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i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適

ASCII.jp / 2024年1月28日 10時0分

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適

 小型PCはその内部の狭さから、高性能なPCパーツを採用しづらい。仮にハイエンドな製品を搭載できても、サーマルスロットリングで性能が下がることが多く、無理やり冷やせば今度は騒音が大きいPCになってしまう。

 前回紹介したサイコムの小型ゲーミングPC「Premium-Line B760FD-Mini/T/D5」も同様のリスクが存在する。今回は発売したばかりの第14世代CoreのNon-Kモデル「Core i7-14700」と、独自の静音仕様を施したGeForce RTX 4070搭載ビデオカードを搭載した試用機材で、そのあたりがどうなっているのか検証する。

小型PCでもCore i7-14700&RTX 4070はイケる?

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
CPUは20コア/28スレッドのCore i7-14700。GPUはGeForce RTX 4070で、ゲーミングPCとしてはミドルハイクラスといった構成だ

 ちなみに、Premium-Line B760FD-Mini/T/D5にPCケースファンはない。電源ユニット、CPUクーラー、ビデオカードのファンがPCケース側面近くにあるため、わざわざ別途ファンを設置する必要がないからだ。また、フロントを除く5面すべてに通気口が多数あり、PCケース内に空気がたまりづらい設計になっている。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
PCのケースの分解図。フロント以外は空気が抜けやすい構造になっている
i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
サイコムのプレミアムな小型ゲーミングPC「Premium-Line B760FD-Mini/T/D5」。標準構成の直販価格は28万4380円~(配送料込み)

サーマルスロットリングに入るものの……

 Premium-Line B760FD-Mini/T/D5のCPUクーラーはNoctuaの「NH-L9i-17xx」。低背ながら冷却性能に定評があるものの、前世代から物理コアが増えたCore i7-14700を冷やしきれるのかは未知数だ。

 そこで、まずは定番の「CINEBENCH R23」を試してみた。このベンチマークソフトは、CGレンダリング時間から性能を測るもの。全コアをフルに動かす高負荷テストがあり、熱検証にも向いている。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
CINEBENCH R23の結果

 結果は全コアを使用するMulti Coreテストが26507pts、1スレッドだけ使用するSingle Coreテストが2083ptsだった。しかし、モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使ってCPU温度を見てみると、実行直後から100度に到達し、サーマルスロットリングで動作クロックが下がっていた。

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10分間のMulti Coreテスト終了直前の様子

 それもそのはず。電力制限設定となるPL1、PL2を確認してみると、ともに253Wだった。Core i7-14700のインテル推奨設定はPL1が65W、PL2が219Wなので、だいぶ盛られていることになる。

 無論、サーマルスロットリングは入らないに越したことはない。静音PCであれば、PL1やPL2の値を適切に設定して熱をコントロールすべきだ。しかし、今回の試用機材では性能を重視して、サーマルスロットリングのペナルティーをくらってでも、なるべく高性能になるような設定に踏み切ったのだろう。

 その根拠は「CPU Package Power」の値にある。観察してみると、最大で約230W、平均で120W台後半を維持していた。これはCore i7-14700の推奨設定値を大きく上回っていることになる。とはいえ、それでも温度が気になる人は、性能は下がることになるが、BIOSから推奨設定に戻してもいいかもしれない。  もっとも、CINEBENCHのように全コアに負荷がかかるソフトウェアばかりではない。ゲームをはじめ、数コアに負荷がかかる程度のソフトなら問題ないはずだ。なお、性能比較の参考に「CINEBENCH 2024」の結果も掲載しておく。スコアーの単位はR23版と同じく「pts」だが、テスト内容が異なるので比較できない点に注意してほしい。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
CINEBENCH 2024の結果

 ちなみに、CINEBENCH中の動作音は最大で40.2dBだった。暗騒音33.4dB、PC正面約60cmの位置で計測したわりに、だいぶ静かな印象。家電で例えると、冷蔵庫くらいの大きさで、日中昼間であればまず気にならないレベルだ。

ゲーム性能に直結する3D性能をチェック

 続いては、Premium-Line B760FD-Mini/T/D5のゲーミング性能を見ていこう。GPUにGeForce RTX 4070を採用した静音モデル「Silent Master Graphics RTX4070 12GB」を搭載しているので、静音性も気になるところ。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
ビデオカードはNoctuaファンと長尾製作所のカバーで性能・見た目・静かさの3点揃ったSilent Master Graphics

 まずは定番の「3DMark」から。DirectX 12 Ultimateに対応したテスト「Speed Way」の結果を見てみよう。グローバルイルミネーションやレイトレーシングが使われており、GPUの負荷はかなり高い。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
3DMark Speed Wayの結果

 CPUの動作クロックは大きく変動しているが、4375スコアーとGeForce RTX 4070搭載モデルとしては妥当なところ。全コアに負荷がかかる作業ではサーマルスロットリングのペナルティーが大きいが、ゲームなどでは軽微と思われる。なお、3DMarkのほかのテスト結果は以下のグラフにまとめた。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
3DMarkの結果(まとめ)

 もう少し実際のゲーム寄りのベンチマークとして、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)と、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチマーク)も試してみた。

