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ファンレスノートPCの人気3モデルをガチで検証してみた

ASCII.jp / 2024年3月1日 7時0分

ファンレスノートPC、パソコン

この記事は『週刊アスキー』1461号(2023年10月17日発売)に掲載されたものです。製品情報や発売日、価格などは変更されている場合がありますので、ご了承ください。

増えてきた選択肢 ファンレスノートPCが今、熱い!

 新型コロナウイルスの流行もあり、ここ数年でテレワークが一気に普及した。行動制限がなくなった2023年は、自宅や会社など、さまざまな場所で仕事をする機会が増えているだろう。そんな働く人たちの「ノートPC」は、移動を苦としない携帯性と、静かな環境で集中力を削がない静音性が求められるだろう。このような環境で大いに活躍するのがファンレス設計のノートPC(以下、ファンレスノートPC)だ。本特集では、静音性と携帯性に優れたファンレスノートPCの魅力を紹介する。編集部おすすめの3機種を中心に高負荷時の温度変化や静音性も掲載している。特集後半では、ベンチマークテストや、店頭で購入できるさまざまなファンレスノートPCを取り上げているので選ぶ際の参考にしてほしい。

ファンレスノートPCの魅力は モビリティー性能の高さ

 現代の社会人や学生のマストアイテムであるモバイルノートPC。出社と在宅を繰り返したり、出張が多かったりなど移動が多い人なら、持ち運びのしやすさはモバイルノートPCを選ぶ際の重要なポイントだろう。学生であれば、学校に持っていくのはもちろん、カフェや図書館で作業をすることも多いので、携帯性を重要視する人が多いはず。さらに、ノートPCを使っていくうちに気になってくるのが静音性だ。自宅など静かな場所で作業をしているときにファンの音をはじめとしたノートPCの動作音が気になり、集中力を削がれた経験はないだろうか? これらの課題に応えてくれるのがファンレスノートPCだ。

ファンレスノートPC、パソコン

 ファンレスノートPCは、CPUを冷却するためのファンを搭載していないノートPCだ。そのために、発熱が少ない低電力(低消費電力)のCPUを採用している。結果、薄型設計を実現でき、動作音も抑えられる。形状も一般的なノートPCのクラムシェル型や「Surface」のようなタブレット型などもあり自由度が高い。

 良いことずくめのように見えるファンレスノートPCだが、冷却ファンを搭載しないことで、発熱を心配する人もいるだろう。また、どのぐらい静かなのか静音性を知りたいかもしれない。編集部で13型クラスのファンレスノートPC3台をピックアップ。温度の変化や静音性などを検証してみた。その実力をチェックしていこう。

●POINT 薄型で持ち運びがしやすい

 モバイルノートPCにおいて重要な重量とサイズ。ファンレスノートPCは冷却ファンを内蔵しないため、薄さと軽さを追究できる。紹介するモデルはすべて13型クラスで、縦横はほぼA4サイズ。厚さは1cmほどだ。ふだん書類を入れているカバンなどにもスッと入れられるサイズ感だ。重量も1キロ前後であり、カバンに入れるのも手に持って歩くのも気にならないほどだ。

ファンレスノートPC、パソコン
ファンレスノートPC、パソコン
薄くて軽量なので、持ち運びもラクラクだ。会議室などへの移動でも、A4の書類とサイズ感にほとんど違いがないのでまとめられて便利である

●POINT 静音性に優れる!

