Yakult1000のCMで話題の坂本龍馬の声は、AIで生成されている
ASCII.jp / 2024年2月29日 19時0分
Yakult1000のCM「坂本龍馬」篇では、写真をもとに再現されたCGの坂本龍馬が“起用”されている。また坂本龍馬の“声”には、ORENDA WORLDがAIで生成したものが使用された。
現代に存在しない偉人の声を甦らせるというプロジェクトは、どのような作業だったのか? 坂本龍馬の声の生成を担当した、ORENDA WORLDの音声AIディレクター 長谷川雄一氏と、音声AIエンジニア 鶴口泰寛氏に話をきいた。
AIで偉人の声を再現、ORENDA WORLDの試み
――プレスリリースには「復元された坂本龍馬の骨格から、AIで声を再現した」という記載が見られます。実際には、これはどのような作業だったのでしょうか。
鶴口「骨格というよりも“顔”と言った方が適切かもしれません。弊社で、声と、その持ち主の顔を大量に紐付けたデータベースを持っているのですが、復元された坂本龍馬の顔から、AIを用いて推定するという手法で復元しました」
――なるほど。いまはもう存在しない偉人の声いう点での苦労はありましたか?
鶴口「オリジナルが存在しないという点に難しさはありましたが、私たちとしても『どんな声になるんだろう?』という楽しみな気持ちがありました」
――坂本龍馬の声と聞いて、なんとなく低い声を想像していましたが、完成したCMを見てみると、高すぎず、低すぎずといった中間的な声質ですよね。
![](https://ascii.jp/img/2024/02/20/3689242/x/a163f0cb9e45a70b.png)
鶴口「そうなんです。AIで復元された坂本龍馬の声は、想像よりも高めの声でした。若いと声は高くなる傾向にあるので、28歳という若さも影響していると思いますが」
長谷川「実作業時には、このほかにもいくらか高さを変えたサンプルを作成しましたが、最終的には、中間的な高さの声が採用されましたね。CM内のナレーションが、低くてざらついたような声質なので、ディレクション的にも、敢えて声質にコントラストをつけているのだと思います」
![](https://ascii.jp/img/2024/02/29/3694192/x/344d6facbadd416c.png)
――渋いナレーションもかっこいいですし、CMの坂本龍馬の台詞はとても自然な仕上がりになっています。作中の台詞はどのように吹き込んだのですか?
鶴口「これは、声優さんにセリフを吹き込んでもらって、その音声を、生成した坂本龍馬の声に変換するという手法を使っています。AI音声に変換すると、抑揚がやや落ち着く傾向にあるので、強く抑揚をつけて読んでもらったり、土佐弁のニュアンスにこだわってもらったりなど、ここにも工夫があります」
――完成したCMを制作者の立場から見た感想も知りたいです。
鶴口「率直に、うまくできたし、カッコよく仕上がったなと感じました。楽しい仕事でしたね」
長谷川「骨格からの再現ということに加えて、ワード数が多いことが、今回の挑戦のひとつだったと思います。弊社は以前、松田優作さんの声を復元するプロジェクトに参加していますが、当時から2年経って、長いセリフを映像に組み合わせて使っても、違和感がないくらいに技術が進歩していることを感じられました」
――確かに、近頃は生成AI関連のニュースが目立ちますよね。音声のAIは、今後どのように発展していきそうでしょう。
長谷川「まずは、コンテンツを生産するスピードが高まっていくフェーズが訪れると予想しています。音声に限らず、AIを活用したサービスを提供する企業が増えてきていますが、UIやUXをよく作り込んでいる会社が多いと感じています。より直感的に、より狙ったものを生み出しやすいシステムやサービスが増え、結果的に、コンテンツが生み出される速度が上がっていくのが、まず予想できるところかなと」
![](https://ascii.jp/img/2024/02/20/3689244/x/1e7b3ca01fd3d3cf.png)
鶴口「方言や、現時点では人の演技に頼らざるを得ない部分についても、AIで生成できるように変わっていくかもしれません。直感的に波形を編集したり、話すテンションの高さを変えられたり。そうなってくると、楽しみですね」
―「こんな感じの声を作って!」という単純なプロンプトで、思い描いた通りの声が出力されるとか。
鶴口「不可能ではないと思います」
![](https://ascii.jp/img/2024/02/20/3689243/x/b8bda3dda61a50a6.jpg)
――御社として、今後挑戦してみたいことはありますか?
長谷川「今回、坂本龍馬の声の復元に挑戦してみたことで、『偉人シリーズ』は面白いんじゃないか? と感じました。アーカイブが増えていけば、データも蓄積され、精度も上がっていきますから『過去の偉人の声を復元する』というモデルも、進歩させていけそうに思っています」
――AIで復元した偉人の声シリーズ、面白そうです!
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