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2024年のモバイル業界 料金プランとスマートフォン販売はどうなるのか?

ASCII.jp / 2024年1月7日 12時0分

 2024年もスタートということで、スマートフォンの料金プランや販売について予想をしてみたい。スマートフォン関連では2023年12月27日に大きな変化があり、一足先に新時代が始まっている。2024年はどうなっていくのだろうか。

2023年の3大キャリアは新料金プランで複雑化した

 2023年冒頭での予想は当たったか外したかは微妙なところだ(「格安SIMの2023年は大きな変化はなさそうだが、世の中次第でその安さが再注目される可能性」)。「3大キャリアが安価な新しいプランを出してくる可能性」という予想は、ドコモ「irumo」が登場したという点では当たったが、au「マネ活プラン」、ソフトバンク「ペイトク」のように金融サービスと絡めたプランや割引の仕組みが複雑となったプランが登場し、さらにわかりづらくなった感がある。

格安SIM
KDDIグループのさまざまな金融サービスで特典が得られる「マネ活プラン」

 また、自社クレジットカードでの支払いが前提の割引も加わり、それがサブブランドにまで広がった。そうしたクレカでの割引はいずれも月187円と小さいものだが、各キャリアのサービスに囲い込まれない限り、支払い額が上がるという仕組みは強化されてしまった。

 家族割引、固定回線セット割引適用後の金額が、ウェブサイトなどで大きく表示されているため、単独で使う際の料金が非常にわかりづらいのも変わらない。本来はシンプルな料金だったはずのサブブランドのUQ mobileでさえ、一覧表では説明しきれないプラン構成になってしまった。

 一方で、3大キャリアのメインブランドでは、使い放題系のプランが基本となった点も注目だ。ドコモは「eximo」を選んでいる限り、単体での利用では月1GB未満しか使わない場合でも月4565円がかかる。他社も小容量プランの割引前の最低金額が上がっている。基本的には3大キャリアではデータをどんどん使う人以外は、選択理由はないと言ってもいいくらいだ。

格安SIM
ドコモ「eximo」は基本は“使い放題”が前提のプラン。小容量での料金も提示されているが、家族割引や固定回線セット割引が適用される状況での利用が前提だ

 また、前述のau「マネ活プラン」のような金融サービスとのセットプランは確かに得になる場面もあるが、その条件を理解できたとしてもメリットを最大限活用できる条件の人はさほど多くないはず。「ペイトク」でも基本は同様だ。実際のところ、「マネ活プラン」は店頭では積極的に勧められることはあまりないようだが、ソフトバンク「ペイトク」は強力にプッシュされ、端末購入の割引条件にされてしまうことも多いようだ。

とは言え、世の中の需要的には 3大キャリアの使い放題系サービスがマッチするように

 2024年は前述のように、3大キャリアやサブブランドにおいて、実質的な負担額がアップする傾向にはなるものの、引き続きMVNOへのシフトは大きく進まないと思われる。

 その理由としては、ユーザーのデータ使用量が増加していることだ。固定インターネット回線を持たずに配信動画をたくさん見れば、20GB程度はあっという間になくなってしまう。いつでも安定・安心して動画を見続けるには「無制限」でないと、という時代になりつつある。

 家族が4~5人にもいれば、固定インターネット回線を契約した方がいいようにも思うが、1~3人ならそうでもない。また、結局のところ、ショップに相談すれば料金面で無制限プランをオススメされるだろう。

販売方法の改正は、大きな影響はないのでないか?

 スマートフォン販売については、昨年12月27日のガイドライン変更があったが、ソフトバンクが開始した、1年での返却を主とした販売方法に収束しそうな気がしている。

格安SIM
ソフトバンクは最初の1年間の負担を小さくする販売方式を導入。どんどん新機種に乗り換えたいユーザーにはメリットがある

 なぜなら、スマートフォンを頻繁に買い替えるのならこれまでの2年間で返却は中途半端で、毎年新しい機種を狙うか、反対に3~4年間かそれ以上使うという層に分かれているからだ。

 どうせ1年で買い替えてしまうのなら、1年間でも月々1円というほうが使い方に合っている。1年後であれば、残価をかなり高めに設定しても妥当性があるため、ルール的にも問題はないだろう。

 反対に長期に渡って使う人にとっては、端末値引き額が大きくなることで、最後まで分割払いをした場合の総支払い額が下がる可能性もある。また、スマートフォンを長期に利用しようと思えば、定価で5~6万円クラスより上の機器を狙ったほうが快適さが長く続くため、値引き限度額が大きくなる影響はプラスに働く可能性もある。

