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ヨーロッパ旅行を“激安“にする キング・オブ・長距離バス「FlixBus」の魅力

ASCII.jp / 2023年12月27日 7時0分

なにもかも高いヨーロッパ(欧州)旅行。せめて移動費だけでも節約したい……

 現在、インフレや円安の影響をもろに受けているのが航空券。特にヨーロッパ(欧州)路線は社会情勢もあってロシアなどの上空を飛ばず遠回りをするため、以前と比較するとかなり割高になっています。せっかく高い料金を払ってヨーロッパに行くなら、ちょっと長めの休みを取って、あちこち回って旅をしようと考えている人も少なくないと思います。

 イギリスを除き、ヨーロッパは基本的には地続きなので移動はしやすいエリアです。移動方法も飛行機や鉄道などありますが、極力移動費を抑えて節約したいという人にオススメなのが「バス移動」です。

移動費を安くするなら LCCよりもバスが便利なヨーロッパ

 というのも飛行機で移動する場合、ヨーロッパはLCCが発達しているので荷物が多いと意外と高くつきます。鉄道での移動も短距離ならいいですが、長距離だと荷物の管理が心配。その点バス移動は、荷物をトランクに預けられるし、なにより激安価格で移動できます。

LCCは受託手荷物があると料金が跳ね上がる
鉄道旅も楽しいが、特急は料金が高めで早めに予約しないと割引チケットは購入できない

 特にオススメなのが「FLiXBUS(フリックスバス)」。ドイツ・ミュンヘンに本社がある「Flixmobility」が運営しているバスサービスです。その特徴はなんといっても路線数の多さ。ヨーロッパだけでなく、北米やブラジルなどでもサービスを提供しています。ちなみにすべてのバス路線をFLiXBUS自体が運行しているのではなく、各地域のバス運行会社と提携してFLiXBUSブランドとして運行している感じです。

節約旅行の強い味方「FLiXBUS」
「FLiXBUS」公式サイト

 予約方法は公式サイトもしくは公式アプリから。予約するタイミングが早ければ早いほど割引価格で提供され、なかには2.99ユーロ(約468円)といった激安価格も。筆者は2023年の2月末から3月頭にかけて西欧を回ってきましたが、実際に利用したFLiXBUSの路線と価格、そして乗車時間は下記のとおりでした。

・ドイツ ベルリン →オランダ  アムステルダム  /29.99ユーロ(9時間15分)

・ベルギー ブリュッセル →スペイン サンセバスティアン  /38.99ユーロ(16時間40分)

・スペイン サンセバスティアン →スペイン バルセロナ  /33.70ユーロ(7時間35分)

・スペイン バルセロナ →フランス リヨン  /59.99ユーロ(11時間40分)

・フランス リヨン →ドイツ ベルリン  /54.99ユーロ(17時間45分)

ベルギーの首都ブリュッセルは、徒歩でも回れるほどの小さな街
各都市を多くの路線で網の目のようにつないでいる

 (次ページ:バスへの乗車はQRコードを見せるだけと簡単)

半年ほど先の日程でフランス国内のパリ→リヨンを検索すると10ユーロ以下と低価格で販売
フランスの南東部に位置する都市、リヨン

 いずれの路線も1万円以下で済んでいます。ちなみにFLiXBUSは20kgまでの荷物を預けることができるので、ほかの移動手段より断然オトク。時期が違うので単純に比較はできませんが、例えば2024年3月上旬にベルリンからアムステルダムへ飛行機で移動する場合、LCCで受託手荷物をつけると1万5000円から2万5000円くらい。鉄道だと6000円から1万5000円くらいかかります。

 ただし長距離となるとLCCと価格が逆転することもあり、たとえばバルセロナからベルリンへとダイレクトにLCCで移動しても1万5000円から2万5000円くらいです。なので筆者のようにリヨン経由でトータル29時間、114.48ユーロ(約1万8000円)もかけてバスで移動するよりはLCCで移動したほうがラクだしコスパも良くなります。目安としてFLiXBUSで移動してもトータルで1万円以上かかりそうな場合は、LCCを選んだほうが良いと思います。

