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PSブランド初のワイヤレスイヤホンはまさにゲーム機に特化した製品、その使い勝手とは

ASCII.jp / 2023年12月14日 9時30分

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、12月6日より「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」を発売した。価格は2万9980円。本製品はPlayStationブランド初の完全ワイヤレスイヤホン。

 カスタム設計のプレーナーマグネティックドライバー(ドライバーサイズは非公開)を内蔵し、同社独自の低遅延の独自ロスレスオーディオ規格「PlayStation Link」(PS Link)により、歪みの少ない高音質が楽しめるとしている。

「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」のデザインは、PS5を連想させる丸みを帯びた形状、白と黒の2トーンカラーとなっている
充電ケースはスライドさせて開くタイプ
USBアダプターはType-A接続。PlayStationのロゴに、DualSense ワイヤレスコントローラーの〇×△□の4つのボタンを示す模様をあしらったデザイン

 今回、SIEより発売前に商品をお借りする機会を得たので、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」がどういった製品なのかをレビューしたい。

操作はボタン式で使用方法はシンプル

 「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は、PlayStation対応周辺機器のブランドであるPLUSEブランドのイヤホン。親会社であるソニーは、ゲーミングブランドとしてINZONEを展開しているが、INZONEはPC向けゲーミング市場を視野に入れたブランドであるため、立ち位置が異なる。

 「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は、PS5や先月発売されたばかりの「PlayStation Portal リモートプレーヤー」には、PS Linkを使ってとても手軽に接続できる。

 BluetoothやUSBアダプターにより、PCやスマートフォンとも接続できるが、INZONEのようにPC用ソフトウェアが用意され、内蔵メモリーに設定を保存するといった機能を有していない。あくまで完全ワイヤレスイヤホンの基本的な使い方の1つとしてPCやスマホとも接続できる、といった印象だ。

 その分、使用方法はとてもシンプルで、若年層も使用するゲーム機用を意識した作りになっていると感じた。たとえば、INZONEの「INZONE Buds」など多くの完全ワイヤレスイヤホンは、ハウジング部分をタッチして操作する。一方で、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」はタッチ操作ではなく、音声調整ボタンとPS Linkボタンのみを備える。

 「INZONE Buds」のようにPCソフトウェアで操作方法をカスタマイズできず、曲の再生や曲送り、マイクのミュートなどはできない。

 ちなみに、一般的な完全ワイヤレスイヤホンの場合、左右で操作が異なることが多いが、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は左右どちらも同じボタンを備えている。

 そのため、右と左どちらか一方が使えない場合でも音量が変えられる。また、どちらか一方が周波数の混戦などで接続が切れた場合でも、PS Linkボタンで即復旧できるようになっている。

耳に入れた際に後ろに来る側に、音声調整ボタンがある。充電ケースの端子付近は、〇×△□とイヤホンと同じ4つのマークがシボ加工のように入っている、見えないところにまでデザインにこだわっているのもSIEらしい
PS Linkボタンが左右どちらのイヤホンにも搭載されている

 ちなみに、PS Linkボタンは充電ケース側にも搭載していて、別途イヤホンだけを購入した際に、USBアダプターを取り外すことなく、充電ケースに入れた2台目のイヤホンをUSBアダプターとPS Linkで接続するのに使用する。

 一般的な完全ワイヤレスイヤホンの場合、USB送受信機やイヤホンが故障して買い換えて、故障してない方とリンクさせるには、PCソフトウェアを使う。しかしながら、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」はPS Linkボタンのお陰で、PCレスでも簡単に再セットアップできるようになっている。

充電ケースにあるPS Linkボタンは、付属のUSBアダプターとイヤホンをPS Linkで結びつける際に使用する

 イヤーピースは一般的なシリコンタイプで、最初から付いてるのとは別に交換用のものが3種類用意されている。ちなみに、同梱している付属品は充電用ケースとイヤーピースのほか、USBアダプターと充電用に使うUSB Type-Cケーブルのみとなっていて、ACアダプターはないので注意。

付属品は上記のように化粧箱に収まっていた

 PS5はBluetootでイヤホンが接続できないので、USBアダプターにて接続する。PS Link接続を可能とするUSBアダプターはUSB Type-A接続で、サイズはUSBメモリーくらいの大きさ。PlayStation 5に挿すとやや飛び出るので注意が必要だ。