 モバイルノートPCでは、内蔵するファンの口径が小さくなりがちで、冷却のためには回転速度を上げなければならない。これが耳障りな高い音を発生させる原因となる。静かな職場や図書館などではファンの音が気になってしまうノートPCもあるが、ファンレスノートPCならばそうした悩みから解放してくれる。キーボードの打鍵音にまで気をつかったモデルも多いぞ。

ファンレスノートPC、パソコン
小さいファンで効率良く冷却するためにはファンの回転数を上げる必要がある。だが、それによりノイズが高く、大きくなりがち。ファン自体がないので当然静かだ

 (次ページ:ファンレスノートPCの人気モデルはコレだ)

編集部おすすめ その1 タブレットとしても使用できるSQ3搭載モデル 「Surface Pro 9」

●Microsoft ●直販価格 30万5450円(キーボード込み)

ファンレスノートPC、パソコン

 10点マルチタッチのタブレットながら、別売のキーボードを接続することでノートPCとしても快適に使用できるSurface。そのシリーズにて初めてMicrosoft SQ3プロセッサーを採用したモデル。このモデルは5G標準搭載で場所を選ばないのが心強い。液晶パネルは13型ながら、2880×1920ドットの解像度や120Hzのリフレッシュレート、1200:1のコントラストなど美しい映像が楽しめる。さらにDolby Atmos8対応の2Wステレオスピーカーによりサウンド面も良好。

 SPEC  OS Windows 11 Home  CPU Microsoft SQ 3  メモリー 16GB  ストレージ 256GB  ディスプレー 13型(10点マルチタッチ対応)  解像度 2880×1920ドット  サイズ 約209(W)×287(D)×9.3(H)mm(本体のみ)  重量 約0.879kg(本体のみ)

ファンレスノートPC、パソコン
インターフェースは側面にUSB 3.2(Type-C)×2を備える。その逆側の細長い端子は電源だ。内部には加速度計やジャイロスコープ、磁力計を搭載している
ファンレスノートPC、パソコン

 ファンレスノートPCの最大の利点は静音性だが、Surfaceの場合、それ以外にもノイズを発生させる機構が存在しないため、本当に動いているのか画面を見ないとわからないほど静か。アイドル時、高負荷時とも30.7dB。これは深夜の郊外、鉛筆での執筆音のカテゴリーである。スイッチを入れた音で一瞬1dB上がる程度だ。

編集部おすすめ その2 長いバッテリーライフで高いモビリティーを実現 「ThinkPad X13s Gen 1」(21BXCTO1WWJP1)

●Lenovo ●直販価格 27万6496円

ファンレスノートPC、パソコン

 キーボードの中央に「TrackPoint」を搭載した13.3型のノートPC。タッチパッドも備えているので、自分に合った使い方が選べる。プロセッサーはスペックとバッテリーライフを両立したQualcomm Snapdragon 8cx Gen 3。CPUに組み込まれたセキュリティプロセッサーPlutonに加え、データの暗号化や指紋認証とともにビジネスユースにおいて重要な高い安全性を確保。筐体の90%が再生マグネシウムなのもポイント。

 SPEC  OS Windows 11 Home  CPU Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 3  メモリー 16GB  ストレージ 256GB  ディスプレー 13.3型(マルチタッチ対応)  解像度 1920×1200ドット  サイズ 約298.7(W)×206.4(D)×13.4(H)mm  重量 約1.06kg

ファンレスノートPC、パソコン
側面には充電端子も兼ねたUSB 3.2 Gen 2(Type-C)×2を装備。反対側にはマイク/ヘッドフォンコンボジャックやnanoSIMカードスロットを揃える
ファンレスノートPC、パソコン

 ThinkPadもファンレスなのでノイズを発生させない。本体を稼働させている時でも当然のようにアイドル時、高負荷時ともに31dBであり、深夜の郊外、鉛筆での執筆音のカテゴリーであった。他のモデルとの違いは環境音によるブレであろう。加えてキーボードや電源スイッチ部分も静音性を重視しており、押してもほとんど音がしない。

編集部おすすめ3機種 4色のカラバリを揃えるM2チップ搭載モデル 「MacBook Air」(M2,2022)

