10万円で10日間、東南アジアを何ヵ国まわれるか挑戦してみた バスで国境を越えたらマレーシアの巻(4ヵ国目)
ASCII.jp / 2024年1月31日 6時30分
今回は円安やインフレの影響を乗り越えて「東南アジアを10万円・10日間で何ヵ国まわれるか?」という企画チャレンジのシリーズ第3回。前回は2ヵ国目のシンガポールからプチトラブルの連続に見舞われながらも、3ヵ国目のインドネシアに渡り、「ビンタン島でビンタンビールを飲む」というミッションを無事達成しました。
3日目(2023年12月22日) バスで国境を越え経てマレーシアへ
早朝のフェリーでインドネシアのビンタン島から、シンガポールのタナメラ・フェリーターミナルまで戻ってきました。ここから次の国マレーシアへと向かいます。旅程を考えた時に空路も調べたのですが、シンガポール・チャンギ国際空港発の飛行機はちょっと割高でした。どうやらチャンギ国際空港は東南アジアのなかでも、航空券自体の価格にプラスして空港使用料や税金が高めなんですよね。
今回の渡航期間ですと、トータルで62.2SGD(シンガポールドル)。円安の影響もあり、日本円に換算すると約6850円。LCCの東南アジア路線は、航空券自体の価格が1万円以下〜バーゲンだと数千円や数百円というケースもあるので、この空港使用料や税金の割合が大きくなってしまいます。
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そこでマレーシアへは飛行機を使わず、長距離バスを駆使して移動することにしました。ルートはまずシンガポールからマレー半島の南端、国境となるジョホール海峡を越えたジョホールバルへ。さらにそこからマレーシアの首都・クアラルンプールまで移動します。
シンガポールとジョホールバルの国境越えは、逆ルートで体験済み。10年ほど前にWeb版の週刊アスキーで「SIMフリースマホと香港〜シンガポール縦断バスの旅」というシリーズの5回目と6回目でレポートしています。
10年経ってもやっていることは同じだな〜と思いつつ、まずはフェリーターミナルから路線バスと地下鉄を乗り継いで、クイーンストリート バスターミナルへ移動します。シンガポールには交通系ICカードの「EZ-Link」がありますが、数年前から路線バスや地下鉄は、クレジットカードのタッチ決済やApple Pay、Android Payで乗車可能になっています。なので、EZ-Linkに現金でチャージして使うより、スマホで乗るほうが手間がかからず断然ラクチンです。
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クイーンストリート バスターミナルで、ジョホールバルへと国境を越える急行バスのチケットを購入。急行バスの運行会社はCauseway Link(黄色いバス)とSingapore-Johor Express(赤いバス)の2社があります。とはいえ発着場所のバスターミナルも所要時間も価格も同じなので、タイミング良く出発するほうのバスチケットを買えばオーケーです。
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東南アジアの"あるある" その1 タッチ決済トラブルで急遽、現金支払いが発生!
国境越えのバス運賃は4.80SGD(約515円)です。バスチケット販売の窓口にはタッチ決済対応のクレジットカード決済端末があったので、スマホで支払おうと思ったのですが、なんと「機械が壊れているので現金かEZ-Linkカードしか使えない」と言われてしまいます。
以前はEZ-Linkカードを持っていたのですが、地下鉄や路線バスはスマホのタッチ決済で乗れるようになったため、今回は日本に置いてきちゃったんですよね。しかたなく現金で支払いました。ただこの「機械が壊れているので現金だけ」って、東南アジアを旅しているとよくあります。本当に壊れているのか疑いたくなるくらいに遭遇しますので、スマホ決済できると言っても、ある程度は現地通貨で持っていたほうが安心です(自分の場合は、2000円分くらい準備しておくようにしています)。
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(次ページ:出入国手続きをして、いよいよマレーシアへ)
急行バスで国境検問所に到着 出入国手続きをして、いよいよマレーシアへ
11時頃にクイーンストリート バスターミナルを出発したバスは、30分ほどでシンガポール側の国境検問所ウッドランズ・チェックポイントに到着。いったんバスを降りてここでシンガポールの出国手続きをします。