乗車はQRコードを見せるだけと簡単 電源とWi-Fiは車両によって"あるかも"

 バスへの乗車方法も簡単で、指定されたバスターミナルやバス停で待っていればオーケー。チケットもメールや公式アプリでチケット用のQRコードを表示して、運転手に見せるだけです。ちなみにバスターミナルは郊外にあるケースも多く、深夜・早朝便の場合はタクシーなど移動手段を確保しておきましょう。

チケットはQRコードで、乗車前に運転手がスマホで読み込む
オープンスペースのバスターミナルや停留所が多いので、雨の日はちょっと大変

 また屋根のあるバスターミナルというのも少なく、野ざらしのバス停ということも多いのである程度、寒さ対策や防犯対策も必要です。女性ひとりの場合は深夜・早朝便の利用は気をつけたほうが良いと思います。

 バスの車内自体は2列シートのいわゆる日本の高速バスと同じスタイル。長時間乗るには正直厳しい感じです。バスによって異なりますが、充電用のUSB端子や電源が用意されています。ただし5路線乗ったうち電源があったのは3路線で、そのうち1路線は通電していませんでした。またWi-Fiサービスもあるはずなのですが、半分の路線で使えない状態でした。

2列シートが一般的なレイアウト
足下は広々とは言えないものの、狭苦しいというほどでもない。足下の壁側に電源とUSBポートがある

 なので電源とWi-Fiはあるかもぐらいに考えておいて、モバイルバッテリーや自前の通信環境を用意しておくのをオススメします。乗車時間が結構長いので、時間つぶしにスマホやタブレットを使いますので。

公式アプリは移動中にどの辺を走っているかや、遅延や早着もほぼリアルタイムで案内してくれる

 座席の指定は有料で、路線によっても異なりますがだいたい通常の席で2.99ユーロ。先頭席などは5.99ユーロと割高になっています。指定しない場合は、無料ですがランダムに割り当てられるか自由席となります。

座席を指定する場合は有料となる

 ちなみに、運賃の半額を支払うと隣席をブロックできます。2席あれば荷物を置いたりゆったり座れてラクチンなので、自分は15時間を越える乗車の2路線で隣席をブロックしました。道中はパソコンを開いたりとスペースがあれば結構楽しめますので。

運賃の約半額必要だが「Travel neighbour-free」を購入すると、隣の席をブロックして2席使える

 (次ページ:トイレはどうする?)

トイレはどうする? 食べ物は持ち込みがオススメ

 注意したいのがトイレ休憩です。バスにトイレが付いているため、トイレ休憩は5路線乗っても片手で数えるほどしかありませんでした。基本的にないと考えたほうがいいでしょう。また食べ物・飲み物などを買うチャンスも少ないので、あらかじめ購入しておくこと。

かなり狭めだが車内にはトイレもある

 トイレ休憩はほとんどありませんが停留所は多く、こまめに停まって人が乗り降りするので、深夜の移動はかなりハードです。車内は禁煙なので、停留所で喫煙のため外に出る人も結構居ました。ちなみに道中に車内で喫煙をしていた人がいて、運転手に問答無用で次の停留所で降ろされていましたので、絶対にタバコは吸わないほうがいいですよ。

 というわけで移動時間は長くなってちょっと辛いけど、ヨーロッパ内を低コストで移動するならオススメの「FLiXBUS」。卒業旅行で2週間ヨーロッパにといった計画を立てている人なら、移動プランに組み込んでみてはいかがでしょうか? 自分はヨーロッパに行く予定がなくても、ルート検索だけして「こんなルートがこの価格で行けるんだ!」と妄想旅行プランを立てたりしています。これが結構楽しいので、一度お試しあれ!

バルセロナのサグラダ・ファミリアの完成予定は、2026年頃と言われていますよ

訂正とお詫び:初出時、一部地名に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2023年12月27日)

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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