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AI性能を高めた超高性能スマホ「Galaxy S24 Ultra」海外版でAIを使い倒した

ASCII.jp / 2024年2月10日 12時0分

Galaxy
Galaxy S24 Ultra

 サムスンが1月17日に発表した「Galaxy S24 Ultra」が海外で順次発売になっている。今回はそのグローバルモデルをレビューする。前モデルのGalaxy S23 Ultraからの大きな進化はAI機能で、画像処理や通訳機能など、ソフトウェア面での性能が大幅にアップした。

◆フラットディスプレー搭載のハイスペックなモデル

 Galaxy S24 UltraはチップセットにクアルコムのSnapdragon 8 Gen 3 for Galaxyを搭載している。メモリーは12GB、ストレージは256GB/512GB/1TBの構成だ。なお、多くの国で256GBモデルを512GBモデルの価格で購入できる販売キャンペーンが行なわれた。日本で発売される際も、昨年同様にこのキャンペーンが実施されるかもしれない。

 ディスプレーは6.8型(3120×1440ドット)で、Galaxy S23 Ultraとサイズは同じだが解像度(3088×1440ドット)はやや広がった。またピーク時の輝度が2600nitと、Galaxy S23 Ultraの1750nitより明るくなっている。そして、最大の変化点がディスプレーがフラットタイプになったこと。サムスンがフラッグシップモデルに採用していた左右をカーブさせたエッジディスプレーがついに廃止となったわけだ。フロントカメラはパンチホール型で1200万画素を内蔵する。

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フラットタイプのディスプレーを搭載

 カメラは4つを搭載する。2億画素の広角(f/1.7)、1200万画素の超広角(f/2.2)、1000万画素の3倍望遠(f/2.4)、5000万画素の5倍望遠(f/3.4)の組み合わせとなる。カラバリは4色+オンライン限定3色で、今回レビューしたのはTitanium Violet。ほかにはTitanium Black、Titanium Gray、Titanium Yellowの3色と、オンライン向けのTitanium Blue、Titanium Green、Titanium Orangeと、合計7色が海外で展開されている。

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2億画素カメラを含むクワッドカメラ

 本体のフレームはGalaxyシリーズ初のチタン製となった。本体サイズは約79×162.3×8.6mm、重さは232gとなっている。Galaxy S23 Ultraは約78.1×163.4×8.9mm、重さ234gであり、重量の差は2gとやや軽量化したに留まる。本体右側面の電源ボタン、音量ボタンの配置は変わっていない。

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チタンフレームを初採用

 カメラ構成が変わっていないことからか、カメラのレンズ部分のでっぱりはGalaxy S23 Ultraとほぼ変わっていない。エッジディスプレーをやめたことで、手に持った感じはGalaxy S23 Ultraより側面の角が手のひらにしっかりと当たる感じだ。

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カメラ部分のでっぱりは変わらない

 本体下部のUSB Type-C端子やSIMカードスロット、スタイラス「Sペン」などの配置も変わっていない。このように上部・背面側から見るとエッジディスプレーではないものの、フレーム部分はややランドしたデザインであることがわかる。最近のiPhoneやGalaxy S24シリーズのほかのモデルのように、フレームとディスプレー・背面パネルとの角の部分は90度ではない。

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本体下部の端子レイアウトも変わっていない

 収納式のSペンは本体内に軽く押し込むとばねの力で出てくる。Sペンについては今回のGalaxy S24シリーズ発表会で詳細な説明はなく、Galaxy S23 Ultraから性能は変わっていないと思われる。Sペンはワコムの技術を採用しており、充電不要で画面の手書きなどに使える。なお、Bluetoothとバッテリーが内蔵されており、本体に収納することで自動的に充電され、カメラのシャッターボタンとしてリモコンのように使うことも可能だ。

 別売のSペンを使うことも可能で、サムスンからはより太いサイズで実際のペンのような形状の「Sペン Pro」が販売されている。

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本体収納式のSペン

 本体のベンチマークを計測したところ、AnTuTuでは176万6244、Geekbenchではシングルコアが2177、マルチコアが6681であった。サムスンによると内部の放熱板面積を広げるなど冷却機能を強化しており、ハイエンドゲームも支障なく遊べるという。また、CPU性能だけではなくNPU性能が上がっており、このあと紹介するAI機能もかなり快適に使える。