クイーンストリート バスターミナルで購入したチケットを見せつつ、同じカラーのバスに乗り込み、ジョホール海峡を渡る橋を通過。乗車時間は5分ほどでマレーシア側の国境検問所ジョホールバル・チェックポイントに到着するので、バスを降りてマレーシアの入国手続きをします。
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その後、ふたたびバスへと乗り込みます。やはりチケットを見せつつ同じ色のバスに乗ればオーケー。道も空いていたのか、15分ほどでラーキン・バスターミナルへ到着。シンガポールとマレーシアの出入国手続きを合わせても1時間10分ほどの移動時間でした。
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節約旅行に最適なバス移動 チケットはネットから事前購入済みで安心
ラーキン・バスターミナルからは、マレーシアの各地へと高速バスが出ています。10年前はマレー半島の東側をバスで南下してきましたが、今回は西側を首都クアラルンプールへ向けて北上するコースです。
チケットはこのバスターミナルでも購入できますが、今回は「12Go」というサイトで事前に購入済み。「12Go」はタイが本社で、シンガポールを拠点としたサービス。東南アジアの高速バスや鉄道といったチケットを購入可能。海外の鉄道やバスはネットでの購入が分かりにくかったり、日本のクレジットカードが使えなかったりするので、「12Go」を窓口に購入にできるのはかなり便利です。2015年に営業開始なので、10年前のバス旅をしていた時にはなかったんですよね。この「12Go」のおかげで、東南アジアはかなり旅しやすくなりました。
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12Goでの購入時のメールを確認すると、窓口でバスチケットと引き換えるとのこと。そのとおりに窓口でメールを見せると、バスチケットを発行してくれました。ただし施設利用料と発券手数料が別途必要でそれぞれ1リンギット(約66円)。事前に支払っていたバス代1372円と先ほどの国境越えのバスと合わせると、シンガポールからクアラルンプールまで約2019円なので、チャンギ空港の空港利用税などの3分の1ほどの料金で格安移動できるわけです。今回は予算10万円で移動費をまかなわなければならないので、この金額差は大きい!
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(次ページ:お昼はチキンカレーと揚げオムレツです)
お昼はチキンカレーと揚げオムレツ 満腹になったら首都クアラルンプールへ
バスの出発までは1時間以上余裕があったので、昼食をとりつつ、車内用の飲み物を購入するなどして移動の準備を整えることにしました。昼食は、バスターミナル内にある指さしでおかずを選べる屋台で、チキンカレーとオムレツをチョイス。12リンギットだったので約370円でした。
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多くのバス会社が数分おきにマレーシア各地へとバスを出しているため、チケット販売エリアや売店エリアは人も多く、かなりカオスな状況。ですが、チケットにはQRコードがあり、バスターミナルの出発ゲート入り口でかざして入場するようになっているため、指定した時間にならないと入れないシステムになっており、間違えにくいのがいいですね。
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東南アジアの"あるある" その2 座席はゆったり快適だけど運転はヒヤヒヤ
出発時間が近づくと乗車番号が掲示されるため、目的のバスを見つけて乗り込みます。バスは1列・2列のシート配列で、かなりゆったりと座れます。USB Type-Aのポートもあり、スマホなどの充電も可能です。ちなみにこのバスでは12Goでの購入時に座席指定もできたので、ひとり掛けの先頭席を指定しておきました。
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座席はゆったりなので快適だし、途中2回ほどトイレ休憩でサービスエリアにも立ち寄るので、移動自体はかなりラクチンです。ただ、先頭席ということもあり、運転手の様子が丸見え。すると運転中、ほぼずっとヘッドホンをつけて、スマートフォンのショート動画を見ながら運転しているのが目に入ってしまい……。お国柄というか、東南アジア旅らしいというか。正直、怖くなってシートベルトをしっかりと装着したもの事実です。
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(次ページ:夕食は屋台街「アロー通り」でホッケンミー! ビールがうまーい!)
