100倍望遠も夜景も実用的な「vivo X100 Pro」は2023年最強のカメラスマホ!
ASCII.jp / 2024年1月3日 15時0分
日本未上陸のvivoは高性能なカメラフォン「Xシリーズ」を海外で展開している。2023年11月に発売された「X100 Pro」はカールツァイスとコラボした高性能カメラ、自社開発の画像処理チップ「V3」、そしてメインカメラにはソニーの1インチセンサーを搭載しており、その性能は2023年最高という評価も受けている。
◆AI処理に優れたDimensity 9300搭載のハイエンドモデル
X100 Proの外観から見ていこう。ディスプレーは6.78型(2800×1260ドット)のLTPO AMOLEDで、120Hz駆動と1億色表示に対応している。画面輝度は3000nitsとかなり明るく、屋外での視野性も高い。側面の角は丸みをつけたエッジ形状だ。フロントカメラは上部中央にパンチホール式の3200万画素を内蔵する。
本体カラーはStartrail Blue、Asteroid Black、Moonlight White、Sunset Orangeの4色。今回レビューするのはSunset Orangeで、このモデルだけヴィーガンレザー仕上げとなっている。
カメラは、最近の中華系カメラフォンで多くのモデルが採用している円形のバンプを中央に配置したデザインとなっており、5000万画素を3つ搭載している。
本体サイズは縦横が約164.05×75.28mmで、厚さはSunset Orangeが9.05mm、そのほかのカラーは8.9mm。重量はSunset Orangeのみ221g、ほかのカラーは225gだ。大きさと重さは最近のスマートフォンとしては一般的といったところ。カメラバンプのでっぱりは2段になっており、下段側はローレット加工を入れてアナログカメラ風を表現している。
本体右側面の音量調整ボタン、電源ボタン、本体下部のnano SIMカードスロット、USB Type-C端子など標準的なインターフェースを搭載。バッテリーは5400mAhと一般的なモデルよりやや容量が多く、100Wの急速充電に対応。50%の充電に要する時間は12分とのこと。また無線充電も50Wと高速だ。
チップセットはMediaTekのDimensity 9300を世界初搭載する。一般的なチップセットは3種類のCPUセット、すなわちBig-Middle-Littleを組み合わせて動作させることで、処理に応じて最適なパフォーマンスと電力消費の効率化を図っている。それに対しDimensity 9300は、CPUをBig-Middleだけにすることで性能を強化、クアルコムのSnapdragon 8 Gen 3にも劣らぬ性能を持つ。また、AI処理性能も大きく高めている。スマートフォンとしての使用感は、あらゆる操作でストレスなく快適に動作すると感じられた。
今回のテストモデルはメインメモリー16GB、ストレージ512GBモデル。ストレージから最大16GBを仮想的に使うことで、メモリー最大32GBを利用できる。なお、この設定はデフォルトでONになっており、購入直後から広大なメモリー空間を利用できる。また中国モデルのため、OSはvivo独自開発のOriginOS 4を搭載、ベースはAndroid 14となる。
ベンチマークはAnTuTuで測定、スコアは素晴らしく200万を軽くオーバーした。一方で測定中の本体の発熱がやや気になった。
◆専用チップで最高のカメラ性能を実現
X100 Proが搭載する3つの5000万画素カメラは、広角が1インチ f/1.75、超広角が1/2.76インチ f/2.0、望遠は4.3倍で1/2インチ f/2.5という構成。広角と望遠は光学手振れ補正を搭載する。レンズには、ツァイスのT*(ティースター)コーティングに加え、望遠カメラにはツァイスAPOレンズを採用している。画像処理には自社開発のV3チップを搭載しており、NPUとISPを内蔵。4Kでのシネマティック撮影や夜景撮影処理を強化している。
カメラのUIはvivoシリーズ独自のもので、モードはスナップショット、夜間、ポートレート、写真、動画、映画人像、もっと見るの7つ。写真モードでは画面上部の「ZEISS」ロゴをタップすることで、ビビッド、質感、ZEISSナチュラルの3つのカラーモードを選択できる。
写真の倍率は0.6、1、2、4.3、10をワンタッチで選べるほか、最大100倍のデジタル望遠に対応。よく使う設定は、画面右上の二重の六角形アイコンをタップしてクイック設定パネルを表示できる。
3つの高画質なカメラを搭載することで、夜景モードでも0.6倍から100倍までに対応する。ポートレート撮影では倍率ではなく、レンズパッケージとしてボケ味も組み合わせた24mm 風景、35mm ストリート、50mm ナチュラル、50mm クラシカルなどのレンズパッケージを選択可能。さらにツァイスの歴代名レンズのボケを、AIでシミュレーションするボケのパッケージも利用できる。