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AnTuTuとGeekbenchのスコア

◆オンデバイス通訳機能など優れたAI機能をテスト

 Galaxy S24 UltraはAI機能が強化されており、オンデバイスで利用できる通訳機能などスマートフォンとしての使い勝手が大きく高まっている。今回は「通訳」「ノートアシスト(テキスト成形)」「かこって検索」「画像消去・移動」を使ってみた。

 通訳機能はオフラインでも利用できるオンデバイスAI機能であり、様々なシーンでの活用が期待できる。ただし、使用する際はあらかじめ言語パックのインストールが必要だ。また通訳機能はアプリケーションではなくクイック設定パネルから呼び出して利用できる。すなわちGalaxy S24シリーズの本体機能の1つとして組み込まれているのである。

 Galaxy S24 Ultraで初めて通訳機能を起動すると、言語パックのインストールが促される。2024年1月末時点では主要な西洋言語に加え、日本語、韓国語、中国語、タイ語、ベトナム語などアジア言語にも対応している。将来はより多くの言語に対応するだろう。

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クイック設定パネルに「通訳」がビルトインされている。使い始めの際に言語パックをインストールする

 通訳機能の画面は上半分が自分用、下半分が相手用、という画面になっている。マイクアイコンの横にある言語をタップすれば、会話する言語を切替できる。まずは日本語英語の通訳を試してみよう。使う際はマイクボタンを押してから画面に向かって話をすると、自分の日本語音声が認識されて1~2秒で画面上部にテキストで表示される。続いて英語のテキストが画面下部側に表示されるとともに、音声で読み上げてくれる。

 画面右上の3点リーダーボタンの左のアイコンをタップすると、画面上半分の表示が反転して、お互いが向き合って会話しやすい表示にもなる。お店などでお客さんに対応するときなどはこのほうが使いやすいだろう。相手が英語で話をすると、同様にテキスト表示→日本語の翻訳テキスト表示と音声読み上げが行なわれ、実際に会話できるわけだ。

 使ってみると、地名や人物名などは誤変換することもあった。たとえば日本語モードで会話中に「サンフランシスコ」などの地名をはっきりと発音しないと間違ってしまうこともあるようだ。とはいえ、全体的な正誤率は95%以上はあるように感じられ、ゆっくり会話すればより正確に認識される。また、翻訳に要する時間は長くて数秒。さらに長い文章も翻訳できたことから十分使い物になると感じられた。

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通訳機能の初期画面(左)。日本語で会話して英語に通訳される(中)。上画面を反転させ相手に英語を話してもらった(右)

 英語は日本人でもなんとかなる場合もあるだろうが、韓国語などアジア言語の場合は文字も含めてまったくわからないというケースも多く、海外旅行に行った時など実際に活用できそうだ。

 ただ、日本語で話をするときに日本語以外の単語ははっきり・しっかり・ゆっくりと発音したほうがよい。写真の例にある、たとえば「サムギョプサル」も、早口で話すと「サムギョプ」しか認識されないこともあった。中国語の例では2つの文章を区切って話したはずが日本語では1文にまとめられている。翻訳画面側ではきちんと2文にわかれており、AIがしっかりと文章の内容を認識しているのだろう。

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アジア言語は海外旅行時に実際に使えそうだ

 ノートアシスト機能はGalaxyシリーズ搭載のメモアプリ「Samsung Notes」でテキストを自動加工できる機能だ。長文文章を読みやすくまとめる「自動フォーマット」、全体をまとめる「要約」、ミスタイプを修正する「スペル修正」そして「翻訳」が使える。

 今回はサムスンのプレスリリース文章をSamsung Notesに貼り付けてテキストの成形をした。貼り付けた文章の全体を選択し、画面下部のメニューアイコン中央にある星型のアイコンをタップ。するとAI処理のメニューが表示される。あとは希望の処理を選べばよい。とはいえ、今回貼り付けた文章は19ページ。しかし19ページだと文章サイズが多いようで処理はできなかった。試してみると5ページ程度なら処理できたので、一度に処理できるテキスト量には上限があるようだ。