 FF14はプレーヤー数が多く、人気のMMORPG。息の長いタイトルで、この夏にも「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」が登場予定だ。それに伴ってグラフィックの要件が上がるので、解像度を「3840×2160」ドット、画質はプリセットの最大となる「最高品質」という最も厳しい条件で検証。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
FF14ベンチマークの結果

 スコアーは13351、評価は「とても快適」なので、4K・最高画質でもまったく問題なく遊べるだろう。ちなみに、フレームレートは平均約90.4fps、最低62fps。画面のカクツキを気にすることなくゲームに没頭できるはずだ。

 続いてはFF15ベンチマークの結果を見てみよう。こちらは重量級のベンチマークなので、解像度は「2560×1440」ドット、画質はプリセットの最大となる「高品質」とした。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
FF15ベンチマークの結果

 13170スコアーで評価は「非常に快適」と文句なしの成績。重量級タイトルでもスムーズにプレイできる実力を備えると言っていい。

 ちなみに、FF15ベンチマーク中のGPU温度をチェックしてみたところ、最大61.2度と余裕で安全圏だった。また、ファンの回転数は最大でも1167rpmと低い。必然、かなり静かでCPUクーラーの動作音のほうがは大きく感じるほどだった。

i7-14700&RTX 4070の静音グラボを内蔵する10.4Lの小型PCはWQHDでもゲームが快適
FF15ベンチマーク終了直前のGPU温度は58度

まとめ:小型でも重量級ゲームをWQHDで遊べるPCを探している人に

 Premium-Line B760FD-Mini/T/D5の最大の魅力は、なんといってもそのサイズにある。153(W)×343(D)×218(H)mmとかなりコンパクトで、机の上に置いてもジャマにならない。また、このサイズからは想像できないほど高性能なCPUやビデオカードを内蔵できるため、小さくても性能にこだわりたいという人にはピッタリだ。

 ただし、デュアル水冷仕様の「G-Master Hydro」シリーズのようなウルトラハイエンド構成にはできないし、静音性を追求した「Silent-Master NEO」シリーズほど静かではない。純粋にPCの性能や静音性を重視するのであれば、性能に特化したモデルを選ぶほうが満足できるだろう。

 Premium-Line B760FD-Mini/T/D5は、ゲーミングPCが欲しいけれど、大きなタワー型はちょっと……と考えているような人。品質面にこだわりのあるPremium-Lineシリーズだけに、きっと納得できる1台になってくれるはずだ。

【2024年2月9日編集部追記】Core i7-14700の電力設定はインテル推奨設定で出荷

 その後、Premium-Line B760FD-Mini/T/D5の試用機材で採用しているCore i7-14700の電力設定(PL1=253W、PL2=253W)について、サイコムに問い合わせたところ、製品版ではインテル推奨設定(PL1=65W、PL2=219W)で出荷することがわかった。

 そこで、電力設定をインテル推奨設定にすると、性能はどうなるのかいくつか再度検証したので掲載する。まずはCINEBENCH R23(10分間試行してからスコアーを算出するデフォルト設定で検証)からご覧いただこう。

CINEBENCH R23の結果(PL1=65W、PL2=219W)

 Multi Coreテストで19673pts、Single Coreテストで2078pts。PL1・PL2=253W設定時(Multi Coreテスト:26507pts、Single Coreテスト:2083pts)と比べ、Multi Coreテスト時のスコアーが大幅に減っている。では、この時のCPU温度も見てみよう。

10分間のMulti Coreテスト終了直前の様子(PL1=65W、PL2=219W)

 PL1・PL2の値はしっかりインテル推奨設定になっており、実際のCPUの消費電力を示す「CPU Package Power」を見てみても、その設定に沿うように動いていた。しかしながら、CPUパッケージ温度は100度に達し、サーマルスロットリングも起きていた。

 つまり、電力設定を定格まで下げても、全コアに長時間負荷がかかると、Noctuaの「NH-L9i-17xx」では冷却不足になってしまうということだ。しかし、「Average」(平均値)を見てみると、CPU Package Powerは約68W、CPU温度は73度と、PL1・PL2=253W設定時(約130W、99度)よりもだいぶ下がっている。

 もちろん、そのぶんCINEBENCH R23では性能もがっつり下がったわけだが、ゲームなどの少数スレッドの用途はどうだろうか? FF14ベンチマークとFF15ベンチマークで試してみた。

FF14ベンチマークの結果(PL1=65W、PL2=219W)
FF15ベンチマークの結果(PL1=65W、PL2=219W)

 FF14ベンチマークは13222スコアー、FF15ベンチマークは13041スコアーと、PL1・PL2設定時から1%ほど下がった程度。インテル推奨設定でもしっかりビデオカードの性能を引き出せていると言っていいだろう。

 以上で、再検証を終了する。動画エンコードなどの全コア負荷が長く続く前提の用途なら、さらに電力設定を下げてサーマルスロットリングを回避してもいいかもしれない。逆に、短時間で終わる作業なら、試用機材の初期設定のように値を上げるという手段もある。

 しかし、それ以外の用途ならインテル推奨設定でも十分頼りになる性能だし、CPU温度は低く、消費電力は低いに越したことはない。本機は小型PCの中では抜群の性能を誇るが、用途によってその最適設定は大きく変わる。この絶妙な部分を楽しめるPC巧者には強くオススメしたい。

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