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楽天・三木谷氏、モバイルの次は“AI” アマゾンとの違い強調

ASCII.jp / 2024年1月31日 6時30分

楽天グループ 三木谷浩史会長兼社長 筆者撮影

 楽天グループは2024年1月26日、楽天市場の出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス2024」を開催。同社の三木谷浩史会長兼社長が基調講演をした。

 三木谷会長は、楽天モバイルの契約者が600万件を超え、モバイルを契約したユーザーは楽天市場など他のサービスを多く使うため、流通総額も増えているという点をアピールした。

 ただ、楽天モバイル事業に関しては、全国での基地局建設などの設備投資がかさみ、いまだに楽天グループ全体における収益の足を引っ張っている状態だ。しかし、2023年に開始した「最強プラン」によって、解約率も低下し、法人を中心に新規契約者も毎月20万件ペースで獲得。悲願であったプラチナバンドも総務省から割り当てられ、今年5月にも開始する目処が立っている。

 あとは損益分岐点である800〜1000万契約を早期に獲得するために邁進すればいいという状態になった。

 そんななか、三木谷会長がモバイルの次に注力しはじめたのが「AI」だ。しかも、基調講演でやたらと「アマゾンにはないAI」をアピールしていたのが印象的だった。

OpenAIが楽天グループを選んだ理由は「データ資産」?

 楽天グループは、「ChatGPT」を提供するOpenAIと提携関係にある。

 OpenAIが楽天グループを選んだ理由として、かつて三木谷会長は「楽天グループが持つリッチなデータ資産が魅力的だったのではないか」と語っていた。

 楽天グループでは、ショッピングだけでなく、トラベル、銀行、証券、クレジットカード、モバイルなど70以上のサービスが存在し、ユーザーが持つIDによってつながっている。

 楽天グループは国内会員数が1億を超え、グローバルでは18億のメンバーシップを持っている。年間のポイント発行数は6600億で、累計ポイント数は4兆ポイントにもなる。三木谷会長は「世界的に見ても、楽天グループは希有なデータを持っている。世界ナンバーワンではないか」と胸を張る。

 確かにアマゾンのほうがショッピングにおける流通量や金額は多いかも知れないが、銀行や証券、トラベルといったサービスは持っていない。買い物にとどまることなく、ユーザーの資産や決済、行動履歴なども把握できるという点は楽天グループならではなのかもしれない。

商品名や説明文のたたき台をAI生成

 三木谷会長は「トラベルで予約した旅行先で着る衣類を提案できたり、銀行で住宅ローンを組んだ人に家電を紹介できるのも楽天グループの強みだ」と解説する。

 AIを組み合わせることで、それぞれのユーザーに見合った提案が可能になるというわけだ。

 しかも、これまでインターネットショッピングでは単なる商品カットの写真だけしか表示できなかったが、今後は生成AIによって、商品単体だけでなく、利用シーンをイメージさせる画像を何枚も提案可能になる。

 さらに楽天市場での出店者は、商品名や説明文のたたき台をAIにつくってもらうこともできるようになる。楽天グループでは店舗分析や問い合わせ対応、業務支援などにもAIを取り入れたツールを展開していくという。

 ただ、AIを活用する場面が増えると「AIに仕事を取られてしまうのではないか」という危機感が芽生えてくる。しかし、三木谷会長は「アマゾンと違い、楽天市場のショップには人間のあたたかみがある」と力説。インターネットショッピングであっても、それぞれのショップには出店者の人柄が現れ、結果、ユーザーに選ばれているのが楽天市場だというのだ。

AI活用においては楽天市場の“人間らしさ”を強調

楽天モバイルとRakuten AIの両輪で経済圏拡大

 楽天グループとしては「Rakuten AI」を作り上げ、マーケティング効率やオペレーション効率、さらにはクライアント効率(出店者の業務効率)を上げることを目標としている。

 このRakuten AIを楽天市場や楽天トラベルに導入することで、商品検索がしやすくなり、購買率が上がる。トラベルであればAIコンシェルジュによってユーザーが旅行に行きたいと思える最適なプランを提案できるようになる。楽天生命や楽天証券などでの提案も可能となるなど、あらゆる面で、AIによって売上げアップが期待できるというのだ。

 楽天グループとしては、楽天市場の出店者や楽天トラベルの宿泊施設に対してRakuten AIを売り込みつつ、同時に楽天モバイルが提供する法人プランの新規契約獲得も狙っていくようだ。

 法人として楽天モバイルの回線を試しに使ってもらいつつ、今後は個人の契約も他社から楽天モバイルに切り替えてもらう戦略だ。

 三木谷会長は「他社から乗り換えるのにオンラインでも30分ぐらいかかってしまう。これを3分でできるように社内で指示をしている」と語る。

 2024年はRakuten AIと楽天モバイルの両輪で楽天経済圏の拡大を狙っていくようだ。

AIとモバイルで楽天エコシステム(経済圏)拡大をはかる
 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

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