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ペット(犬・猫)と同伴搭乗できる飛行機、海外には結構あります

ASCII.jp / 2024年1月10日 7時30分

 1月2日に羽田空港で新千歳空港発羽田行きのJAL516便と海上保安庁の航空機が衝突し、機体が炎上する事故が発生しました。残念ながら海上保安庁機の乗員には犠牲者がでてしまい、ご冥福をお祈りするとともに、飛行機事故に遭遇された方々には心からお見舞い申し上げます。

 今回の事故では、JAL乗員の適切な判断による避難誘導、および人命救助の的確さが世界から称賛された一方で、JAL機貨物室に預けられていた2匹のペットは命を落としました。そのため日本では「ペットの機内同伴搭乗」を望む声が上がり、署名運動に発展するといった動きがでています。

海外ではペット(犬・猫)同伴で 飛行機に乗れたりします

 実は海外では、ペット(犬・猫)の同伴搭乗が可能な航空会社は結構あるのです。たとえば米系大手のアメリカン航空やユナイテッド航空、デルタ航空、欧州ではエールフランス航空やルフトハンザドイツ航空は、小型の犬・猫の同伴搭乗がオーケーです。

犬猫ペットの飛行機機内同伴搭乗
デルタ航空のペット同伴搭乗についての案内
犬猫ペットの飛行機機内同伴搭乗
エールフランス航空でも猫と犬を機内に持ち込める
犬猫ペットの飛行機機内同伴搭乗
※写真はイメージです

 ただし同伴にはペットの種類や年齢、サイズ、重量のほか、使用するケージの形状・素材など航空会社により細かな規定があります。主に小型に限り、概ねケージを含めた重量は8kg以下で、座席下に収まるサイズとなっています。また搭乗中はケージから出すことを禁じている航空会社がほとんどです。

犬猫ペットの飛行機機内同伴搭乗
ユナイテッド航空の案内には、ケージから出すこと禁止する旨が記載されている

 (次ページ:国によってはハヤブサの同伴搭乗も)

 ちなみにカタール航空など中東系の航空会社ではハヤブサの同伴搭乗が認められています。中東は富裕層を中心に鷹狩りが娯楽となっていて、鷹狩りに使われるハヤブサはペットとしてメジャーなためです。

ハヤブサペットの飛行機機内同伴搭乗
カタール航空はハヤブサの同伴搭乗がオーケー。隣にハヤブサというシチュエーションも一度体験してみたい。一度でいいですが
犬猫ペットの飛行機機内同伴搭乗
JALでは、カメやカブトムシなどは特定条件のもと機内に無料で持ち込める

 日本の航空会社では、スターフライヤーが2022年3月から「FLY WITH PET!」という同伴搭乗サービスを一部路線で提供をスタート。1月15日からは同社の国内線全路線全便に拡大予定となっています。「FLY WITH PET!」は座席下のスペースではなく、シートカバーをつけた専用の席に置くスタイルで、料金は1匹あたり5万円です。

犬猫ペットの飛行機機内同伴搭乗
定期運航便では国内唯一ペット同伴搭乗ができるサービス「FLY WITH PET!」を提供しているスターフライヤー
※写真はイメージです

対応が異なるのはどうして? アメリカ連邦航空局の規定のため

 航空会社によって対応が異なるのは、FAA(アメリカ連邦航空局)が、ペットの同伴搭乗に関しては各航空会社が決定できると規定しており、各国の航空会社もそれを基準にサービス内容を決定しているからです。ちなみに今回の事件でトピックとなった「緊急脱出90秒ルール」もFAAが定めたAC(Advisory Circular)で規定されています。

FAAではペットを「荷物」として機内持ち込めるかどうかは、各航空会社が判断できるとされている
用語解説 緊急脱出90秒ルール
 FAAの「AC 25.803-1A」で規定されているルール。新型航空機の承認前には、最大容量の乗客が着座した状態で脱出デモンストレーションをし、乗員も含めて90秒以内で全員を脱出完了させられるかどうかを確かめる必要があります。また、各航空会社はこの規定をもとに、定期的な脱出訓練を実施しています。

 現在、JALの貨物室にペットを預ける料金は、国内線で4400円〜6600円ほど。ペット同伴搭乗可能な航空会社の場合、デルタ航空とユナイテッド航空は125ドル(1万7600円)、エールフランスは70ユーロ(約1万1100円)です。いずれも国内線の料金で、国際線はさらに高額となり、欧米並みの料金として設定すれば日本の航空会社にとっても収益にはつながるわけです。

 ただしあくまでペットの同伴搭乗は、「荷物」として機内に持ち込めるというだけです。今回のような緊急脱出の際には「荷物」を持たないというのは、どの航空会社にも共通しています。スターフライヤーの「FLY WITH PET!」も、「脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」と記載されています。

スターフライヤーの「FLY WITH PET!」でも緊急脱出時は機内に置いていくように記載されている

 そのため今回の事故機でペットの同伴搭乗が認められていたとしても、脱出時には機内に残さねばならず、結果としては同じだったと思われます。場合によっては客室乗務員がケースバイケースで判断する可能性もありますが、保安要員としての客室乗務員の指示に従うことは絶対です。

 (次ページ:同伴搭乗の是非については前提を間違えないようにしたい)

同伴搭乗の是非を議論するのは大賛成 ただし前提を間違えないようにしたい

 筆者も実家でペットを飼っていますし、日本の航空会社でも、ペットの同伴搭乗についての是非を議論するのは大いに賛成です。昨今の日本のペットとの付き合い方からも、貨物室ではなく、足下の椅子の下でもいいから一緒にいたいという気持ちもわかるのです。また転居などの様々な事情から、どうしても航空機での移動が必要というケースもあるので、「ペットを飛行機に乗せて連れ回すな!」と言い切ってしまうのも、あまりにも一方的な指摘かなと思っています。

 一方で、動物にアレルギーがあったり、動物にストレスがあり怖がる方も少なくはありません。動物は貨物室にいてもらったほうが安心できるし安全だ、という乗客がいることもわかります。

 なにより大きな問題として、緊急時に、隣に座っている家族同然のペットを置いて、脱出できるでしょうか。これも勘違いされやすいポイントですが、客室乗務員の仕事はサービス要員としてドリンクや機内食を配るだけではありません。緊急時には保安要員のとして「荷物」ではなく「乗客」の安全を守る責務があります。そのため乗客も、客室乗務員の指示を守って必ず「荷物」を置いていく必要があるわけです。避難経路を安全に確保するためには、何も持たず身ひとつで動くことになり、例外はありません。1分1秒を争う事態でペットが手を離れて走り回った場合、あるいは飼い主が「一緒に残る」と避難を拒んだ場合には、他の人の命を危険に晒す可能性が高まります。乗客と同じ席に座っていても「乗客」の安全が最優先となる状況は変わらないでしょう。

 愛するペットを身近に置いて旅をしたいから日本の航空会社でも同伴搭乗を提供してほしい、という気持ちはわかります。ですが、一部の意見にみられる「緊急時で一緒に脱出したいから同伴搭乗を」というのは、"前提"が間違っています。それを踏まえた上での、「ペットの機内同伴搭乗」の議論を期待したいところです。

羽田空港

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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