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テキストを貼り付け(左)。AIボタンをタップしてメニューを出す(中)。翻訳画面(右)

 日本語に翻訳された文章はそのままSamsung Notesの画面に英語を置き換えて貼り付けることも、新規ノートとして貼り付けもできる。その翻訳文章を要約してみたが、確かに基本情報だけをしっかりと残してまとめあげてくれる。

 ただし現時点では要約文字数の指定などはできない。また、翻訳文章の自動フォーマットは「ヘッダーと箇条書き」「議事録」が選べる。

 今回は録音音声のテキスト化を試す時間がなかった。録音音声は会話する人ごとにテキスト化を分けることが可能だ。その機能とノートアシスト機能を組み合わせれば、会議の議事録をまとめて報告書にすることが、Galaxy S24シリーズは本体だけで簡単にできる。ビジネスツールとしてかなり強力なスマートフォンに進化しているわけだ。

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要約もうまくまとめている(左)。ヘッダーと箇条書きに成形(中)。議事録型に成形(右)

 次に「かこって検索」を試した。この機能はGalaxy S24シリーズだけのものではなく、グーグル検索の新しい機能としてPixel 8シリーズでも利用できるようになっており、今後Androidスマートフォンのハイエンドモデルの標準機能として利用できるようになるだろう。

 かこって検索は、画面に表示されるあらゆるものをかこうことで、その対象物を検索できる機能だ。そのため写真だけではなく動画を視聴中に気になるものが映ったら、それをかこって検索できる。さらにテキストも文字を選ぶのではなく「文字をかこう」ことで検索できるのだ。

 使い方は簡単で、ブラウザーや動画アプリで気になったものがあれば、画面下中央のホームボタンを長押しする。すると画面全体が静止された状態になるので、検索したいものを指先でかこえばよい。Galaxy S24 UltraはSペンが使えるため、小さなオブジェクトでも指定しやすい。

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気になるものがあったらホームボタンを長押し。そして指先やSペンでかこう

 オブジェクトを囲ったあとは、指先やSペンを画面から離せば対象物が検索される。スクショを撮る必要もなく、また動画の再生中でも利用できるのはとても便利だ。

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あとは自動的に検索される

 テキストの検索もとても楽で、文章の中の文字をかこえばよい。指先を押し付けてテキストを選択する操作が不要なだけでも使いやすい。なお「かこう」だけではなく塗り物でも同様に検索できる。

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テキストもかこって検索できる

 さてAI機能が最も進化したと感じられるのは画像処理だ。Galaxyシリーズには前モデルからPixelシリーズの「消しゴム機能」同様の機能が搭載されている。しかしGalaxy S24 Ultraでは生成AIを使うことでより自然に画像を消したり移動できるのだ。ギャラリーから画像を選び、編集モードに入り星アイコンをタップ。ここから生成AIを使った画像編集ができる。

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Sペンを使って生成AI編集をできる

 まずは編集したいオブジェクトをざっくりとかこむ。するとAIが自動判断してオブジェクトだけを自動選択してくれる。選択範囲の精度はかなり高い。

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生成AIで編集→オブジェクトを適当に選択→自動でオブジェクトのみが選択される

 つぎにオブジェクトを長押しすると、上に「やりなおし」「消去」ボタンと、オブジェクト四隅にハンドルがつく。オブジェクトの消去は消去ボタン、サイズや角度を変える場合はハンドルをドラッグ、さらにオブジェクトの位置を動かしたければ、そのままドラッグすればよい。最後に画面下の「生成」をタップすれば処理は完了する。

 消去や移動、拡大縮小に要する時間は10秒程度で長いとは感じられない。普段から撮影した写真を気軽に加工したいと思えるほど、仕上がりは自然で美しい。なお、たまに元々オブジェクトがあった場所に別の画像が「生成」されることもあった。生成AIのバグというか、実際に生成処理をしていることを感じることができる一面でもあるが、この辺りも追々修正されていくだろう。現時点では時々出てくる謎のオブジェクトに、むしろ楽しさや喜びを感じてしまう。

