プレステ印のワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」普段使いもできる？

前回に引き続き、PlayStationと組み合わせてロスレス低遅延のワイヤレスオーディオを実現するイヤホン「PULSE Explore」をレポートします

　今回は先週の「プレステ印のワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」個性派のサウンドがおもしろい！【レビュー】」に続き、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの新しいワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」を体験レポートします。PlayStation 5やPlayStation Portal リモートプレーヤーに最適化したイヤホンですが、iPhone 15 ProやiPad、Androidスマホと組み合わせた時にも、独自の「PlayStation Link（PS Link）」によるロスレス低遅延のワイヤレス伝送のメリットを活かしながら使えました。

操作性はとにかくシンプル

　PULSE Exploreは、使い勝手がとてもシンプルなワイヤレスイヤホンです。

　PS5に接続する場合は、PULSE Exploreの商品パッケージに同梱されるUSBアダプター（無線トランスミッター）を使います。イヤホンとUSBアダプターはあらかじめペアリングが済んでいます。イヤホンは充電ケースから取り出して、USBアダプターはPS5の背面USBコネクタ（Type A）に挿すだけ。イヤホンからゲームコンテンツなどのサウンドが映像に、またはコントローラーによる操作に遅れることなく聴こえてきます。

PULSE Explore専用のUSBアダプター。USB Type-Aで接続します

　WindowsやMacで使う場合も同様です。筆者はMacBook Pro（macOS Sonoma）にアップル純正のUSB-C/USBアダプターを介して接続しました。USBアダプターを使用する場合はPS Linkが常時オンの状態です。MacBookでプレイするゲームのサウンドもレスポンスがよく、切れ味に富んでいます。

　PlayStation Portal リモートプレーヤーは、PULSE Exploreを初めて使用する際にペアリング操作が必要になります。イヤホンは充電ケースの、PS Portal リモートプレーヤーは本体のPS Linkボタンを長押ししてペアリングモードに入ります。あとはそれぞれのデバイスを近くに置いて、しばらく待つと自動的にペアリングが完了します。

ケースのボタンを長押しするとBluetoothペアリングモードになります。PlayStation Portal リモートプレーヤーとのPS Link接続のペアリングにも使用します

　PS5とPS Portal リモートプレーヤーの両方にPULSE Exploreをペアリングしておけば、イヤホン側に搭載するPS Linkボタンを押すだけで接続先のデバイスを素速く切り替えながら使えます。なおPS Link対応機器を1台と、Bluetooth対応機器を1台それぞれPULSE Exploreにペアリングして、それぞれ必要な時に切り替えて使うデュアルデバイス接続にも対応します。

iPhone 15 ProにUSBアダプターを接続。PS Linkによる低遅延オーディオが利用できました

PS LinkはiPhone／iPadとの組み合わせでも使える

　PULSE ExploreはBluetooth接続にも対応するワイヤレスイヤホンなので、スマホやタブレット、オーディオプレーヤーとBluetoothで接続してふつうに使えます。ではiPhoneなどにUSBアダプターを接続した場合もPS Linkは有効なのでしょうか。USB-C搭載のiPhone 15 Pro、iPad mini、Google Pixel 8 Proと組み合わせながら使ってみました。

　先に結論を言ってしまうといくつかの制約はあるものの、基本的には不便なく使えました。

　私はiPhone、iPadでよくゲームをしますが、PS LinkでつないだPULSE Exploreはゲーム音声がきびきびと遅れることなく聴こえてきます。Appleの「GarageBand」アプリで楽しむ音楽制作も、PULSE Exploreなら音声がずれることなくモニタリングできるのでとても爽快です。音楽クリエイター向けの左右独立型ワイヤレスイヤホンとしても、PULSE Exploreは良い選択肢になります。

　一点注意すべき事があるとすれば、最新のOSを入れたiPhoneとiPadではモバイルデバイス側のボリュームコントロールが効かなくなりました。ただ、イヤホン側で調整すればリスニングに十分な音量が得られます。

　iPhone 15 ProやGoogle Pixel 8 Proと組み合わせて使う際、特にロスレス低遅延の音声リスニングが必要なければ、スマホに装着しているUSBアダプターが煩わしく感じられるかもしれません。その場合は、Bluetooth接続にも対応するPULSE Exploreを直接つなぐ方法があります。シビアな同期が求められるGarageBandでピアノの鍵盤を弾くと、PS LinkよりもBluetoothの方は音声が若干遅延しますが、YouTubeの動画視聴などであれば特に不自由なく楽しめるはずです。

PULSE Exploreはとても個性的なワイヤレスイヤホン

　PULSE Exploreは2023年に筆者が出会ったワイヤレスイヤホンの中でも指折りの個性派です。ソニーストアの販売価格が2万9981円と安くはないイヤホンですが、ロスレス低遅延再生、平面ドライバーのメリットが様々な機器との組み合わせにより実感できるところが魅力的です。ゲーミング以外にも動画視聴、音楽リスニングなど幅広い用途に適しています。イヤホン本体にはマイクのほか、AIによるノイズ低減技術を組み込んでいるのでハンズフリー通話にも使えます。PS Linkだけでなく、Bluetooth接続もできる汎用性の高さを考えればお買い得なワイヤレスイヤホンだと思います。

　イヤホン本体のボタン式のリモコンは、基本的には音量のアップダウンぐらいにしか使いません。専用のモバイルアプリもなし。ソニーのワイヤレスイヤホンのフラグシップモデルである1000XシリーズやLinkBudsシリーズなどを使ったことがある方は、PULSE Exploreのシンプルさを極めた仕様に拍子抜けするかもしれません。このユニークなイヤホンを多くの方に体験してほしいと思います。

 

筆者紹介――山本 敦 　オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。