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Snapdragon SoundやAuracastにも初対応! 立体サウンドスピーカー「Pave」を聴いた

ASCII.jp / 2024年2月17日 12時0分

Cearから登場するポータブルスピーカー「Pave 2nd Generation」をレポートします

 日本のオーディオメーカー、Cear(シーイヤー)がポータブルサイズのBluetoothスピーカー「Pave 2nd Generation」を開発しました。クラウドファンディングのプロジェクトも無事に成功を収め、いよいよ3月末以降から支援者への発送が始まる予定です。

 1台で迫力の立体サウンドを楽しんだり、Bluetooth LE Audioの Auracastブロードキャストオーディオの機能による複数台を使ったマルチ再生にも展開できるPave(パヴェ)を体験しました。

初Snapdragon Soundに対応した立体サウンドスピーカー

 Paveは縦・横・高さが約9.5cmの立方体デザイン、質量は590g未満のポータブルサイズを実現したBluetoothスピーカーです。2018年に創立したシーイヤーは、オーディオに関連するハードウェアとソフトウェアの独自技術をライセンス提供したり、受託開発や技術コンサルティングなど幅広く手がけています。Pave 2nd Generationはシーイヤーが一般のコンシューマ向けに開発した初めての製品です。

片手に心地よく収まるサイズ感を実現しています

 このスピーカーが搭載する最も特徴的な技術は、シーイヤー独自の立体音響である「CearField」です。この小さなスピーカーから鳴っていることがにわかに信じられないほど、包み込まれるように立体的で臨場感豊かなサウンドが楽しめます。

 筆者が本稿を執筆している2024年2月8日時点で、本機は世界初のSnapdragon Soundに対応するスピーカーになります。クアルコムによるSnapdragonシリーズのSoCを備え、音質を含めてクアルコムが認める高品位なオーディオ体験を提供できるプロダクトだけが、Snapdragon Soundのロゴを取得できます。シーイヤーはSnapdragon Soundの取得を目指すオーディオメーカーを、技術的に支援する国内初の「Qualcomm Extension Program」のメンバー企業です。ゆえにPaveはSnapdragon Soundの基準を示すポータブルスピーカーとしても世界中のスピーカー開発者に注目されています。

PaveはクアルコムのSnapdragon Soundに初めて対応したスピーカーですが、iPhoneとの相性も良好です

iPhoneやMacにも対応! 1台で包み込まれる臨場感を再現する

 PaveはクアルコムのBluetoothオーディオ向けSoC「Qualcomm S5 Gen 2 Platform」を採用しています。Snapdragon Soundに対応するスマホにつなぐと、aptX Adaptiveコーデックによる最大96kHz/24bitのハイレゾワイヤレス再生などが楽しめます。マイクも内蔵しているので、ハンズフリー通話にも使えます。iPhoneによるBluetoothオーディオ再生時にはAACコーデックでつながり、iPhoneやiPadによるワイヤレス音楽再生のベストを引き出します。

 初期出荷時には、立体音響技術のCearFieldが常時オンになっています。iPhoneをペアリングしてApple Musicの楽曲を再生してみると、手が届く距離に置いたスピーカーの周囲にライブスペースやコンサートホールがたちまち広がるような、不思議なサウンドに包まれました。

 今回シーイヤーに借りて自宅で試したPaveは、試作段階のプロトタイプです。最初のユニットを出荷する頃にはiOS/Android対応のモバイルアプリを用意して、CearFieldをベースにした「ミュージック」「ゲーム・シネマ」「BGM」のような複数件のサウンドモードを切り替えながら、音場感を聴き比べられる機能も提供されるそうです。

USBケーブルでMacBookに接続。デスクトップシアターにも活用できます

 Paveの本体背面にはUSB Type-Cポートがあります。iPhoneやAndroidスマホ、MacBookなどを直接つなげば、最大96kHz/24bitのハイレゾロスレス再生にも楽しみが広がります。現時点の仕様はハイレゾ再生時にもCearFieldがかかるため、リスニング感はやや個性的でした。

 Paveは本体に6軸加速度ジャイロセンサーを内蔵しています。スピーカーからリスナーがいる位置までの距離と方向を自動判定します。例えばスピーカーがリスナーの正面ではなく、左右どちらかに偏った位置に置かれた場合でも、環境に応じてベストな立体サウンドを再現します。

 スピーカーを置く向きは自由に決められますが、ロゴを正面向きに置くと、左右に向いたユニットから音が鳴るCearFieldにとって理想的な再生スタイルになります。このまま、ディスプレイを開いたMacBookの後側にPaveを隠すように置いても豊かな音の広がり感が楽しめました。デスクトップシアター、またはテレビにBluetoothで接続したPaveを手もとに置いて、小音量でも明瞭なサウンドを聴く用途にも活用できそうです。

LE Audioの新機能、Auracastを活用すると複数台のPaveによるマルチ再生環境が構築できます

Auracastによるマルチスピーカー再生も体験

 シーイヤーの独自機能には複数台のPaveをつないで、同期しながらひとつの音源をマルチスピーカーで再生する「CearLINK」もあります。

 CearLINKの場合、Bluetooth LE AudioのAuracastブロードキャストオーディオの機能を使って複数のPaveに同一の音源を送り出します。同時に、複数スピーカーによる音の広がりや音場をシーイヤーが、開発した独自のアルゴリズムを使って最適化します。

 Auracastブロードキャストオーディオの仕様上、接続できるスピーカーの台数は無制限ですが、スマホやPCなどオーディオを送り出すデバイスもまた、LE AudioのAuracastに対応する必要があります。

 Auracastに対応するスマホは、Android OS側もまだ非常に希有です。iPhoneなどアップルデバイスはウワサも聞こえてきません。そこで有力になる「Auracast対応」の解決策が、外付けUSBオーディオトランスミッターを活用する方法です。

 今回はシーイヤーのオフィスで、同社が開発用として使っているサードパーティー製のAuracast対応USBオーディオトランスミッターを使った、Paveによるマルチ再生を試聴しました。1台で臨場感あふれるPaveの立体サウンドが、複数台のスピーカーに囲まれている環境で聞くとものすごく鮮やかな没入感体験に進化します。

USB接続のBluetoothオーディオトランスミッター。Auracastに対応する製品も今年以降に増えそうです

 Paveは本体に内蔵するバッテリーで8.5時間以上の連続リスニングと、本体の防水スペックもIPX6〜IPX7のグレードに対応を予定しています。屋外イベントなどにも活用できるシーンが広がりそうです。

 何より、Paveにはシーイヤーが得意とするソフトウェア開発のノウハウを活かして「アップデートを続けながら進化するスピーカー」という魅力があります。同社ではPaveの出荷後も、ユーザーから寄せられるアイデアにも耳を傾けながら様々な機能を追加することを検討しているそうです。Snapdragon SoundやAuracastブロードキャストオーディオにいち早く対応したことだけでなく、色んな視点から注目に値するポータブルスピーカーが誕生しました。

   

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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