 まだ、新ルールになったばかりで、特価販売もしばらくは控えられる可能性もあるが、落ち着いてきたときは、以前に比べて著しく不利にはなっていないようにも思われる。

低コストを求めている人はMVNOに行く? 大手キャリアの安価なサービスが大きな壁に

 2023年は物価上昇が続いた1年だったが、それによってMVNOの格安SIMが話題になるかとも思ったが、それほど大きな動きはなかった。

 というのもドコモやソフトバンクには、ahamo/LINEMOといった割安なオンライン専用プランの存在がある。特にドコモは、ショップ店頭ですぐにahamoに移行をサポートするという売り方が多く見られた。

 ユーザーとしても月20GBと1回5分までの無料通話がついて月2970円ならahamoでいいかとなる。さらにプラス1980円で100GBまで利用できる「ahamo大盛り」もある。1人で加入してもこの金額なので、MNOの通常プランよりも安く使えるだけでなく、MVNOに対しても競争力は十分。固定インターネット回線なしで使う場合でも、ahamoという選択肢は有力で、もっと安い料金を極めようというエネルギーという点で、MVNOという選択は出てきにくくなる。

格安SIM
MVNOの格安SIMとは料金差はあるが、ドコモ「ahamo」はやはり割安感あり。ヘビーユーザー向けの「ahamo大盛り」も用意されている

MVNOの逆襲はあるの? ないの? IoT活用はキーワードになりえる

 多数派のユーザーが、使い放題・大容量プランが適した時代になりMVNOの格安SIMの出番がないかといえば、そうでもない。自宅にもIoT機器を置くようになった場合は、固定のインターネット回線も引き続き必要だからだ。

 自宅に固定回線を導入しているなら、低コストかつ柔軟な使い方をするのにMVNOの格安SIMは適しているはずだが、格安SIMを積極的活用できるだけのスキルや考え方をしている人はすでに移行済で、今後、大きくMVNOへの移行が進むとは考えにくい。

 それならば、通常のスマートフォンの契約は3大キャリアのままで、新たに導入するIoTでMVNO活用を進めていくほうが現実的だ。実際、ネット監視カメラやスマートホーム機器などを使いたいという需要は個人で多くなっており、そのために新たに光ファイバーを引くよりも、MVNOのIoT向け回線がLTEや5G対応のモバイルルーターとセットで導入できれば、コスト面、設定や設置のしやすさという点で便利だからだ。

 その追い風として、昨年12月27日のガイドライン変更の中に、MVNOに対する長期契約(いわゆる縛り)や契約に伴う端末値引き制限が緩和される。具体的にはIIJmioとmineoの制限が外れ、契約期間の縛りのある契約や大きな端末値引きができるようになる。割高になりがちなIoT向けルーターと長期契約の回線をセット提供すれば、初期導入費用を抑えられ、導入しやすくなる。

 ほかのMVNOでも、法人向けにはシステムの一部としてIoT向け回線はかなり使われている。これらは個別に専用システムを構築する中の一部として組み込まれているため、個人用途とはかけ離れているが、今後、手軽に設置できる回線込みの監視カメラなど個人の需要に合致するような機器やサービスが登場すれば、さらにMVNOの活用が進む可能性はあるはずだ。

2024年は単純な料金競争から、新しい用途など取り交ぜた競争へ

 これらの予想から、2024年の状況は2023年までとあまり変わらない方向に向かうと思う。MVNOに移行できる人はすでに移行しており、今後は通信費を少しでも節約しようという気運が大きく高まらない限り、さらなる移行は進みそうもない。しかも端末を低コストで利用するには、3大キャリアと契約したほうが有利となれば、MVNOから3大キャリアへの回帰まで発生しかねない。

 反対に、新しい用途、IoTや予備回線としてのMVNOは、MVNOのサービス開発次第で伸びる可能性がある。個人宅向けの遠隔監視カメラは、筆者の周りで相談を受けることが多く、誰でも簡単な設定で導入できる機器と回線がセットであれば、一定の需要を取り込むことが可能と思われる。

 2024年は、最初は新ルールで混乱すると思うが、そのなかでも、MVNOは単純な料金競争以外で、もっと我々を驚かせてくれるサービスを登場させる下地がある。注目していきたい。

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