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オブジェクトそのものを加工(左)。オブジェクトを移動できた。元の背景も処理は自然な仕上がりだ(中)。オブジェクトを消去したが謎のオブジェクトが「生成」されるバグも時たまある(右)

 屋外に出て画像消去を試してみた。公園の看板を消してみたが、地面の雑草も自然な仕上がりだ。後方の木の幹が2本あるのはこれで自然に見えてしまう。また、木の下の柵もしっかりと再現されている。

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公園の写真(左)から手前の看板を消してみた(右)

2億画素カメラを搭載、望遠カメラ構成を変更

 Galaxy S24 Ultraは望遠カメラの構成をGalaxy S23 Ultraから変更している。Galaxy S23 Ultraは光学3倍と光学10倍を搭載することで長焦点でも美しい写真撮影を可能としていた。一方、Galaxy S24 Ultraは3倍はそのままに5倍との組み合わせに変更されている。Galaxy S23 Ultraの10倍望遠は1000万画素 f/4.9だが、Galaxy S24 Ultraの5倍は5000万画素 f/3.4だ。高解像度になったこととでピクセルビニングが可能となり、またAIとの組み合わせで6倍以上の望遠もより美しく撮影できる。

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望遠構成が変わったGalaxy S24 Ultraのカメラ

 カメラのUIは従来モデルと変わっていない。標準では1200万画素相当での撮影だが、5000万画素、2億画素への切り替えも画面上部からワンタッチでできる。また、動画は8K 30fpsまでに対応。ただし8K動画を編集すると4K以下の画質となる。その他のモードではEpxert RAWなどのモードが用意される。

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Galaxy S24 UltraのカメラUI

 以下は作例を掲示する。なお、夜景撮影性能も高められているとのことで、ナイトモードでの望遠作例も掲示しよう。

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超広角(1200万画素相当)
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広角(1200万画素相当)
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3倍望遠(1200万画素相当)
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5倍望遠(1200万画素相当)
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10倍デジタル望遠(1200万画素相当)
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30倍デジタル望遠(1200万画素相当)。30倍も十分使える画質だ
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ナイトモード、超広角(1200万画素相当)
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ナイトモード、広角(1200万画素相当)
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ナイトモード、3倍望遠(1200万画素相当)
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ナイトモード、5倍望遠(1200万画素相当)

 以下は撮影モードを変えての作例だ。やや暗い室内でライトを標準で撮影。これでもきれいに写っている

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暗い室内で標準撮影

 ナイトモードにすることで電球の内部も詳細に写すことができる。全体の雰囲気もより作品的になった

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ナイトモードで撮影

 マクロは搭載していないが、20cm程度まで近寄って撮影できる。明るいシーンなら2億画素で撮影して、あとから拡大するのもいいだろう。

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約20cmでの近距離撮影

 5倍望遠を使いテレマクロとして撮影すればより近寄ることもできる。背景のボケ効果も期待できる

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5倍で撮影

 ポートレートでのボケ撮影は背景をより深くボケさせることが可能だ。

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ボケ最大での撮影

 食事モードは周りをぼかした撮影が可能だが、斜めから撮るとボケの度合いは微妙と感じてしまうかもしれない。標準でのAI撮影でも食事は十分美しく撮れるので、撮り比べてみるのがいいだろう。

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食事モードで撮影

【まとめ】AIスマホと呼ぶにふさわしい新たな体験を実現

 Galaxy S24 UltraのAI機能はスマートフォンの標準機能として組み込まれており、翻訳や画像編集までをアプリの追加もなくこれ1台だけで済ませることができる。スマートフォンとAIの組み合わせの可能性を十分体験することができ、しかも、それらの機能はすべて実用的だ。

 ノートアシスト機能はビジネスの現場でもすぐに使えるだろう。また、チタンボディーの本体は高級感も増し、フラットディスプレーでSペン出の手書きもより使いやすくなっている。Galaxy S24 Ultraの日本での発売が今から楽しみでならない。

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