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十数年ぶりにフォッシルの「腕・日時計」をまた衝動買い

ASCII.jp / 2023年12月22日 11時30分

今回の衝動買いしたのは、ストリートブランドで有名なステイプルとフォッシルのコラボ商品だ

 そうとう時間にクリティカルな生活でもしていない限り、昨今のスマートフォンを日常的に持ち歩いている生活なら、腕時計なんかなくてもほぼ困ることはない。実は何の役にも立たない長く愛用していたフォッシルの「腕・日時計」のグノモン(gnomon:ノーモンとも言う)と呼ばれる三角形の根元が経年変化で折れてしまった。

筆者が愛用していた前世代モデル。残念ながら三角形部分の根元が経年変化で折れてしまった

ストリートブランドで有名なステイプルとフォッシルのコラボ 限定版「腕・日時計」を衝動買い

 グノモンとは、日時計の文字盤の中央近くに垂直に立っている時刻を影で指し示す棒代わりの部品だ。シンプルな棒状のモノでも問題はないが、見栄えの重要な昨今は三角形の形をしたモノやそれに少しデザイン性を加えたモノも多い。言ってみれば日時計の日時計である証明のような、アイコニックな重要部分だ。

 ゴム系のグノモンを採用していた筆者のフォッシルの腕・日時計だが、今のところはやむなく瞬間接着剤で固定して何とか外観は保っている。何の役にも立たないが、気に入っていたガジェットなどで再購入しようとフリマやオークションを探してみたが、同じものは意外と見つからず見つかってもかなりの高額だ。

 その代わりというのもなんだが、同じフォッシルが2022年に発売開始した第3世代か第4世代にあたるフォッシル公式オンラインストア限定だという腕・日時計を見つけた。今回の商品はストリートブランドで有名なステイプルとフォッシルのコラボ商品だ。

 パッケージも従来の「シンプル イズ ビューティフル」なイメージからほど遠いかなり凝った装丁だ。鳩とSTAPLEのロゴを強調したパッケージを開けると、メタル製のフォッシル(化石)の卵が発掘される。そしてその卵を注意深く割ってみると、なかから最新の腕・日時計が登場してくるというストーリーだ。そのプロセスを楽しめるか、面倒だと感じるかは個人差だろう。

 筆者が手に入れたのは3種類用意された外観カラーの中の「ビジョングレー」と呼ばれる、グレーを基調とした比較的落ち着いたカラーリングのモデルだ。腕時計のサイズは、少し大きめの直径44mm。ムーブメントは機械式の自動巻き。ケースはステンレススチール製で裏ブタは赤い「鳩」付きのシースルーバックだ。そして防水性能は10気圧防水。

フォッシル初の時刻がわかる!? ダイヤル+グノモンのハイブリッド

 なんと言っても今回の腕・日時計の最大の特徴は、カバー部分に配置された日時計のダイヤル+グノモン。一体型のフタを開くと、その下に見慣れたアナログ時計が露出することだ。実際には99.99%以上の人にはほとんどお役に立てない腕・日時計のフタの下に、極めて普通のアナログ腕時計世界が見えることにある。

 腕時計本体は残念ながらくせのある凝ったステイプルのパッケージと比べると、あまりにも普通過ぎるデザインだ。今回のこだわりはなぜか「鳩」であり、腕時計の風防部分にも鳩とステイプルのロゴが角度によって見えたり見えなかったりするホログラムが採用されている。

 ステイプルファンにはホログラムのSTAPLEロゴは、想像以上の価値のあるものかもしれないが、腕時計としての実用度を考えると単に視認性の低下以外の何物でもない。衝動買いするかしないかの分岐点としてあくまで大事なのは、ステイプルに対するブランドロイヤリティーだ。

 筆者が衝動買いした最大の理由はステイプルブランドへのロイヤリティではなく、単なる役に立たない日時計のダイヤルとグノモンのシェイプとその無意味な存在だ。実際に筆者のグノモンが折れて瞬間接着剤で修復した第2世代の腕・日時計と今回の腕・日時計を並べて見ると、そのアプローチの差がおもしろい。

 2代目は金属のダイヤル日時計にゴム系のグノモンの組み合わせの超シンプルな、ただの日時計構造だ。対して3代目はシリコン系の素材を使い、全体感を統一したイメージ。同系カラー素材のフタで時計のアナログダイヤルを覆い隠す設計だ。

 従来の全面的非実用の腕・日時計を実用にもなる腕時計になるように大きく舵を切ったモデル。実際に使ってみると、フタは意外と開けにくく感覚的にはレガシーな懐中時計やコンパス(方位磁石)のフタを開けるイメージに近い。

 グノモンの素材も極めて柔らかいシリコン系の素材なので、軽く指先で押すだけで折れ曲がる。従来のようにシャツの袖を通しにくいとか、うっかりグノモンの先にあたると周囲の柔らかい他のモノに傷をつけてしまうなどの心配は100%なさそうだ。

左は筆者が愛用していた前世代モデル

フォッシル腕・日時計を愛してきた 古参ユーザーの意見ははたして……?

 超こだわった2つのブランドのコラボ商品ではあるが、従来から歴史のあるフォッシルの腕・日時計好きとしてはユーザーの意見は分かれるだろう。レガシーなテクノロジーのアナログ腕時計と、古代からある日時計のコンセプトのコンビネーションは魅力的だが、残念ながら今回は単なる「日時計型のフタ」に留まってしまったことが残念だ。

 ストリートブランドとしては人気のあるステイプルではあるが、そのイメージに頼りきった感がある。ステイプル大好きユーザーには届くかもしれないアイデアだが、従来の腕・日時計の「Useless Sundial」を購入してきた変態ユーザーには、ピンとこないモノになってしまった。

 どちらかと言えば筆者も後者の部類だ。友人らの集まりがあって従来の腕・日時計を腕に装着して参加した時は大いにウケをとれたが、今回のモデルでは多くの友人からシカとされ興味を示す友人はほとんどゼロに近かった。

 スマホだけで十分なタイムマネジメントのできる現代だからこそ、全く役に立たないウルトラレガシーな腕・日時計はおもしろいのであって日時計のフタを開ければアナログ腕時計が見えるだけのことではあまりにも普通過ぎて、全くおもしろくないのが現代なのだ。

 どうやっても全く役に立たない単なる腕・日時計を肴にして、グノモンの形状の話から始まり地球と太陽の関係性や北半球にある日本のお話など、そのウンチクを展開を拡張できるUseless Sundialと、フタをめくればアナログ腕時計が見える世界は、レベルが違い過ぎる。

 センスあるフォッシルにしてはかなり残念な結果となった腕・日時計だが、今後もし第4世代の腕・日時計発売の予定があるなら、誰もが思い付くようなチープトリックではなく実時間に合わせてペーパー液晶のダイヤル表面にリアルなグノモンの影が移動投影するような、こしゃくな腕・日時計を期待したい。

 そして今のオーナーのいる地球上の場所での日の入りに合わせて「See you tomorrow」と画面上に表示してシャットダウンができれば合格だ。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:フォッシル「STAPLE x Fossil 限定モデル オートマティック ピジョングレー シリコンウォッチ」 ・購入:フォッシル公式サイト ・価格:2万8875円(2023年5月初旬購入)

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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