生誕15周年 限定200台しかない「ポメラ」DM250X Crystalを衝動買
ASCII.jp / 2023年12月15日 11時30分
生誕15周年記念モデルを受注開始時間に待機して入手!
キングジムが限定数200台の「ポメラ生誕15周年記念モデル」として発表した、ポメラDM250をベースとしながらスケルトン筐体の「ポメラ」DM250X Crystal(以降、DM250X)を、予約開始日の11月1日午前中から待ち構えて衝動買いした。外観以外のスペックは従来のDM250と同様なので、以前紹介した「値ごろ感が出始めた「ポメラ DM250」を衝動買い」を参照頂きたい。
DM250Xは、2008年に発売開始したポメラの誕生15周年を記念したモデルのため出荷は150台、もしくはベースモデルは現在の最新モデルであるDM250のため、DM250Xは250台が妥当だと考えたがちょうど間をとって200台なのかもしれない。待ち構えてたDM250Xは、当初の予定通り11月29日に自宅に届いた。
届いたDM250Xのパッケージは、キャンペーン企画「15周年記念プレゼントモデル」のような透明でオシャレなアクリル系のパッケージではなく、単なる茶箱に記念プレゼントモデルと分かるオレンジ系のシールが貼られた、ちょっと残念な梱包だった。
DM250Xの操作感と機能性をチェック
速攻で開梱し、目的のDM250X本体を取り出した。早速、筆者の現有機であるDM250と並べて記念撮影をしてみた。ベースモデルとなったDM250と15周年記念モデルのDM250Xとの最大の違いは、筐体がクリアかどうかということだが、実際に手にするとマットで多少ザラザラしたDM250と、ツルツルした表面のDM250Xの違いが一番大きく感じた。
DM250Xはツルツルしてはいるが滑りやすいというわけではなく、筆者的には特に持ちづらいということもなくなかなか快適なホールディング性だと言える。液晶の白黒反転を何度かやってみたが、その表情の変化も外観色とのバランスも違和感は感じなかった。
DM250Xは外装の100%がクリア(スケルトン)なイメージだが、当然と言えば当然なのだが液晶背面の全面積の65%近くは7.0インチTFT液晶で覆われており、底面は同じく全面積の55%以上は内蔵のリチウムイオンバッテリーが透けて見えるために、それほどの立体感のないのっぺりしたイメージになってしまう。
実際にトランスルーセントなクリスタル感を感じるフォトジェニックポイントは、バッテリー横のポメラの基板部分、正面から見たTFT液晶画面の右側の何にも内蔵物のない透き通った空間部分。そしてTFT液晶画面の左側に見える液晶コントローラー部分の3ヵ所となる。
DM250Xの操作感と機能性をチェック
定評のあるキーボードは、キーキャップがクリアで内部のキースイッチ部のパンタグラフやセンタードームがホワイトで、よく見るとパンタグラフやセンタードームの動きも良く分かる。刻印は黒色の中央配置なので、アルファベットはよく見えるが記号などはかなり小さく感じて見づらいかもしれない。
キー入力中に時々キーキャップの印字をチラ見する必要のある、筆者のような「なんちゃってタッチタイプ派」だと、時々記号などが刻印されたキートップ上を目で探してしまうことがある。基本的に、DM250と同等なので慣れれば問題のない世界のはずだ。
キングジムのウェブサイトには、今回のDM250Xは「外観の透明度を上げるために丁寧に塗装を施し、ベース機種であるDM250から細かな仕様変更を経て、高級ガジェットとして満足できるプレミアムな逸品に仕上げた」のが特徴だと記載されている。
残念ながらDM250の内部構造や補強の仕組みなどは、本体を分解してみるまで分かりそうにない。そこで単なる興味本位で、今回のDM250Xと筆者のベースモデルのDM250の2台をキッチンスケールで実測してみた。
実測の結果、DM250Xは1gのSDカードを含んで623g、ベースモデルのDM250は620gとDM250Xモデルの方が2gだけ重い。写真の通りベースモデルのDM250現有機は本体の表面も裏面もかなりの面積をシールで覆われている。ハードウェアの個体差があるとしても、これらの結果からDM250Xの方がDM250より2g以上重いことは間違いなさそうだ。この差が仕様変更の結果であれば、ぜひその内容を知りたいものだ。
DM250Xにふさわしいケースを探し満足感に浸る
