世界で一番売れたゲーム機「PlayStation 2」は日本のDVD普及にも多大な貢献をした
ASCII.jp / 2023年12月8日 12時0分
未来を一瞬で過去にしたPlayStation 2
ソニーが世に生み出したゲームコンソール、PlayStation(プレイステーション)。格段にクオリティーが跳ね上がったゲームを堪能していたはずだったのに、それを遥かに凌駕する次世代機PlayStation 2(以下、PS2)が現れました。そう、今回の主役です。
PS2は2000年3月4日に発売され、価格は3万9800円(税別)でした。初代プレイステーションの発売日(12月3日)のような語呂合わせをしていないように見えて、元号にすると平成12年の3月4日、イチニサンヨンとキレイに揃えてきました。
デザインを手掛けたのは初代プレイステーションやVAIOシリーズのデザインやロゴを手掛けた後藤禎祐氏。ライトグレーで角に丸みのあったどこか愛嬌のあったプレイステーションと違い、直線で構成されたボディーはブルーのPS2ロゴと縦置きスタンドを利用することでそびえたつその姿はまさにサイバーな黒いビルのような姿。未来のゲーム機がやってきたと思える超絶的なかっこよさでした。
ソフトもDVDに進化してムービーまんまのゲームに
光学ドライブはDVDへと進化して、当時のVAIOに搭載していたUSBやi.LINK(IEEE1394)といった端子を装備するなどインターフェイスを見るだけでもよだれ物の最新ハードウェア構成。ソニー・コンピュータエンタテインメントと東芝の協業により開発されたエモーションエンジンや、独自開発したグラフィックスシンセサイザーといった内部構成によって、おそろしく美麗なゲームのグラフィック性能など進化は圧倒的です。
プレイステーションのときは、オープニングムービーは綺麗なのに、いざゲームが始まると急激に画質が下がってしまって、あれ? という事がごく当たり前にありました。ところが、PS2のゲームは、動いているキャラクターや背景までもが美しい。こんな映像クオリティーのままでゲームプレイできるのかと感動したものです。
今まで超えられなかったゲームセンターの映像に迫るというか、自宅で同等レベルのゲームが遊べる日がきた! と本気で驚いたし、これほど発売日を待ちわびたことはなかったと思います(初代プレイステーションの時も同じようなことを言ってましたが)。
付属のコントローラは「DUALSHOCK 2」になりました。デザインや機能は初代の「DUALSHOCK」を踏襲しつつ、主要ボタンが256段階の感圧式になったことで、微妙な押し加減で挙動を変えられるようになったため、よりゲームにもリアル感が備わってきました。たとえば、グランツーリスモでアクセルやブレーキを実際の車のようにゆっくり踏んだりなどの操作できました。
PS2用ソフトのケースも、プレイステーションのCDサイズから一新されて、縦長のトール型のケースになりました。何もかもが新しいPS2ですが、これだけ世の中にすんなりと受け入れられたのは、PS2タイトルに加えて初代プレイステーション用ソフトもプレイできたおかげだと思います。
日本にDVDを普及させた功績は大きい
ゲーム機としてのインパクトがすごかったのはもちろんですが、もう1つのキラーポイントとなったのは、DVDプレーヤーとしての機能も備えていることでした。ちょうどDVDが世に出たばかりで、その再生専用機はまだまだ高価だった頃。PS2はゲーム機もできてDVDも見られるとあって、需要が高まるのは当然の流れであり、逆にPS2があるからDVDソフトを買おうというムーブメントまで起きていました。
おかげで家電量販店やゲームショップでもDVD販売コーナーが展開されたり、後にはDVDレンタルも始まったり、PS2のおかげでDVDが日本で普及したといっても過言ではないでしょう。
ただ、PS2初期の「SCPH-10000」や「SCPH-15000」は、本体単独でDVDを再生できなくて、付属していたユーティリティーディスクをわざわざメモリーカードにインストールしないといけないという、ちょっと面倒な仕様でした。
ゲームも人気タイトルが揃っていた
ゲームのローンチタイトルとしては、「リッジレーサーV」はお約束で買って、うんこれはリッジレーサーだねと一通り納得して、筆者はその直後に発売された「鉄拳タッグトーナメント」にドハマりしてしまいました。タイトルのごとく2人のキャラクターを入れ替えて思い通りに操ってのバトルはもちろん、マルチタップをつなげば最大4人でプレイで対戦もできました。夕方に下校する複数人の高校生たちが完全に入り浸って、毎日毎日何時間も遊び続けていたのでした。
グランツーリスモシリーズは、待ち続けても延期を繰り返していつまでたっても出てこなかったり、かと思ったら途中でプロローグを挟んだりと、思い返せばいろいろとツッコミどころもありますが、「グランツーリスモ3 A-spec」や「グランツーリスモ4」のリアルさに感動してレースに夢中になってプレイしていたことを覚えています。
「グランツーリスモ」で本格ドライビングを体験したいがために、ハンドルコントローラーを解体された本物の車のシートに備え付けたり、32型のFDトリニトロン管テレビ「WEGA」を目の前にひろがるディスプレイに、そして自分を取り囲むように鳴り響くエンジン音が聞ける5.1chサラウンドシステムをわざわざ用意して。
手に伝わるハンドルの抵抗を感じながらこれがリアルだぜ!と自己満足にひたりながらレースに挑んでいました。結局、ハンドルを握って走るよりもコントローラーのほうが成績が良かったりするのはお約束ですけれども。
オンラインゲームを可能にする周辺機器も!
PS2は、発売以降もいろいろな進化を遂げていきました。周辺機器にハードディスクドライブとネットワークアダプターがセットになった「プレイステーション BBユニット」が登場し、これをPS2に取り付けることでインターネットに接続でき、ついにゲーム機でオンラインの世界へ旅立つことができました。
ここで「ファイナルファンタジーXI」の世界へ踏み出し、オンラインで一緒に戦う事を覚えたものの、まさかチームが編成されるまでに1時間も2時間も待たなきゃいけないうえに、いったん旅に出ると数時間も帰ってこれないなんて思ってもいなくて、ヘビーユーザーのみんなについていくのが何しろ大変でした。みんな優しくて、たくさんサポートしてくれるのはうれしいけど、いや次の日仕事なんですよ現実に帰してくださいよ……と心の中で泣いていました。いや、これもまたいい思い出です。
本体についても、「SCPH-30000/50000シリーズ」は「プレイステーション BBユニット」が内蔵されていたり、その後に出てきた「SCPH-70000/9000シリーズ」は従来の体積比で1/4という薄型かつ超コンパクトなモデルになったりりと、機能やデザインも様変わりしていきました。限定カラーのモデルがたくさん販売されたのもこのPS2からだったと思います。
コラボモデルも多数! そして伝説へ……
2001年には累計出荷台数2000万台を記念して発売された、特別限定「ヨーロピアン・オートモービル・カラーコレクション」や、2003年には「機動戦士Zガンダム エウーゴvsティターンズ」とコラボした全身金色の「百式ゴールドパック」など、希少で手に入らなかったモデルも多々ありました。
PS2は、2012年12月まで生産され続け、結果的に世界で1億5500万台以上も売れたそうで、“史上最も売れたゲーム機”として歴史に名を刻むことになりました。そのバトンは、次なるモンスターマシン「PlayStation 3」へと引き継がれていくのです。
「物売るっていうレベルじゃねぇぞ!」のその時に。
筆者紹介───君国泰将
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