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【香港映画・聖地巡礼の旅】ダンジョンみたいな宿に泊まり、ジャッキー・チェン映画の聖地を探せ!

ASCII.jp / 2023年12月20日 7時0分

(C)Only Fabrizio - stock.adobe.com

 HISは「年末年始 海外旅行予約動向」を11月28日に発表しました。旅行先の予約者数ランキングではソウルが1位で、台北が2位と大きく順位を上げているほか、セブ島とケアンズが、前年11位以下からトップ10入りしています。

2023年度年末年始の「HIS年末年始 海外旅行 予約者数ランキング」

 傾向としては、フライト時間が短く、直行便を運航している航空会社が多い都市が人気となっている印象。やはり割高となっている航空券が、旅先を選ぶ際のネックになっているようです。ただしこの条件に当てはまっているにもかかわらず、意外な都市がトップ10入りしていないことに気がつきます。

 それは「香港」。

香港・バックパッカーの聖地「重慶大厦」 映画「恋する惑星」の舞台に行ってみた

 確かに社会情勢などもあり、人気が落ちてきているのかなとも思いますが、アラフィフのオールドトラベラーである筆者としては、香港は海外旅行の定番中の定番ともいえる都市。そんな香港に、約4年ぶりに訪れてきました! 今回は1泊だけなので、香港旅行の定番ともいえるスポット、「重慶大厦(チョンキンマンション)」に宿をとることにしました。

 重慶大厦は、香港でも有数の繁華街の尖沙咀(チムサーチョイ)の彌敦道(ネイザン・ロード)にある複合ビル。築60年の巨大なビルに、数多くの安宿が入居しており、世界のバックパッカーの聖地のひとつともいわれています。オールドトラベラーにとってはバイブルとなっている小説「深夜特急」や、90年代に大ヒットした香港映画「恋する惑星」の舞台にもなっている場所です。

香港 重慶大厦
バックパッカーの聖地「重慶大厦」の外観
香港 重慶大厦
重慶大厦の入り口。A棟〜E棟の5つの建物に分かれていて、中にはおよそ800軒近くのゲストハウスがある

 実は筆者、重慶大厦の宿に泊まるのはこれが初めて。1階の商業施設で両替をしたり食事はした事があるのですが、宿には泊まったことがありません。というのも安宿がイヤだという理由ではなく、重慶大厦の宿はいくつか自分には合わない欠点があるんですよね。

 まず、ビルの規模のわりに、エレベーターのキャパが少ないこと。複合ビルなので5ブロックにわかれていますが、エレベーターはそれぞれ2基ずつ。しかも奇数階と偶数階に止まるエレベーターに別れています。しかも時間帯によっては行列もでき、乗るまでに時間がかかります。

香港 重慶大厦
左が偶数階で右が奇数階に止まるエレベーター。1基に8人も乗れば満員となり、キャパも少ない

 しかも、そんな状態なので、5階~8階などの中層階から降りようとすると、今度は上からの乗客で満員な事も多く、すぐには乗り込めません。運良く下から上に移動するエレベーターに空きがあった場合、それに乗り込んで一番上まで行き、そのまま乗り続けて一番下まで降りるほうが早い、という状況です。これが結構イライラしそうで避けていた、というのも理由のひとつ。

 もうひとつは、チェックインのわずらわしさです。重慶大厦には数多くの安宿が営業していますが、オーナーというか、経営しているのは同じ会社というケースがほとんど。そのため、Aという宿を予約しても、実際はBという宿でチェックインの受付をするといった事がよくあります。

香港 重慶大厦
ビルの中で多くのゲストハウスが営業している

 予約時に送られてくる指示が適当なことが多いのも特徴。そのうえ、ひとつのブロックやフロアに集まっているのではなく、重慶大厦のあちこちに宿が点在しているので、先ほどのエレベーター移動を、何度も繰り返すはめになるわけです。

 実際、今回は「ナガランド ゲストハウス」という宿を予約したのですが、宿から送られてきたメールには「Dブロック17階に行ってチェックイン」と記載されていました。そこでDブロックの奇数階エレベーターに乗ったところ、なんとエレベーターは15階までしかありません。

