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DITAの新製品「Project M」を聴く、新しいアプローチで価格帯のベストを追究

ASCII.jp / 2023年12月17日 9時0分

 「Project M」は、国内でも人気があるDITA Audioの新製品だ。

 DITA Audioは10万円を超えるようなハイエンドイヤホンで知られるが、Project Mは、ユーザーの裾野を広げるために、4万円台とブランドとしては購入しやすい価格で販売されている。一方で、ユニークな新規軸を取り入れており、これまでの製品を単に廉価にしただけではないイヤホンでもある。

 まずはその外観デザインだ。DITAとしては初の樹脂製の筐体を採用。内部はステンレス製の金属を使用しており、音響チャンバーを兼ねた内殻が形成されている。通常のイヤホンではシェルにアクリルなどの樹脂を使い、中は空洞になっているが、Project Mは音響チャンバーの外側(外殻)を全て透明な樹脂(スーパークリア樹脂)で埋める手法が取られている。

 結果、美しい外観が得られるとともに高い剛性が確保されている。形状も人間工学に配慮したもので、装着性の高さも特徴になっている。

DITA初の試みが各所に

 音の要であるドライバー構成もポイントだ。ダイナミック型ドライバーとバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを組み合わせるハイブリッド形式の採用はDITA Audioでは初となる試み。

 ダイナミック型ドライバーは新開発の「PM ONE+」と呼ばれるもの。単独で全ての音域をカバーするが、ハイブリッド構成でベストな音質が得られる設計にしているという。ドライバーの口径は9.8mmと比較的大型だ。高域を補うBA型ドライバーはKnowles製になっている。

 付属するケーブルが高品質であることもDITA Audioの伝統だ。Project Mにもそれは引き継がれている。標準添付のケーブルは、米Cardas Audioの高級線材「MOCCA」を使用している。新設計のケーブルに合わせるため、イヤホン端子も新設計の「Awesome Plug 2」を採用し、3.5mm(シングルエンド)と4.4mm(バランス駆動)の2種類の端子を付け替えられる。イヤホンとケーブルの接続端子は2ピンで、qdcのようなカバー付きのタイプとなっている。

 趣味性の高さを感じるのは、ドイツのTanosが設計した“Systainer”ケースが付属している点。これは組み合わせて使用できる、クラフト感覚あふれるものだ。

初のハイブリッド型だが、リスニング寄りで完成度の高い音

 パッケージを開封してみる。ミニチュアのカーゴコンテナのようなケースがケーブルを収納した状態で収まっている。あふれる遊び心が面白い。ケーブルにイヤホンをつけたままで、このケースに格納できるようだ。

 イヤホン本体はコンパクトで、心地よく滑らかな手触り感がある。シェルは光にかざすと美しく輝き、透明感もとても高い。製造時に混入しがちな気泡なども見られない。琥珀のようにも見える美しい仕上がりだ。

 装着感もとてもいい。ユニバーサル設計の樹脂部分が耳にピッタリと収まる。コンパクトなので、女性など耳の小さいユーザーにも向いているだろう。樹脂を内部に隙間なく埋めているせいか、遮音性もとても高く感じた。

 試聴してみると、低音域の強いパンチが楽しめるハイブリッド型イヤホンらしい音づくりだ。しかし、中音域と滑らかにつながり、ギャップを感じないスムーズなサウンドでもある。ハイブリッド型イヤホンは、ドンシャリ傾向になりがちだが、このなだらかなつながりの良さによって、全体的な音バランスがいいという感覚を覚える。低音は強めだが、引き締まっている。

 音の傾向はモニター的でドライな音ではなく、リスニング寄りの美しいサウンドだ。滑らかでわずかに暖かみがある。特に中音域から高音域にかけての音色が美しい。ステンレス筐体の外側を樹脂で固めていることが歪みを少なくしているのではないかと思う。

 中高域はヴォーカルがクリアに聞こえ、楽器音もシャープだが、「Dream」のような尖った音ではない。滑らかで聴きやすい表現だ。もっと早くハイブリッドイヤホンを開発しても良かったのではないかと思うほど、初のハイブリッドイヤホンにしては完成度が高い。

 DITA Audioのダニー・タンCEOに先日会った際、「Project Mは、DITAのエントリー機なのか」と質問してみた。タン氏は「ユーザーを増やしたいと思うが、決してエントリー機や廉価版ではない」と語っていた。使ってみると、その言葉の意味が分かる。

 Project Mはこれまでのハイエンドモデルの価格を抑えた製品ではなく、新しいアプローチで価格帯のベストを追求した製品と言えるだろう。実売価格は4万9800円。

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