●Apple ●直販価格 16万4800円

ファンレスノートPC、パソコン

 MacBook Airのデザイン性の高さはそのままに、M2チップによりスペックアップ。13.6型のLiquid Retinaディスプレーは、2560×1664ドットと高精細でTrue Toneテクノロジーに対応しており美しさも備えている。チップにメモリーを統合する「ユニファイドメモリ」アーキテクチャーにより、快適な動作を実現。USB4やWi-Fi 6、Bluetooth 5.3といった最先端のテクノロジーを採用している。シルバーのほか、スターライトなど4色のカラバリを展開する。

 SPEC  OS macOS  CPU M2 CPU  メモリー 8GB  ストレージ 256GB  ディスプレー 13.6型  解像度 2560×1664ドット  サイズ 約304.1(W)×215(D)×11.3(H)mm  重量 約1.24kg

左側面にはUSB4端子×2を備え、DisplayPortに対応するほか、電源端子となるMagSafe 3が並ぶ。右側には3.5mmヘッドフォンジャックを搭載している

MacBook Airもファンレスのため当然ながらアイドル時と高負荷時にも差はなく、30.9dBであった。ほかのモデルと同様、環境音によるブレの範疇である。相変わらず筆者の周辺は静かだ。ただし、キーボードは少々音が発生する。小さいがカチャッと音がするのだ。とはいえ計測していても31.5dB程度なので、気にするほどではないだろう。

 (次ページ:編集部おすすめ3機種の実力は? ベンチマークで検証)

編集部おすすめ3機種の実力は? ベンチマークで検証

 各種ベンチマークにより、すでにご紹介した3機種のスペックを数値で比較していく。OSの違いもあり単純比較はできないが選ぶための参考にしてほしい。

■CINEBENCH 2024

【検証環境】CPUそのものの性能を測定することが可能なCINEBENCH 2024。そのWindows ARM用とMac OS用にて、CPUのコア単体(Single)とマルチコア総合(Multi)でのスコアをチェックする。CINEBENCH R23とは互換性がないことには注意。

【結果】純粋に数値で見ると、MacBook Airに搭載されたM2チップのパワーが際立つ。とはいえMac OSとWindowsでは単純な比較はさほど意味はないだろう。Windowsの2台においては、若干Surface ProのMicrosoft SQ3のほうが上か。

■CrystalDiskMark&AmorphousDiskMark

【検証環境】ストレージの速度をCrystalDiskMark 8.0.4にてチェックする。ただしMac OS版は存在しないので、MacBook AirではCrystalDiskMarkにリスペクトして作られたAmorphousDiskMarkを使用して計測している。参考値程度に留めてほしい。

【結果】3機種とも高速でハイレベルなスコアとなっている。Surface Pro 9とThinkPad X13s Gen 1においてはほぼ誤差と言っても過言ではない差だ。MacBook Airのみ、シーケンシャルよりランダムアクセスのほうが得意なようだ。

■バッテリー駆動時間

【検証環境】すべてのマシンを輝度最大、パフォーマンス最大の状態で高解像度のネット経由で受け取った動画を延々と流し続ける状況で、バッテリーが5%になってスタンバイもしくは電源オフになるまでの時間を比較する。

【結果】厳しめの設定の中で、ThinkPad X13の12時間超えが目を引く。ビジネスユースな使い方であれば気になることはないだろう。残る2台も負荷の大きい計測にもかかわらず十分な時間を発揮しているので、普段使いでは大きな問題にならない。

■その他ベンチマーク「PCMark 10」「Geekbench 6」

【検証環境】Windowsの2機種では、PCMark 10でMicrosoft Officeの処理速度をチェックするApplicationsを走らせる。さらに3機種とも共通のベンチマークとしてGeekbench 6のCPUテストを実施した。

【結果】PCMark 10ではThinkPad X13s Gen 1に軍配が上がったが、どちらも高スコアを記録した。Geekbenchにおいては、MacBook AirのM2チップが圧倒的なパワーを発揮。M2チップの強力さがよくわかる結果となった。

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