割り切りが素晴らしい3COINSの3300円スマートウォッチを衝動買い
ASCII.jp / 2024年3月2日 11時45分
時々、ステーショナリーを買っている上野エキナカのお店に寄った帰りに近くにある300円ショップ、3COINS(通称、スリコ)にも寄り道した。ここでは過去何度か3コインではないが、なかなか楽しいモノが見つかることが多い。今回は、ハンギングスタイルでいっぱい売られていた「Device Band」(以降、デバイスバンド)という、税込3300円のエントリークラスのスマートウォッチを衝動買いしてしまった。
筆者のスマートウォッチ歴は、1984年のシャープのプログラミングできる「腕コン」から始まり、1990年代のマイクロソフトとタイメックスのコラボでチューブディスプレー(CRT)の明滅を利用しパソコンと腕時計が通信する「Data Link」(データリンク)。その後のページャー(ポケベル)回線を使った情報同報配信できる腕時計「SPOT」、そしてここ10年ほどのスマートウォッチまで合計すると40年くらい愛用している。
安さが目玉のスマートウォッチを衝動買い
今回ご紹介するデバイスバンドの最大の特徴は、何と言ってもその価格の安さが目玉だ。
対応するスマホは、Bluetooth 4.2でつながるiOSとAndroidの両方。そして3COINSらしいはからいとして、交換ベルトはベージュとピンク、パープルの3種類。パッケージによって任意の1色とブラックが最初から2本組で提供される。同梱品は腕時計本体、2種類のベルト、充電用USBケーブル、保証書や取説、スマホ上で動作するアプリのダウンロードの説明だ。
まずはデバイスバンドへの充電だが、付属のUSBケーブルで内蔵リチウムポリマー充電池(250mAh)に充電する。コネクターは2ピンのマグネット式だ。約2時間の充電で1週間以上はバッテリーで動作する。ディスプレーは1.69インチのTFT液晶(240×280ピクセル)で視認度は高い。筆者は薄暗い画面が好みではないので、常時一番明るく設定している。ベルトを含むデバイスバンドのトータルの重量は約39gだ。
ベルトの交換は、昨今普及しているピン側面の小さな球形のノッチを爪先でスライドさせて取り換える通称「イージーレバー」方式(別称、アビエ)だ。素人にも操作の容易な仕組みなので、ベルトの交換作業は従来のバネ棒をツールで外す方式よりはるかに簡単だ。その日の気分によって、2組のベルトをいつでも交換できるだろう。
デバイスバンドの腕への装着固定は、尾錠のつく棒を少し緩めのベルト穴に差し込み適度な長さにロックする。そして余ったベルト部分を皮膚に近い内側に押し込む、Google Pixel Watchと同様のタイプだ。装着脱着に慣れれば、極めて簡単でスピーディにできるようになる。
デバイスバンドは、Apple WatchやAndroid系のスマートウォッチと同様にスマホと連携動作するために専用のアプリが必要だ。取説のQRコードを読んでGoogle PlayやApp Storeから専用の「GH Smart」アプリをスマホにダウンロードする。GH Smartはスマートウォッチなど、さまざまなデバイスを販売しているグリーンハウスのアプリだ。デバイスバンドも同社のスマートウォッチであるGH-SMWAを3COINSが提供を受けて販売しているようだ。
今回も筆者のサブスマホであるmotorola razr 40にGH Smartアプリをインストールし、その画面の指示に従ってアカウント設定とBluetooth 4.2経由でデバイスバンドのペアリング作業を終えた。導入作業は簡単短時間で終了した。
一般的なスマートウォッチと大きく異なる点を知っておくべき
これからデバイスバンドの購入を考えている人には極めて重要なことだが……、デバイスバンドは一般的なAndroidに対したPixel Watchなどのスマートウォッチと大きく異なる点がいくつかある。まずGoogle PlayなどにたくさんあるAndroidスマートウォッチ用のアプリは、ダウンロードもインストールもできる仕組みが提供されていない。そのため、プリロード済のアプリだけで活用することになる。
また起動時にパスワードなどによるプロテクト機能が、サポートされていない。腕から外していても誰でも使えてしまう緩さがあるが、いろいろ便利で筆者もその方が便利だと感じることも昨今は多い。
代替にはならないが、第三者のタッチ操作を不可能にするロック機能はあるが、取説に公開されている方法でアンロックできるので、プロテクト機能ではない。しかしデバイスバンド単体でメモ機能などがサポートされていないので、紛失時にもそれほど大きな情報漏洩は少ないと考えられる。