DM250Xを衝動買いした結果、同じDM250系が2台になってしまった。モバイルデバイス系には必須のケースだが、今回はDM250用にDM100の時代から愛用しているヴァンナイズの一見ポール・スミス風のデニムケースを共用するつもりでいた。
しかしDM250Xは、スケルトンな仕様で内部がいろいろ見えるので、派手な柄物のケースは何となくミスマッチ感があった。そこで今回は黒に近い濃いネイビーカラーの超シンプルな薄い革ケースを追加で衝動買い。大昔、愛用していたクリアなパームパイロットと革ケースのコンビネーションを彷彿とさせ、自己満足感に浸れるようになった。
改善の余地が大いにある文章の共有活用の仕組み
筆者は折り畳みキーボードではないポメラの100、200、250、250Xと3.5世代を連続して使い続けている。毎回、キー入力文書作成デバイスとしての価値は十二分に認めても、ポメラのどの世代においてもいつも引っかかっているのは、文章の共有活用の仕組みだ。
今回のDM250Xもベースモデルと同じく、基本的な文書保管は内蔵メモリーかSDカードだ。昨今流行りのクラウドストレージによる共有を考え出すといろいろ面倒で特殊な手段を取り入れるか、ポメラ内蔵の「QRコード」か「アプリ接続」「アップロード」「PCリンク」などの「遠回り手段」しか、選択肢は見当たらない。
原稿や企画書をDM250Xで書いて、続きの仕上げをパソコンでやったりその逆をやろうとすると、かなり面倒だ。一般的には「アップロード」機能を使って直接DropboxやGoogle Driveにアップロードできると思ってしまうが、ポメラのアップロードは今もGmailの仕組みを使ってメールの本文として文書を送る仕組みだ。
残念ながら、ポメラは相変わらずグーグルに「信頼できないアプリやデバイス」と認識されている。そのため、ポメラで書いた原稿や文章をGmail経由でアップロードする際、2段階認証を通じて初期パスワードを発行し、それをポメラの設定画面にある自分のGoogleアカウントのパスワード欄にコピペしなければ、アップロードすることができない。
明らかにこれはポメラ側の仕様の問題だが、どうもポメラニアンの多くの先人はこの不具合にはそれほど不満ではないのか、使うことがないのか、ネット上にはクレームや愚痴があまり見当たらない。どうもポメラは、「文書入力単体完結型デバイス」でコワーキングやワークシェアとは無縁でも、生きていける奇跡のガラパゴス・デバイスなのかもしれない。
今回は久しぶりにポメラユーザーの多くが使っているであろうUSBケーブルでパソコンと接続してデータ転送するシンプルな「PCリンク」以外のもう1つの手段を試してみた。レガシーかつ奇想天外な手段は文書を複数のQRコードに変換し、スマホ上のPomeraアプリにより連続読み取りをするものだ。
QRコードによるスマホ側への読み取りは、4300文字程度の文書であればPomeraQRコードのサイズ(小)で29回スクロール読み取りすることが必要だ。もちろんPomeraQRコードのサイズを大きくすると、スクロール数は減る。例えばPomeraQRのサイズ(大)なら7回で4300文字を転送可能だ。サイズ(大)の場合、その操作に要する時間は実測で20秒近くだった。
一方、実際に同じ4300文字の文書をアップロード機能を使ってGmailのメール本文としてやってもWi-Fiルータを捕まえてアカウントにリーチし、実際のファイルを全てアップロードするには50秒くらいは必要だった。そして続いてGmailの本文から目的の文書を抜き出してDropboxなどのクラウドストレージに共有アップロードすることを考えれば、初めからQRコードを介してスマホに転送、その後クラウド共有する方が速いことになってしまう。
猫も杓子もクラウド時代に、相変わらずしっくりしないポメラの文書共有機能ではあるが、どことなく漂う昭和な魅力が、筆者も含め数少ない尖ったユーザー層にウケていることだけは、間違いなさそうだ。1人1台・転売禁止なのでしばらくは持ち歩いて会う人ごとに自慢したい。
今回の衝動買い
・アイテム:キングジム「ポメラ」DM250X Crystal ・購入:キングジム公式オンラインストア ・価格:6万280円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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