大都会クアラルンプールに無事到着 夕食は屋台街「アロー通り」でホッケンミー
バスは20時15分頃に、クアラルンプールのTBSバスターミナルに到着しました。予定では18時半頃に到着だったので、2時間弱の遅れですね。クアラルンプールは空港での乗り継ぎ経験があるものの、街中に降りたのは今回が初めてです。せっかくなので、到着したら有名な観光スポットとなっているペトロナスツインタワーでも見に行こうかなと思っていたのですが、お腹も減っているし、その時間はなさそう。
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ちなみにTBSバスターミナルはクアラルンピールの中心部からちょっと離れていて、ペトロナスツインタワーからは10kmほどの位置にあります。東南アジアのバスターミナルって、都心部への大型車流入を抑えるためだと思いますが、郊外に立地するケースが多いんですよね。
というわけで、TBSバスターミナルに隣接するBandar Tasik Selatanから鉄道で都心部まで6駅移動。キップは現金で購入して3.1リンギット(約95円)でした。やってきたのは、クアラルンプール最大の屋台街「アロー通り」。全長200mほどの通りに、数多くの屋台やレストランが並んでいます。
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何を食べようか迷ってしまうほどお店がありますが、せっかくならマレーシアらしい料理をということで、焼きそばのホッケンミーをオーダー。ホッケンミーは東南アジア各地にありますが、クアラルンプール式は太麺でブラックソイソース(中華たまり醤油)を使っているので黒っぽい仕上がりが特徴。具材にはキャベツのほか、カリカリに揚げたポークラードがアクセントになっています。
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露店ということで東南アジアの暑さもあり、アツアツできたてのホッケンミーを汗だくで頬張りながら、東南アジア定番のタイガービールで流し込む。控えめに言って最高です。タイガービールは大瓶でしたが、2本も空けちゃいました。
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そのほか牡蠣オムレツも頼んで94.60リンギット(約2910円)。アロー通りはメジャーな観光地なので、マレーシアの物価からするとちょっと割高にはなってしまいましたが、それを差し引いても十分楽しく満足な食事でした。
(次ページ:楽天バンザイ! 今夜の宿は0円です)
さて、今夜の宿のある クアラルンプール国際空港へ行きますか
お腹も膨れたので宿に移動……といきたいところですが、翌日6時台の飛行機で移動するため、空港へ向かいます。クアラルンプール国際空港は街の中心部から約43kmとちょっと離れています。
そのためKLIAエクスプレスという鉄道でアクセスするのが一般的ですが、始発では6時台の飛行機に乗るのがちょっと厳しい。そうなると6時台の飛行機に乗るには、4時台に空港に着いている必要があり、そうなると3時頃には宿を出てタクシーなどで向かうことに。それでは宿をとっても4時間くらいしか寝られないし、タクシー代もかかってしまいます。
というわけで、クアラルンプールでは宿を取らずに、空港で夜明かしすることにしました。まずはモノレールでKLセントラル駅まで移動(2.5リンギット/約77円)。そこからKLIAエクスプレス(55リンギット/1700円)でクアラルンプール国際空港の第2ターミナルへと向かいます。モノレールは現金で、KLIAエクスプレスはスマホのタッチ決済で支払いました。
しかしクアラルンプールは初めてですが、いろいろな乗りものがあって楽しいですね。いずれゆっくりと都市交通乗りまくりの旅として再訪したいです。
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4日目(2023年12月23日) 空港のカプセルホテルに0円滞在
クアラルンプール国際空港第2ターミナルに到着したのは23時40分頃。搭乗券はオンラインで発券しているので、もしかしたら出国手続きをして制限エリアに入れるかも……とチャレンジしてみましたが、やはり早すぎてダメ。
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そこで空港内の施設を調べてみると、第2ターミナルの地下にCapsule Transitというカプセルホテルがあり、しかもプライオリティ・パスの会員は3時間まで無料で使えるとのこと。自分は楽天プレミアムカードの付帯サービスで、利用回数無制限のプライオリティ・パスを持っていたため、迷うことなく利用することにしました。
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バスタオルなどの貸し出しもあり、シャワーの利用も可能です。ただ、今日は朝から移動し続けてヘトヘトだったこともあり、無料で利用できる3時間ギリギリまで寝ることにしました。Capsule Transitは日本のキレイな最新カプセルホテルと同じ雰囲気。カプセル内にはコンセントもあり充電も可能です。
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この楽天プレミアムカードのプライオリティ・パスサービスは、2025年から年5回までと改悪されてしまうので、今後、こういった旅の時にはどうしようかな……そんなことを考えながら、3時間ほど就寝。目が醒めたら次の国へと向かいますが、今回はここまでです。
以下は、ここまでかかった費用です。
■移動予算10万円(国境越えや長距離移動+宿代) 国境越え急行バス(シンガポール→ジョホールバル):515円 高速バス(ジョホールバル→クアラルンプール):1504円 合計:2019円 前回までの費用:3万9375円 残金:5万8606円
※そのほか滞在費など(予算に含めず) -シンガポール- 路線バス:194円 地下鉄:194円 -マレーシア- 昼飯;370円 缶コーヒー:212円 トイレ:9円 鉄道:95円 晩飯:2910円 モノレール:77円 空港鉄道:1700円 合計:5761円(累計:2万3959円)
訂正とお詫び:初出時、一部表記に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2024年2月6日)
この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)
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世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
- 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
- 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)
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