動画は4Kが60fpsまで、8Kは30fpsでの録画が可能。望遠は最大10倍までとなる。もっと見るのモードにはプロモードに加え、星空撮影やスーパームーンなどの特殊撮影モードも搭載されている。写真へのウォーターマークはツァイスボーダーなど複数を提供、動画にも文字透かしを入れることが可能だ。
これだけ高性能なカメラを搭載することから、カメラの周辺機器を展開しているSmallRigと協業して、純正のアクショングリップも中国では別売されている。着脱式のBluetoothリモコンを搭載し、90度付け替えることで自由なスタイルで撮影できるX100 Pro用ケースとグリップがセットになっているアイテムだ。
◆高倍率のデジタル望遠も実用的なカメラ画質
X100 Proでの作例を紹介する。モードは特記以外はすべてZEISSナチュラル、標準画質(ピクセルビニング・1200万画素)で撮影した。まずは秋の風景を撮影してみたが、色味はそれほど派手ではなく、空の色はHDRを効かせて美しい青を表現している。水面の暗い部分に写る木々の葉の色もうまく写している(すべて35mm判換算)。
同じシーンを5000万画素の高画質モードで撮影すると、全体はより明るくなった。日中であれば高画質モードでの撮影が、よりX100 Proのカメラ性能を引き出してくれるだろう。
超広角も5000万画素のため暗い部分もしっかり撮影できる。1倍から0.6倍に切り替えてもレンズの差に違和感を覚えることはないだろう。
4.3倍望遠でも画質は高いままだ。色の表現も自然で風景写真撮影にも十分使えると感じる。
デジタル望遠はどうだろうか。10倍(233mm)で撮影してみたが、AI処理がうまく効いており、エッジ部分もシャープな仕上がりだ。葉っぱなど自然な被写体はやや甘いものの、建物や鉄塔など人工物はデジタル望遠とは思えないデキだ。光学10倍望遠を搭載している他社のスマートフォンカメラと遜色ない絵ではないだろうか。
さらに倍率を上げてデジタル26倍、600mmで撮影してみた。鉄塔にかなりシャープをかけているが、この画質ならPCの大きなディスプレーで見ても十分使える。ここまでの望遠も実用的とは驚いた。
そしてデジタル100倍(2326mm)はスマートフォンのディスプレーで見れば十分耐えられる画質であり、PCで見れば甘さもあるが他社の100倍や120倍カメラと比べるとディテールの表現もしっかりしており、記録用だけではなくSNSへの投稿用としても使えるレベルだ。V3チップのAI性能の強さをデジタル高倍率望遠撮影で十分感じることができた。
◆V3チップの強さを夜景撮影で確認
続いて夜景モードで倍率を変えて撮影した。まずは超広角、広角、望遠での撮影だ。V3モードのISP性能が高いことから、夜景モードでも撮影後の処理に待たされることはなく、続けての連続撮影も十分できる。
続いて夜景モードでのデジタル望遠をテストした。10倍(233mm)は日中撮影より細部処理は弱くなるものの、デジタル望遠とは思えない仕上がりだ。対岸側の暗い場所はより仕上がりが甘くなるが、木の枝などもうまく写している。
デジタル26倍(600mm)でも観覧車の鉄骨はAI処理でしっかり表現。地表側はさらに暗いことからだいぶ処理には苦労している。夜間でも光のあたる人工物なら十分使えるレベルだ。最後のデジタル100倍(2326mm)はさすがに夜景モードでは記録用と割り切った使い方になりそうだ。
高倍率に強いカメラを搭載するX100 Proだけに、マクロ撮影は望遠マクロで撮るといい感じに撮れる。
ポートレート撮影もボケの度合いはいい感じだ。
食事撮影だが、フードモードとZEISSナチュラルの組み合わせではスマートフォンのセンサーで受けた情報をそのまま近いイメージで出力するためか、実はあまり美味しそうに写らないことが多かった。食事はビビッドモードなどで撮影したほうがよさそうだ。なおフードモードは約2倍の50mm撮影となる。
【まとめ】望遠と夜景の強さで最高のカメラスマホ
X100 Proのカメラを使った印象はツァイスならではの自然な色表現を選べるだけではなく、望遠と夜景性能の高さに大きな感銘を受けた。高倍率望遠を搭載するスマートフォンは多いが、X100 Proはそれらの中でもかなり抜きんでた性能を持っている。しかもその性能は夜景撮影でも同じ体験を得ることができるのだ。
X100 Proはスマートフォンカメラの進化競争の中で、vivoが伏兵どころかトップを走る主役的な存在であることを知らしめる1台と言えるだろう。日本での発売予定がないことだけが残念でならない。
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