実測37g! 折り紙式ポータブルマウス「OriMouse」を衝動買い
ASCII.jp / 2024年2月2日 11時30分
あまりにコンパクトで宅内行方不明となっていた 折り紙みたいに「折れるマウス」を衝動買い
2023年、クラウドファンディングのIndiegogoで衝動買いしていながら、あまりのコンパクトさで宅内行方不明となっていたmyAir.0「OriMouse」(マイエアー・ゼロ オリマウス/以降、折紙マウス)を年始にやっと自宅本棚の奥から発掘したので、今回のコラムでご紹介したい。ネットを見ると国内クラウドファンディングのMakuakeでもサクセスし、3月末までには出荷されるようだ。
ミーハーな筆者のプレッジした折紙マウスは、外観カラーがシンプルな単色ではないド派手で目立つ「Pop Graffiti」(ポップグラフィティ)と呼ばれる、表面全体にオリジナルのコミックが描かれた変態モデルだ。
届いた折紙マウスの専用ファブリックケースに取り付けられていた帯封には、英文で「ORIGAMI FOLDABLE MOUSE」とサブタグラインが記述されている。原文のままシンプルに言うなら「折り紙みたいに折れるマウス」だ。
筆者が本体である折紙マウスと同じくらい感動したのは、折紙マウスが収納されてきた表裏2枚に分離する超薄いプラスチックのケースだった。どちらかというとかなり野暮ったいグレーのファブリックケースよりはるかに格好が良く、普段の持ち歩きにはこっちを使いたいぐらいだ。友人たちのウケもこっちの方が圧倒的だった。
薄型でも快適? テクノロジー進化とマウス開発
ケースから取り出した折紙マウスは、少し分厚い(14mm)先端の光学部分をのぞけば、実測の薄さはどこも5mm少々だった。表現はちょっと失礼で申し訳ないが、パッと見の外観は止まっている大きなハエのように見えてしまった。両方の羽根の部分を中央に寄せるように指先で挟むと内蔵されたマグネットでくっついて、ワンアクションで中高のマウス形状になる楽しいギミックだ。
昨今はテクノロジー的には、いくらでも薄い小さなマウスを開発することが容易な時代だ。しかし、基本的にマウスは人が指をくっつけて手のひらを丸くして机の上に置いた時に、その空間サイズを気持ちよく満たすような人間工学的な設計とうんちくが重要だ。そこが各企業で思い入れや思い込みの歴史があって、なかなか楽しいところなのだ。
普及価格帯の光学式マウスが登場する1999年頃までのマウスは、内部に鉄球をゴム系の素材で包んだ小さなボールが入っていたのをご存じの読者諸兄姉も多いだろう。マウスを机上で動かすと、そのボールの上下左右の回転動作をボールの周囲にX軸Y軸に直角配置されたローラーがセンスして、画面上のXY座標に展開し、画面上をカーソルが移動する仕組みだった。時々、マウスの裏側を開けてボールやその周囲のローラーにくっついたゴミを掃除したものだった。
ちょっと横道にそれるが、NASAのスペースシャトルがThinkPadを標準備品として1機に予備を含め十数台のThinkPadを搭載していた一つの理由は、宇宙でのパソコン操作ではボールが無重力状態で宇宙遊泳して正しく動作しないことが理由だった。トラックポイントには宙に浮くボールが使用されていないので、まったく問題なかったのだ。
今回、友人から頂いたボールの入ったマイクロソフト純正のPS/2マウスからレノボの光学式有線マウス、光学式ワイレスマウス、マイクロソフトのSurface発売のころに登場した折り畳みARCマウス、そして今回の折紙マウスの5台を左から右に並べてみた。テクノロジーの変遷とそれに伴うデザインの変化は、なかなか楽しい。
いずれも使用時には人間工学的に人の丸くした手のひらと、机上面との間の空間に自然に収まるような形状にデザインされている。折畳型マウスといえば、筆者をはじめ多くの人の印象に残っているのはマイクロソフトのARCマウスだろう。筆者もすでに手元にSurfaceはなくても、ARCマウスだけは今も愛用している。できの良いロングセラー製品だ。
ARCマウスも今回ご紹介の折紙マウスも、折りたたむということに関してはコンセプトはほとんど同じだ。ベキッと本体中央をへし折ることで電源が入り、レディーになるARCマウス。折紙マウスは左右の2枚の羽根部分を中央に寄せることで電源が入りレディーとなる。いずれも電源オンと同時に形状はレガシーなマウスの形状にトランスフォームするところも同様だ。
筆者のマイクロソフトARCマウスは単4乾電池2本で動作するが、折紙マウスは本体のUSB Type-Cポート経由で内蔵の500mAhリチウムポリマーバッテリーに充電する仕組みだ。1回のフル充電で3ヵ月程度は使えるらしい。もちろん使用頻度によって変化する。今のところ筆者は、まだ使い出して1週間なので実際のところは分からない。
スタートアップ企業ならではの 元気さと楽しさが光るアイテム
折紙マウスの形状の方が組み立てた時に手のひら全体に触れる感じはするが、かといって側面の壁がまったくないマイクロソフトARCマウスが持ち辛いとか使い辛いということはなかった。折紙マウスは折り曲げた時に机上にあたる4つのコーナーの処理がきめ細かく考えられており、机上を滑るように操作できるのが快感だ。
折紙マウスのデバイスとのペアリングは簡単だ。裏面の小さなペアリングボタンを長押しし、デバイス側でBluetoothを起動しmyAir.0 Oriを接続するだけだ。筆者はThinkPad X1 NanoとGalaxy Z Fold4の2つのデバイスとペアリングしてみた。一度ペアリングすると、以降は折紙マウスを組み立てて電源オンになれば自動接続してくれる。
折紙マウスは実測37gで、単4乾電池を2個使っているARCマウスの実測79gより圧倒的に軽くて、モバイルワークには有利だろう。両者ともフラットな形状にして持ち運ぶことが前提。形状的にはARCマウスも6mm(最薄)〜14mm(最厚)なので、それほど大きな差はないと感じた。
ミーハーな筆者は、今のところグレーのファブリックケースより話題性のありそうなプラスチックケースに入れて、ド派手なポップグラフィティ折紙マウスを持ち歩いている。折紙マウスだけをThinkPadや他のモバイルPCと一緒に持ち歩く時には、折紙マウスの表面側をモバイルPCの天板側に当てて収納することでお互いに傷つくことはなさそうだ。
大型のタブレットクラスのGalaxy Z Fold4は、Ankerのキーボードと一般的なスマホスタンドと一緒に折紙マウスを適当なサイズのブリーフケースに一緒に押し込んで持ち運んで、出先の喫茶店などで使っている。
折紙マウスは機能的にはマイクロソフトのARCマウスと同等だ。しかし、シャレたケースから取り出して、片手で2枚の羽根を寄せることで一般的なマウス形状にトランスフォームするギミックとポップグラフィティのイラストの意外性が、注目されること必至だ。
マイクロソフトのような大手のメーカーの安定商品ではなく、クラウドファンディングに挑むスタートアップ企業ならではの元気さと楽しさが光るアイテムだ。
今回の衝動買い
・アイテム:myAir.0「OriMouse」(ポップグラフィティ) ・購入:Indiegogo ・価格:56米ドル(2023年3月の購入時約7600円)
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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