな通話品質を確保。USB DACとして使う際は、3.5mm端子(4極)でインラインマイク入力ができるので、マイク搭載の有線イヤホンでの音声通話も可能となっている。ウェブ会議でも役立つだろう。
![AK HB1](https://ascii.jp/img/2023/12/02/3649234/x/9e26861e1ded52a3.jpg)
このように多機能・多用途なAK HB1は、専用アプリ「AK Control」を使うことで、バッテリー情報、Bluetoothコーデックの表示、接続デバイスの優先順位、充電モード切替、ユーザーEQの設定、カーモード設定、DACフィルター設定、USBオーディオクラス(UAC)切替などの設定・表示が可能となる。アプリはiOSとAndroidがともに用意されている。
クリアで低ノイズ、高域志向で声の聞こえがよい
使用してみると、幅39.8×奥行き16.5×高さ68.4mmで約40gの本体は、コンパクトかつ軽量で、持ち運びしやすく感じる。色々な場面での使用につながるだろう。
![AK HB1](https://ascii.jp/img/2023/12/02/3649229/x/604677cfe9547758.jpg)
まず、BluetoothレシーバーとしてiPhoneに接続して聞いたみた。音質はとてもクリアでノイズが少ない。最近のAstell & Kernらしい低ノイズ志向の音作りが引き継がれていることを感じる。周波数バランスは良好で、フラットに近いが、やや高音寄りの音だと感じる。中高音域は澄んでいてきれいな音作りがなされ、低音は引き締まってタイトだがやや軽めだ。
低域が抑えめなので、相対的にヴォーカルが聴こえやすい。こうした音傾向から女性ヴォーカルの声が魅力的に聞こえ、ワイヤレスで使っても声の質がよくつかめる。また生ギターやヴァイオリンのようなアコースティック楽器の再現性が高く、ワイヤレスでも細かなこすれや鳴りがよく聴こえる。ロック向けではないが、アニソンやアイドルポップなどには向いていそうな傾向だ。
USB接続して使用すると、音質はさらに高くなる。スマホのゲームをしてみると、音が鋭いので破壊音や発射音のような機械音が分かりやすい。ゲーミングにも向いているだろう。音場再現力として立体感や奥行きが良好な点も音の位置がつかみやすいと思う。
![AK HB1](https://ascii.jp/img/2023/12/02/3649231/x/2d8c7b5c0c0106ef.jpg)
またコンパクトさを生かして、「AK PA10」などのアナログポータブルアンプの上流に使うのも良い。音のシャープさはそのままにAK PA10の本格的なアンプの音質が加えられる。
AK HB1は、優秀なBluetoothレシーバーであるとともに、ゲーム機との接続性も考えられてる。最近のトレンドにも沿った製品だ。音楽だけではなくガジェット的に色々な用途に使いたいというユーザーに向いた新製品だと言える。直販価格は3万9980円だ。
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