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2024年はワイヤレスやApple Musicなど「3つの話題」に注目!

ASCII.jp / 2023年12月29日 19時0分

クアルコムが10月に開催したSnapdragonの発表会でオーディオの新技術「Qualcomm XPAN」を発表しました

 2024年もオーディオや音楽リスニングの楽しみ方が大きな進化を迎えそうです。今回は2023年の締めくくりとして、筆者がいま注目する3つの新しいオーディオ関連の話題に触れたいと思います。

ポータブルオーディオをWi-Fiでつなぐ 「Qualcomm XPAN(エクスパン)」

 スマートフォンなどコンテンツプレーヤーに、イヤホンやヘッドホン、スピーカーなどポータブルタイプのワイヤレスオーディオを接続するために、無線伝送技術のBluetoothが現在は主流です。Qualcomm XPANはポータブルタイプのワイヤレスオーディオの間をWi-Fiで接続して、高音質のハイレゾや超低遅延のオーディオ再生を実現する新しい技術です。

 電源ケーブルにより常時給電しながら使える据え置き型のコンポーネントと違って、ポータブルタイプのワイヤレスオーディオが搭載できるバッテリーの容量には限界があります。Wi-FiならばBluetoothよりも多くの情報量が遅延を抑えながらワイヤレス伝送できますが、通信時により多くの電力を消費することからポータブルオーディオには不向きとされてきました。

 無線通信の技術に豊富な経験を持つクアルコムは、消費電力を低く保ちながら通常のWi-Fiプロトコルの上にBluetoothのオーディオコーデックで符号化した信号を乗せてワイヤレスで送り届ける独自技術として「XPAN」を開発しました。

 さらに2024年以降、クアルコムのパートナーであるオーディオメーカーが本格的に採用を進める次期ワイヤレスオーディオ向けシステムICチップである「Qualcomm S7 Pro Gen 1 Sound Platform」には、XPANのメリットを活かすために小さな電力消費で、Wi-Fi通信を実現するモジュールを組み込んでいます。最新世代のSnapdragonシリーズのシステムICチップが載っているスマホやPCと組み合わせることにより、XPANによる無線オーディオ通信を可能にします。

 XPANに対応するデバイスどうしを接続すると、例えば最大96kHz/24bit(将来は192kHz/24bit)のハイレゾワイヤレス再生や、モバイルゲーミングに効果を発揮する超低遅延のワイヤレスオーディオなどが実現されます。またS7 Proチップを搭載するワイヤレスイヤホン・ヘッドホンが、ホームネットワークのWi-Fiアクセスポイントに直接つながり、近くにスマホがなくても音楽ストリーミングを受けて聴く楽しみ方が広がります。

Wi-Fiプロトコルの上にBluetoothオーディオの信号を乗せて、最大96kHz/24bitのロスレス低遅延伝送を実現します

 S7 Proを搭載した左右独立型ワイヤレスイヤホンは、目安として最大96kHz/24bitのロスレスオーディオ再生が約10時間連続で楽しめるほどのバッテリー持ちを実現できるそうです。現在のBluetoothオーディオ機器の使い勝手と大きく変わらないイメージです。XPANに対応するワイヤレスイヤホンやヘッドホンが2024年のいつ頃に誕生するのか、引き続き動向から目が離せません。

日本のサービスインが待望されている「Apple Music Classical」

クラシックに特化した音楽配信 「Apple Music Classical」の日本上陸に期待

 アップルによるクラシックに特化した音楽配信「Apple Music Classical」は、2023年3月28日に提供を開始して以来、まだ日本ではサービスが立ち上がっていません。筆者が本稿を執筆している2023年12月20日時点では日本のほか、中国・韓国・台湾、ロシアとトルコの音楽ファンもまだこのサービスを体験できていないようです。

 Apple Musicのユーザーであれば、追加料金を払うことなく「Classical」のアプリによるサービスが楽しめます。なおサービスの発表当時にはなかったiPadOSとAndroidのアプリが、現在はアップルがサービスを提供する地域で提供を開始しました。

 Apple Music Classicalはクラシック音楽の複雑なデータ構造に最適化したアプリです。複雑な「曲名」「アーティスト」「作品番号」による検索の結果を正しく抽出できるように、アップルは1500万以上のデータポイントから楽曲情報をマッチングさせる独自のアルゴリズムを設計しています。アジア圏では「言語の壁」が横たわっていたことから、日本でのサービスインが遅れているのだろうと推察ができます。

クラシック音楽を快適に検索できる新しい技術が投入されます

 Apple Musicでしか聴くことができないクラシックの新譜や、未発表音源の独占配信も行われるサービスなので、2024年は1日も早い日本上陸を期待したいです。

シリコンで音を鳴らすオーディオ向け「MEMSドライバー」

 米xMEMS Labsが開発した「MEMSドライバー」という、イヤホンにヘッドホン、スマートグラスや補聴器に搭載される音響トランスデューサーが話題を呼んでいます。

 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を使った集音用マイクを搭載するワイヤレスイヤホン・ヘッドホンは既に多く商品化されていますが、xMEMSは発音用スピーカーとなる新しいモジュールを開発しました。

 MEMSドライバーは半導体チップの構成部品であるシリコンウエハーを切り出してオーディオの振動板として、これに電圧をかけることによって生じる空気振動を音に変換します。高音域の再現特性が良いことや、従来のダイナミック型やバランスド・アーマチュア型のオーディオ用ドライバーに比べてシンプルに製造ができることなどが特長に挙げられます。

MEMSドライバーではシリコンウエハーにより作られる振動板に圧電素子をつなぎ、電圧をかけて駆動することにより音を鳴らす仕組みを採用します

 米Noble Audioの新しい左右独立型ワイヤレスイヤホン「FALCON MAX」は、MEMSドライバーのオーディオ的な特性にいち早く着目して、高音域用としてMEMSドライバーを採用しました。10mm口径のダイナミック型ドライバーと組み合わせるハイブリッド・ドライバー方式のイヤホンとしたことで、リアリティに富んだサウンドを楽しませてくれます。MEMSドライバーの高音域はやや線が細い印象を筆者は受けましたが、純度が高く混じり気のない透明感は他の方式のドライバーには出せない魅力だと思います。

高音域用にMEMSドライバーを採用するNoble Audioのワイヤレスイヤホン「FALCON MAX」

 MEMSドライバーは従来のオーディオデバイス向けのドライバーに比べて薄く軽いだけでなく、耐久性能や製造面でもメリットが活かせるとxMEMS Labsは説いています。ポータブルオーディオに限らず、スマートグラスにXRヘッドセットの音をリッチにするコンポーネントとしても相応の役割を果たすでしょう。極小サイズのコンポーネントであることから「オーディオが楽しめるイヤリング」のような新しい種類のウェアラブルデバイスを誕生に導くきっかけにもなるかもしれません。

   

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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