 これは香港のビルではよくあることで、あとから増築したのか、最上階までエレベーターがないビルがよくあります。そのため、15階から荷物を持って階段で上り、17階へと向かうことになりました。ちなみに偶数階エレベーターは16階まであったので、この場合、偶数階エレベーターに乗るのが最適ルートになります。

 (次ページ:案内が変化していくダンジョンRPGみたいな宿)

部屋にたどり着くまで、小一時間! 案内が変化していくダンジョンRPGみたいな宿

 やっと「ナガランド ゲストハウス」に到着するも、宿の扉は固く閉ざされています。呼び鈴を押しても誰も出てきません。よく見ると壁にはいくつか注意書きが貼られていて、そのうちのひとつに「Bブロック12階でチェックイン」と書かれていました。それなら最初からメールにそう書いてくれれば……! と愚痴りつつ、再度、階段とエレベーターを使って1階まで降り、今度はBブロックのエレベーターを探すことになります。

香港 重慶大厦
メールで指定されたフロアに来たものの、別ブロックの別フロアに行け、という案内。なんだってーーー!? 

 こうなってくるともはや、謎解きをしながら進むダンジョンタイプのRPGをリアルに体験している、といった感じ。ちなみに重慶大厦の1階は商業エリアなのですが、(以前ほどではないにせよ)安宿の客引きや、怪しい売り子、そしてスリもいるので注意して歩く必要があります。まさに冒険者の気分です。

香港 重慶大厦
重慶大厦の1階は商業エリアで細かくブロック分けされているので、余計にダンジョンっぽさがある
1階の天井にはビルのブロックについての案内があり、これを目印にしてエレベーターを探す必要がある

 どうにかBブロックの12階の指定された宿にたどり着くと、宿名は予約した「ナガランド ゲストハウス」ではなく、「カトマンズ ゲストハウス」となっています。ですが、ここも宿の扉は固く閉ざされています。15分ほど呼び鈴を鳴らしたりしていましたが、一向に宿の担当者は出てきません。結局、カトマンズゲストハウスの扉に記載されていた香港の電話番号に電話をかけて係員と話し、さらに10分ほど待ったでしょうか。ようやく担当者が外からやってきました。

 これでやっと部屋に入れる!……かと思えば、そのまま担当者の先導の元、Bブロックの4階へと移動し、そこにある宿の部屋に案内され、やっとチェックインが完了しました。重慶大厦に付いてから部屋に入るまで、小一時間かかっています。

 このチェックインの煩わしさについての話は知人から聞いていたので、これまで重慶大厦に泊まるのは敬遠していたんですよね。旅行中の1時間って貴重ですから、こういったチェックインやエレベーター待ちで時間を無駄にしたくないわけです。ちなみに重慶大厦の周辺にも同価格帯で同じような宿はいくつかあるので、そちらのほうがオススメです。

 今回の宿は、いかにも重慶大厦といった感じの室内。窓のないほぼベッドスペースだけという狭さで、シャワーを使うと便器もビショビショになってしまうバスルームつき。エアコンはありますがリモコンはなく、壁のスイッチでオン・オフにするだけ。いたってシンプルです。

最小限の機能とスペースの部屋
中国や東南アジアではよくあるスタイルのバスルーム。シャワーと便器が同じ場所にある。これがガマンできない人は、安宿は避けておいたほうがいいかも

 とはいえ電源はありますし、Wi-Fiも飛んでいます。何泊もするわけではないし、安宿に慣れていることもあって、筆者にはこれで十分。「深夜特急」のドラマ版で主人公を演じた、大沢たかおにでもなった気分で寝れば、聖地巡礼ともいえる楽しみもあります。

大沢たかお気分で、安宿を満喫してしまえば、それもまた旅

 ちなみに1泊の料金は4707円。これでも重慶大厦での個室としては最安に近い価格でした。香港も円安の影響が大きく、日本のビジネスホテルクラスでも1泊1万円を超えてきます。このあたりも、香港が旅行先として人気が落ちている理由かなとも思います。

 (次ページ:ジャッキー・チェン映画の聖地へ!)