PS5の前面にUSBアダプターを取り付けた場合。割と飛び出るので引っ掛ける心配がある

 PS5と接続すると、「PS Linkデバイス」として認識される。マイクレベルはPS5側で調整できる。

PS5にUSBアダプターで接続すると、周辺機器のヘッドセットに「PS Linkデバイス」として表示される
マイクレベルの調整もできる

サイズはやや大きめで、高いフィット感がある

 では、実際に音質などはどうなのか。今回は筆者の私物である「INZONE Buds」とロジクールの「G FITS」とも使用面なども含め比較してみた。音質に関しては、好みの問題もあると思うので参考程度として欲しい。

3万円前後と、大体同じ価格帯の完全ワイヤレスイヤホンを比較機として用意

 上画像の左上が「G FITS」、右上が「INZONE Buds」。「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」はケースはやや大きめで開き方も横開きのため、開くとややサイズ感が目立つ。

 しかしながら、イヤーピースの形状が変形する関係上、イヤホンがしっかりホールドされない「G FITS」と異なり、「INZONE Buds」と同じくしっかりとケースにイヤホンがハマるため、充電がされてないといったことは起き辛そうだ。

 イヤホンのサイズ感はハウジングの構造や物理ボタンの問題もあってか、他2つよりもやや大きめ。精密な重量が計測できるスケールが手元にないが、とはいえ極端に重いといった感じはしない。

イヤホン本体のサイズ比較

 「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は耳介にハウジング部分が当たり、しっかりホールドされる感じはあった。装着感は人によって耳の形状も違うので、気になる人は購入する前に実際に量販店などで試して貰った方が良いだろう。

 USBの送受信機(各製品によって名称が異なる)は、USB Type-C接続で小型の「INZONE Buds」、同じType-A接続の「G FITS」のものよりもやや大きい。

USB送受信機の比較。左から「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」、「INZONE Buds」、「G FITS」

音質はクリアで明瞭だが、迫力にやや欠けフラットな印象

 音質については専門家ではないので簡単に。PS5にて今年ヒットしたロボットアクションゲーム『アーマード・コア6』をプレイ。ライフルの音やミサイルの発射音の響き、爆発の迫力は「INZONE Buds」、「G FITS」にやや劣るものの、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は歪みを感じないクリアで澄んだ音でまずまずな印象。音の定位感はほぼ同一で、どの方向から攻撃を受けたかに関しては、どれも分かり易いと感じる。

 「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」に内蔵されているプレーナーマグネティックドライバーは、SIEが今年8月に買収したAudeze(オーデジー)の平面磁気ドライバーをカスタムしたものと考えられる。平面磁気ドライバーは、振動版の全体をほぼ均一に動かせるため、振動板を薄く軽くでき、音の信号のレスポンスが良くなるメリットを持つ。

 振動板が大きければ力強い低音を再生しやすく、振動板を均一に動かすことで歪みが少なくクリアな音が鳴らせる。また、レスポンスが良いため残響や余韻のような微細な音も明瞭に聴き取れるという。

 最近のゲーム用イヤホンやヘッドセットは、FPSで爆発音や銃撃音がうるさいと、敵の足音が良く聴き取り辛いという意見もり、あえて重低音を抑えてフラットな音質になっている傾向がある。

 「G FITS」はその傾向が強いが、「INZONE Buds」は今回の比較機のなかでは、もっとも重低音の迫力がやや強い印象。一方、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」も「G FITS」と同じ傾向で、さらに音が軽い。

 音の解像感はクリアで、バックミュージック、効果音と微細な音まで再現していて、ホワイトノイズなどもなく聴きやすくはあるが、ソロキャンペーンでの高い没入感を得るための迫力が欲しい人には向かないように感じた。

 また、PS5ではそれでも比較機の2製品と、かけ離れた差は感じなかったが、PCに接続して楽曲を聴くとなると、PCソフトウェアの影響もあるのか、割と明確な差を感じる。たとえば、YOASOBIの「アイドル」で言えば最初の入りの強い重低音の迫力は「INZONE Buds」と比べると明らかに弱い。

