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平均寿命1位の日本人、本当に健康なのか?

ASCII.jp / 2023年12月21日 17時0分

日本人は健康に気をつけている、実はそうでもない?

 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニーが、「人生100年時代×デジタル社会の総合的なヘルスリテラシー国際調査」として、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、中国、フィンランドの20〜60代/3000人を対象にしたアンケート調査を実施した。

 調査の結果、日本の回答者の「ヘルスリテラシー自己評価(健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力)」は6ヵ国中で最も低い結果になったという。さらに、医療と健康に関する「情報の収集/判断」「行動」「デジタル活用」「コミュニケーション」全般においても、他国より低い傾向が明らかになっているという。

 日本では健康をテーマとしたテレビ番組やラジオ番組が数多く放映/放送されてきたし、書店に行っても健康関連の書籍や雑誌は目立つところに大きく陳列されている。どちらかというと、日本人は健康管理に気をつけている印象がある。世界保健機構(WHO)の調査でも、平均寿命は世界で1位。だが、この調査結果によると、そうとも言い切れないらしい。

 「6ヵ国中で最も低い」の意味するところとは? 調査結果を抜粋しながら紹介する。

健康に関する情報収集力、6ヵ国中で最下位

 まずは調査対象者のヘルスリテラシーの自己評価について。日本は10点満点中平均5.4点であり、6ヵ国中で最も低いスコアとなった。健康や病気の症状や治療法に関する情報を「判断できるか」という質問では、「できる(できる+少しはできる)」と回答した人の割合が、日本以外の5ヵ国は7〜9割だったのに対し、日本は6割以下という結果になった。「収集できるか」についても、日本が6ヵ国中で最も低い結果である。

調査対象者のヘルスリテラシーの自己評価

 世界保健機関(WHO)では「健康」を「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態であること」と定義している。この認識を持つ回答者は日本が最も少なく、25.2%という結果になった。また、「寿命を延ばしたい」人は日本が最も少なかったものの、各国とも「健康寿命を延ばしたい」人は半数を超えており、両回答の差が最も大きいのは日本だった。

左:健康の定義に対する考え、右:寿命と健康寿命の延伸に対する考え

 次は医療機関の受診について。「適切な医療受診」や「受診時の正確な症状説明」が「できる」という回答も、日本は6ヵ国中最下位。「不調や違和感が生じた時に、その症状に応じて、適切なタイミングで適切な医療施設・診療科を受診すること」や「医師に自分の症状を正確に伝えること」ができるか、という設問に対して、「できる(できる+少しはできる)」と回答した割合が、日本以外の5ヵ国は9割前後だったのに対し、日本は7割前後にとどまった。

健康管理にデジタルツールを活用する割合も最下位

 「健康管理にデジタルツールを活用している割合」という項目もあった。これも日本が最も低く、およそ4割。最も高いのは中国で、8割以上の回答者が、健康管理にデジタルツールを活用しているということだった。日常でスマートウォッチやスマートバンドを着用している人を見かける機会は少なくない気もするが、調査によれば、この点でも他国に比べると低いスコアとなったようだ。

健康管理にデジタルツールを活用している割合

 「デジタル化やデータ活用が広がることで期待できること」についての質問では、「病気の早期発見/早期治療」「自分の健康管理」「より適切な治療が受けられる」の項目の回答割合が、6ヵ国で全体的に高かったが、日本は多くの項目で回答割合が他の5ヵ国を下回っている。他国では回答割合がおよそ2〜5割と、ボリュームに幅がありつつも、「治療精度の向上」や「自分の情報を医療者に伝えやすくなる」「国の医療費の最適化につながる」といった回答に人気が集中した。

治療法に主体的に関与したいか否か?

 「治療法を検討する際の主体的関与に対する意識」については、「主体的に関与できる(できる+少しはできる)」と「主体的に関与したい(そう思う+ややそう思う)」のいずれにおいても、日本は6ヵ国中最も低く、7割以下という結果に。「関与できる」の割合が最も多かったのはアメリカで89.6%、「関与したい」では中国で93.8%だった。

治療法を検討する際の主体的関与に対する意識

 今回の調査を監修した京都大学大学院医学研究科健康情報学の中山 健夫教授は、「健康・医療情報を理解して活用する力はもちろん大事ですが、『自分が大切にしていること』を理解し、理想とする人生のために必要な行動を中長期的に考える力も大切なポイントです。健康・医療においては、『目の前に起きている事象・状態』に対処することは確かに重要ですが、『自分はこうありたい・あるべきだからこの事象・状態を変えていきたい(またはこのままでいい)」といった、人生100年時代を生きる上で少し長期的な思考を持つことも有用な場面があります(抜粋)」とコメントする。

長く健康でいるために、できることは

 今回のアンケート調査を総括すると、日本人の健康に関する意識は、他国と比較して高くはないということになるだろう。回答から推測するに、私たちは全体的に、健康管理に対する意識がないわけではないが、主体性を持って情報を集めたり、医療の現場で治療に意見を持って関わる姿勢を持ったり、明確な意図を持ってデジタル製品を健康管理に役立てていくという意識は、他の5ヵ国よりも薄いということになりそうだ。

 デジタル情報サイトとしてコメントするなら、スマートウォッチやスマートバンドを活用した健康管理は、取り入れていないなら、ぜひともおすすめしたいところ。自分が日々どれくらい動き、眠ったのか。その際のコンディションがどうだったのかが、自動的に記録され、手元のスマートフォンでいつでも参照できるのは心強いものだし、大きな健康上のトラブルが起きていないかどうかを早めに知れる目安にもなる。

 健康は、誰しもにとって生きていれば向き合わざるを得ないテーマで、寿命が尽きるまで終わりはない。5年後、10年後、20年後の健康を考えたときに、今日できることはあるか。変えられることは何で、変えられないことは何か。年末年始の休暇に、向き合って考えてみるのもいいかもしれない。

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