iMessageが使えるAndroidアプリが作られ、すぐ遮断 そしてRCS対応 吹き出しの色を巡る攻防
ASCII.jp / 2023年12月16日 12時0分
アップルのメッセージサービス「iMessage」をめぐる動きが活発だ。Android端末でiMessageが使える「Beeper Mini」が登場するや、アップルは同アプリからのアクセスをブロック。一方で同社は11月末にグーグルが繰りかえし求めてきたRCSのサポートをついに決めた。
![Beeper Mini](https://ascii.jp/img/2023/12/16/3657100/x/e3630a90778e383e.jpg)
Androidからのメッセージは吹き出しの色が違って仲間外れに 米国の若年層でiPhoneのシェアが伸びている大きな理由
青か緑か、それが問題だ……たかが、iPhoneのメッセージアプリの吹き出しの色だが、グーグル、Beeper、Sunbird(と提携したNothing)は、その吹き出しの色が青になることがとても重要だと考えている。
日本ではLINEが主流なので、さほど大きな問題にはならないが、メッセージアプリとしてiMessageの利用機会が多い米国では吹き出しの色が話題になることが多い。詳しくは本連載の以下の過去記事も参照してほしい(「青と緑の吹き出しをめぐる、グーグルの(一方的な)対アップルのバトル」)。
iMessage同士のメッセージでは、iMessage上で青の吹き出しで表示されるのに対し、相手がAndroidだと(SMSやMMSを用いるため)吹き出しは緑になる。米国ではこのことが仲間外れの原因になるという指摘があった。グーグルは緑と青の吹き出しの問題について説明する動画を掲載し、業界標準仕様の「RCS(Rich Communicatioin Services)」をアップルも採用していればこの問題は起きないとアピールした。
RCSについては一旦置いておいて、青と緑の吹き出しに市場チャンスを見出したBeeperは、Androidから送信したメッセージでiPhone上での青い吹き出しを可能にする「Beeper Mini」というアプリを公開した(メリットは吹き出しの色だけではなく、グループチャットのサポートなどもある)。リバースエンジニアリングにより、iMessageネットワークと直接通信して実現しているという。同社の過去の取り組みやSunbirdといったベンダーは「Mac mini」と接続することで実現していたが、それも不要となる。つまり、Apple IDも必要なかった
Beeper Miniはブルーを基調としたアイコンで、公開を告げるブログのタイトルは「Androidでブルーバブル(吹き出し)を💙」。いかに、Androidユーザーの青い吹き出しのニーズが強いのかがうかがえるものだった。実際、月2ドルの有料アプリではあるが、公開から48時間で10万ダウンロードがあったという。有料Androidアプリとしては最も急成長したアプリになったとBeeperは報告している。
安全を理由に遮断したアップルだが、Beeperは反論
しかしAppleはBeeper Miniを使ってのiMessangerユーザーとの送受信を遮断した。Beeper Miniアプリの公開からわずか3日後のことだった。
Beeper Miniをブロックしたことについて認めたアップルの言い分はこうだ。「アップルはユーザーを保護するため、iMessageにアクセスするために偽の認証情報を不正に利用する手法を遮断するという手段を講じた」。
これに対し、Beeper側は、iPhoneとAndroidの間の通信の安全性を高めると主張していた。Beeperは通信を暗号化するが、iPhoneとAndroid間のSMSは暗号化されていない。
Beeperは12月11日、Beeper Miniのアップデート版を公開。今度はApple IDが必要で、メッセージはメール経由で受け取ることになる。暗号化通信などは変わらずだが、アプリは無料で提供される。
アップデート版の公開を告げるブログで、Beeperの共同創業者Eric Migicovsky氏とBrad Murray氏は、アップルに連絡を取ったが返信がないこと、メディア各紙に送った上記のコメントは「完全なるFUD(恐怖、不安、疑念)」とし、アップルが取った措置(遮断)は「iMessageのロックイン効果を守るため」と主張した。
アップルからの疑惑を晴らすために、Beeper Miniのコードを相互に合意した外部のセキュリティ調査会社に共有してもいいとも主張している。アップルがどう反応するかが注目される。
アップルがRCS対応を表明、EUデジタル市場法への対応か? 結局、アップルを動かしたのはまたEUということになる
さて、かねてからグーグルが主張してきたアップルがRCSに対応しない問題についても進展があった。
なんと、11月末にRCSのサポートを明らかにしたのだ。時期は2024年後半、iMessageの提供も継続するとしている。なお、RCSでのやりとりは緑の吹き出しになるようだ。
RCSのサポートに至った理由は様々だろうが、少なくとも1つは容易に想像できる。相互運用性を確保することで、規制当局の印象をよくするという狙いだ。
実際、当時欧州連合(EU)は「Digital Markets Act(EUデジタル市場法、DMA)」の対象にする「コアプラットフォームサービス」として、アップルのiMessageを入れるべきかを検討すると9月に発表していた。
そして、RCSサポート発表後の12月初め、EUはiMessageは対象外とする方向性を固めたことが報じられている。
その後のBeeper騒ぎである。わかやすいと言えばわかりやすい。
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