「ポリス・ストーリー」の名シーン ジャッキー・チェン映画の聖地へ!

 さて重慶大厦に泊まって聖地巡礼気分が高まったこともあり、香港映画のロケ地へ行ってみることに。とくにアラフィフの筆者としては80年代から90年代の香港映画をよく観ていたので、懐かしい映画の"あのシーン"と同じ場所がどうなっているのか、訪れてみることにしました。

 まずは、重慶大厦から歩いて10分くらいの場所にあるショッピングビルの「永安百貨尖東店」へ。ここは、ジャッキー・チェン主演の「ポリス・ストーリー/香港国際警察」のロケ地です。クライマックスでフロア上層部からジャッキー・チェンがポールに飛びついて、電飾のなかを降りていくシーンが有名ですね。

香港 ジャッキー・チェン
ここからスタントなしで飛び降りるんだから、ジャッキー・チェンはやはり常人ではない

 続いて、香港島にある「香港前終審法院大樓」へ。ここはチョウ・ユンファの出世作ともなった傑作アクション映画「男たちの挽歌」のロケ地。オープニングでチョウ・ユンファが演じる主人公のひとりマークが登場するシーンで使われています。

香港 チョウ・ユンファ
オープニングでチョウ・ユンファがタバコをくわえて登場するシーンのロケ地がここ「香港前終審法院大樓」
同じくチョウ・ユンファが香港名物の「腸粉」をワゴン屋台から買って食べるシーンは香港前終審法院大樓のすぐ隣にあるこのビルの下で撮影された

「男たちの挽歌」のロケ地や トニー・レオンが昼飯を食べていた屋台街へ

こちらも「男たちの挽歌」のロケ地。ティ・ロン演じるもうひとりの主人公ホーが勤めたタクシー会社があった。地下鉄土瓜灣站から徒歩5分ほどの場所にある

 さらに重慶大厦をロケ地として使っていた群像ラブストーリー映画「恋する惑星」も、トニー・レオンとフェイ・ウォンが登場する後半は、香港で最初の市街地であるヴィクトリア市が築かれた島、香港島の蘭桂坊エリアを中心に撮影されています。劇中でトニー・レオンのアパートへ通うフェイ・ウォンや元カノ役が使った、香港名物でもある世界最長のエスカレーター「ミッド・レベルズ・エスカレーター」や、トニー・レオンが昼飯を食べていた屋台街「士丹利街大排档」などは今でも残っています。

世界最長のエスカレーター「ミッド・レベルズ・エスカレーター」でトニー・レオンのCAの元カノ役が、手すりの下から彼のアパートをのぞき込むシーンは印象的。ちなみにアパートはすでに取り壊されて別の建物に
「士丹利街大排档」では屋台で昼食を食べているトニー・レオンの横をフェイ・ウォンが通りかかり、やりとりをするシーンが何度かあった
筆者もトニー・レオンになったつもりで炒飯を食べていたのだが、残念ながらフェイ・ウォンのような短髪美女は通らなかった
映画「恋する惑星」の劇中で、フェイ・ウォンが働いていた飲食店があった場所。今はセブン-イレブンに

 (次ページ:ネオンサイン看板が残っているうちに)

香港映画の雰囲気を味うなら ネオンサイン看板が残っているうちに

 筆者が香港を好きなのは、やはり若い頃に観た香港映画の影響が大きいです。しかもいまだにそのロケ地が残っているのはうれしい限りで、やはり魅力的な街だなと思います。とはいえ、香港も再開発が進んでおり、それこそ香港名物ともいえる”道路にはみ出した豪華絢爛なネオンサインの看板”も建築法等の改正により減ってきているとのこと。

実は、香港名物のネオンサイン看板はどんどんなくなっている

 渡航先としての人気は下降気味ですが、香港映画の思い出として刻まれている"香港らしさ"を味わうなら、今こそ行っておきたい場所だなと思います。重慶大厦やロケ地周りの様子は動画にもしていますので、是非参考にしてみてください!

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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