「INZONE Buds」は長時間使える駆動時間と装着感が魅力、ソニーらしく音もいい!
ASCII.jp / 2023年12月20日 19時0分
ソニーのゲームギアブランド「INZONE」から、完全ワイヤレスノイズキャンセリングゲーミングヘッドセット「INZONE Buds」が10月27日に発売された。価格は2万9700円だ。
INZONE Budsは、イヤフォン単体で12時間駆動するバッテリー持ちのよさ、快適な装着感などが特徴的な一方で、Bluetooth LE Audioにのみ対応など、やや癖のある製品でもある。
筆者はおよそ2週間にわたって、主にパソコンにつなぎ、たまにPlayStation 5でゲームをプレイするといった具合で使用した。結論から先に述べると「PC・PS5に繋ぎっぱなしなら大正解」といったところだ。詳しいインプレッションをお伝えする。なお、注記がない場合は原則としてUSBトランシーバーを用いた2.4GHz接続時での使用感となっている。
個人的オススメポイント1:良好な装着感
まず感じるのは、着け心地がいいということ。耳に装着する際にはピッタリと押し付けるようなものではなく、どちらかといえばふんわりとついているイメージだ。耳の形状にもよるが筆者の場合は痛みをまったくないだけでなく、長時間使用していても疲れにくいように感じた。
また、INZONE BudsはいわゆるAirPodsシリーズのような“うどん型”形状であり、着脱もしやすい。筆者は同社のWF-1000XMシリーズを過去に使っていたが、どこを持って外せばいいのかわからない着脱のしにくさを感じていた。INZONE Budsはそれがないため、ちょっと席を外したいときにサッと取り外すことが可能だ。ただしそのぶん激しい運動には向かないため、あくまでデスクワークやゲーム、ちょっとした外出のおともなど用途は限られる。
個人的オススメポイント2:抜群のバッテリー持ち
INZONE Budsでなによりもオススメできるポイントは、バッテリー持ちのよさだ。USBトランシーバー接続・ノイズキャンセリングオフ時には連続12時間という脅威のバッテリー持ちを誇る。他社製と比較してもとても長く、筆者のように一日中PCの前にいるような人間にとってはありがたい。ケース充電を含めると合計約24時間の使用が可能だ。
個人的オススメポイント3:上位機種と遜色ない音作り
同社の完全ワイヤレスイヤホンの最新機種WF-1000XM5に採用しているドライバーユニットと同等のものが使われているため、音質も文句なしだ。音楽や映画などを楽しむ際でも、イコライザーの設定次第で低音から高音までバランスよく楽しむことができる。
個人的オススメポイント3:なんかすごい個人設定
ソニーの技術が結集しているだけあって、接続時には「なんかすごいぞ」と思うほど設定最適化されている。まず、専用スマートフォンアプリ「360 Spatial Sound Personalizer」で耳を撮影することで、自動で快適な音場やサウンドトーンの最適化設定を行なってくれる。
実際に使ってみると明らかに自然な音場になっていることがわかるだろう。自分でいろいろ設定するのは面倒という、筆者のようなユーザーにもオススメといえる。
専用の制御ソフト「INZONE Hub」ではイヤフォンのタッチセンサー操作の割り当てや一般的なイコライザ設定などももちろん可能だ。インターフェースがわかりやすいのもポイントだ。
個人的オススメポイント4:なにより低遅延
INZONE Budsはプロゲーミングチーム「Fnatic」も監修に参加しているだけあって、ゲーム向けの音作りになっている。具体的には定位感(音の位置)がわかりやすく、とりわけFPSで重要な敵の位置などもわかりやすい。ワイヤレスだが遅延を感じることはなかった。
個人的オススメポイント5:PS5との親和性よし
PS5との親和性も良い。PS5本体前面のUSBポートに挿すことで、PS5側でバッテリー残量などを確認可能なほか、ゲーム音声とボイスチャットの音量バランスなども設定できる。360度音に包まれているようなPS5の機能「Tempest 3D AudioTech」にも対応しているため、PS5でひたすらゲームしたいときにも重宝するだろう。
個人的オススメポイント6:マイクの音質も実用レベル
マイクについては、高精度ボイスピックアップテクノロジーでキーボードのカタカタ音やPCのファンの音などはかき消され、一般的な外付けマイクと遜色ない。とはいえ、Discordをはじめとした音声チャットツール側のノイズ除去システムが一般化しているため、そこまで重要な項目ではないだろう。
個人的イマイチポイント1:やや質感の悪いケース
残念なのが、ケースの蓋部分の質感がやや悪い。さらさらとして質感そのものはいいのだが、ケースの開け閉め時のマグネットが弱くちゃちい印象を受けた。一日に何度も開け閉めするものなので、ここはもう少しこだわってほしかったところ(裏を返せば片手で簡単に開け閉めできるともいえる)。
個人的イマイチポイント2:スマホとの親和性は悪い
スマートフォンとの接続性は悪いと言い切れる。USBレシーバーによる2.4GHz接続のほかは、Bluetoothの新規格「LE Audio」にのみ対応している。この規格に対応したスマートフォンはXperia 5 Ⅴ・Xperia 5 IV ・Xperia 1 Ⅴ・Xperia 1 IV とかなり限られてくる(iPhoneシリーズも未対応)。USB-C接続できるスマートフォンであればレシーバーで対応できるが、レシーバーもそこそこ大きいため持ち運ぶことを考えると現実的ではない。
バッテリー持ちのよさを優先した結果このような仕様になったそうだが、欲をいえばINZONE H9シリーズのようにスマートフォンとパソコンの音を同時に聞けるようになっったり、さまざまなスマートフォンに対応したりしてくれるとうれしい。
個人的イマイチポイント3:ノイキャンはあと一歩
ノイズキャンセリングについてはもう一声ほしい。ホワイトノイズとノイキャン特有の耳がつんとする感覚はぬぐえなかった。外音取り込みについてもややノイズが気になった。インターホンの音などをざっくり聞ければいいくらいの温度感だ。
ただ、イヤフォンという特性上装着するだけでも十分外音はシャットアウトしてくれるので、大きなマイナスにはならない。
スマホとの親和性の悪さなどはあるものの、INZONE BudsはPS5orパソコンでひたすら音を楽しみたいユーザーにとっては大正解な完全ワイヤレスイヤフォンといえる。また、ソニーという強みも特筆に値する。ソニーストア店舗やINZONEが展開される量販店なども多いため、他社製品と比較して実際に試すことへのハードルはかなり低い。
“完全ワイヤレスイヤフォン”と呼ばれる製品で、ことゲーミング用途となるとその数はそこまで多くない。そのなかでもINZONE Budsはイヤホン単体で12時間の連続再生に対応するという個性は目を見張るものがあるだろう。
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