そして腕に装着しスリープ中に起動するには、事前に設定で「モーション表示オン」にしておく必要がある。他機種と同様に腕首を腕時計を見るように回転し、持ち上げると画面が自動表示される。残念ながら動作の後に少しインターバルがあり、多少遅れて画面が表示されるのでちょっとじれったい。
加えてスリープ中にモーション表示オン以外でウェイクアップするには、本体右側面のリュウズにプッシュ操作が必要だ。指先で画面に触れても、タップしてもダブルタップしても、ウェイクアップしない構造になっている。これは一般的なスマートウォッチと隔たりがあるが、まあ慣れればなんていうことはないだろう。
デバイスバンドの操作は、とにかくまずリュウズを1回プッシュしメニューを表示する。メニューはアイコンのグリッド表示とリスト表示の2つのUIを選択設定できる。内蔵アプリのラインナップも昨今のスマートウォッチとそれ程大きな隔たりはない。
スマートウォッチに求められる機能は大概OK
ランニングやウォーキング、サイクリングなど10種類以上のエクササイズは全てプリロード済だ。音楽再生の各種コントロールや心拍数のログの自動計測、睡眠データの取得やスマホアプリへの転送、スマホカメラの遠隔シャッター、近距離で行方不明のスマホを鳴らして探すなんてことも、一般的なスマートウォッチと同様にできてしまう。
もちろんスマホに導入し活用している様々なアプリの中から、必要なアプリの「通知」だけをタイムリーにデバイスバンド側のスクリーンにバイブレーションと共に表示させることもできる。デバイスバンド側に送るアプリの通知は、GH Smartアプリ「通知」でフィルタリングするのとスマホ側の設定アプリの「アプリの通知」の両方で設定することになる。
電話の着信、LINE、メッセンジャー、スマホの充電完了通知、屋外に設置している監視カメラのバッテリー残量に関する通知など、通知設定した全てのアプリやデバイスの発する通知をデバイスバンドの画面で見ることができる。ただ今のところGmailは差出人名しか表示されないのが少し残念だ。そのため、いまのところ筆者はGmailの通知は止めている。
機能的に物足りない部分もあるが コスパを考慮すると「My First Smart Watch」的製品
加えてもう一つ残念なのは、通知の表示件数が最大10件であることとユーザーによる削除ができず、古い通知から自動的に消えていく仕組みとなっている。まあこれは割り切って考えれば、消す手間がなくてスッキリした仕様なのかも知れない。
スマートウォッチのガジェット的な楽しみは、ウォッチフェイス(文字盤)を自分の好きなユニークなモノに交換して遊ぶことだ。デバイスバンドはGH Smartアプリの中にプリロードされた10数個のウォッチフェイスから気に入ったモノを選んで、デバイスバンド側に転送表示できるだけだ。
さらにデバイスバンドに固定の5個のウォッチフェイス以外に転送できるのは、1個だけ。気に入った新しいウォッチバンドを転送すると、以前のウォッチバンドは自動的に削除される仕組みとなっていて、これはちょっと手間が増える感覚だ。
一般的なスマートウォッチと細かく比較して考えると、足りない機能やほしい機能がいろいろあるデバイスバンドだが、かたや数万円〜10万円を超える価格帯。対するデバイスバンドは税込みたったの3300円。コスパが全てではないが、15分の1〜30分の1の価格でこれだけのことができてしまうのは、ある意味驚異的だ。
Google Play ストアからお気に入りのアプリをダウンロード、インストールしてスマートウォッチをカスタマイズしたい人を除いて、ごく普通の活動データや睡眠データ、エクササイズ結果の蓄積、SNSやメッセージアプリの通知を受け取ることができれば問題ないという大多数の人にとって、デバイスバンドは「My First Smart Watch」的製品だ!
そして外観はパッと見、みんなの大好きななんちゃってApple Watch的だ。Apple Watchほどの機能は必要ないが、スマートウォッチの存在で変化する自分のライフスタイルを少し体験してみたいiPhoneユーザーにはピッタリだ。もちろん何台目かのスマートウォッチとして、ローエンドの意外な価値を知りたいAndroidユーザーのスマートウォッチのマニアにもお勧めだ。
今回の衝動買い
・アイテム:3COINS「デバイスバンド」 ・購入:3COINS(上野エキナカ) ・価格:3300円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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