 さらに、Bluetooth接続では、LE Audio接続の「INZONE Buds」よりも音の劣化が大きく、より音の残響などが残らないように感じた。汎用性のあるPCソフトウェアのイコライザーで調整すると変わるかもしれないが、やはり音楽用として考えている人には向かないだろう。

接続はシンプルで快適

 一方で「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」の接続性はシンプルで快適。たとえば「G FITS」の場合、USBアダプター接続とBluetoothの切り替えは、3回タップする。PCの場合は、接続できたかどうかは独自アプリの「G HUB」で確認できるが、PS5だと接続できたかどうかは、実際に音が出るまで分からない。タップ操作にも慣れが必要だ。

 しかし、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は、充電ケースから出したらすぐにUSBアダプターと接続できる。「INZONE Buds」はPC接続と、PS5/Mobile接続はスイッチで切り替える必要があるが、そういった手間もない。PCにおいても同様だ。

 ちなみに、BluetoothとPS Linkは同時接続ができるため、スマホとBluetooth接続していても、USBアダプターを接続したPS5やPCとは接続できて音が聞けるし、電話がかかってくればスマホで通話もできる(着信はイヤホン側で操作できないので、スマホを操作するしかないが)。

 また、前述した「PlayStation Portal リモートプレーヤー」は、Bluetooth接続に対応していないため、ワイヤレス接続したい場合は、PS Linkを使う必要がある(イヤホンジャックはあるので、ジャックに挿せるBluetoothレシーバーを使えば、接続できないこともないが)。PS Link対応の製品は、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」か2024年2月21日発売予定の同社の「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」のみ。

 現状インナーイヤホンで「PlayStation Portal リモートプレーヤー」に無線で接続できるのは、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」のみとなっている。

「PlayStation Portal リモートプレーヤー」のPS Linkボタンを押すだけで、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」が簡単に接続できる

接続距離は短め?ただし、再接続はラクチン

 1つ気になったのは、筆者は机の下にPCやPS5を置いているのだが、「INZONE Buds」と「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は、時々片方または両方の接続が切れることがあった。そこで、最後にやや意地悪なテストとして、USBの送受信機を取り付けてどれだけ離れられるか実験してみた。

 「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は扉2つ隔てたトイレに入ったところで接続が切れたが、「INZONE Buds」は接続が維持できた。ただし、「INZONE Buds」も直線距離で10mは離れる2階に上がったところで接続が切れた。一方で、「G FITS」はロジクールの売りのゲーミングマウスやキーボードにも採用しているLIGHTSPEEDワイヤレスの強みにより、2階に上がっても多少音は崩れたものの接続自体は維持できていた。

 とはいえ、接続の復旧はUSB送受信機がある部屋に戻れば行われ、それでも接続できない場合でも、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は、PS Linkボタン1つで解決するので分かり易くて好印象。とはいえ、自宅の2.4GHz帯の混雑具合などにもよるが、できるだけ障害物のない場所にPS5を置いて使った方が良さそうだ。

接続のし易さは好適、主な使用がPS5ならアリ

 「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」は、PS5や「PlayStation Portal リモートプレーヤー」で使うには、PS Linkで素早く接続でき、遅延のない音でゲームがプレイできる。PCやスマホとも接続できるが、あくまでイヤホンとして使えるようにしているだけで、専用ソフトも用意していない割り切りを感じた。

 曲の再生や曲送り操作ができないのも、音楽再生用としてではなく、PS5で使う際はDualSense ワイヤレスコントローラーやPS5用のメディアリモコンと、操作できるデバイスが既にあるためであると考えれば納得がいく。

 その分、ゲーム中に音が大きすぎると気になった際に、左右どちらでも手早く音量調整ができるように物理ボタンが搭載されている、といったゲーマーに重きを置いた配慮がなされていると感じた。

 音質は全体的に軽く「INZONE Buds」などにはやや劣る印象。しかしながら、「PlayStation Portal リモートプレーヤー」に現状唯一ワイヤレスで接続できるという点や、PS LinkとBluetoothに同時に接続でき、接続方法を切り替えることなく2つのデバイスで同時に使える利便性は好印象。

 PS5でゲームをプレイするための完全ワイヤレスイヤホンが欲しい、接続の手軽さ、シンプルな操作性に魅力を感じたら、「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」の購入を検討してみてはいかがだろうか。

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