【レビュー】ボーズ、耳をふさがないイヤホンの「音もれしない秘密」を探る
ASCII.jp / 2024年3月1日 19時15分
ボーズが"耳をふさがないイヤホン”を、初めて日本で発売します。耳にクリップするイヤーカフスタイルの「Bose Ultra Open Earbuds」について、前回は「ボーズが本命!? 耳をふさがないイヤホン「Bose Ultra Open Earbuds」参上」と題して、気になる装着方法と音もれをチェックしました。
今回は本機が採用する「Bose OpenAudioテクノロジー」や、どんなコンテンツのサウンドも立体音楽体験に変える「Boseイマーシブサウンド」の詳細に深く切り込みます。
ボーズのノイキャンイヤホンの技術が活きていた
Bose Ultra Open Earbudsは装着した状態で耳をふさがず、音を鳴らすイヤースピーカーを耳穴に近付けて使用するワイヤレスイヤホンです。
本機には、専用設計のダイポール型トランスデューサーシステムが内蔵されています。ユニットのサイズやレイアウトに関する詳細は公開されていませんが、パワフルで切れ味豊かなサウンドが特長です。このサウンドのうまみを逃がすことなく、同時に周囲への音もれを回避するためにBose OpenAudioテクノロジーが開発されました。
イヤホン本体のトランスデューサーシステムを内蔵するスピーカー側、外殻には音の出口となるふたつのスリットがあります。側面向きの穴は、イヤホンを装着すると耳穴に近い側に向きます。こちらのスリットからは主に中高音域の音が出力されます。
もうひとつの上向きに配置されたスロットもあります。こちらからはコンテンツに含まれる低音のほか、ノイズ成分を落ち消す逆位相の音を出力。内部のトランスデューサーシステムとふたつのスロットが連係しながら巧みに"音もれ”を抑え込むところが、Bose OpenAudioテクノロジーの真骨頂です。実機に触れる機会があれば、音楽を再生しながら片方のスリットを指で塞いでみてください。盛大に音が漏れ出てきます。
ボーズは本機の前に、首掛けスタイルのネックバンドスピーカー「SoundWear Companion Speaker」やオーディオサングラスの「Bose Frames」シリーズを発売しています。言い換えれば"耳をふさがない”、オープンスタイルのポータブルオーディオ”です。それぞれの開発から培った音もれ抑制の知見がBose OpenAudioテクノロジーの基礎になっています。
また、ノイズ成分を逆位相の音で打ち消す手法は、ベストセラーであるQuietComfortシリーズのノイズキャンセリングヘッドホン・イヤホンで確立されています。音もれの少ないBose Ultra Open Earbudsは、ボーズが満を持して商品化した耳をふさがないワイヤレスイヤホンなのです。
「Boseイマーシブオーディオ」も楽しめる
Bose OpenAudioテクノロジーには、特に効果の強弱を設定する機能がありません。代わりに専用のモバイルアプリ「Bose Music」にはイヤホンの高音・低音の強弱が違う数種類のプリセットや、ユーザーが任意のバランスにサウンドを調整できるイコライザー機能があります。屋外を歩きながらBose Ultra Open Earbudsで音楽などオーディオを聞く時には、アプリのイコライザーを使って音のバランスを最適化するとよいでしょう。
ただ、やはり本機は耳をふさがないイヤホンなので、強い騒音に囲まれる飛行機や地下鉄で使うとサウンドは聞こえづらくなります。こういう時には「Bose QuietComfort Ultra Earbuds」のようなノイズキャンセリング機能を搭載するイヤホンを使いわけるべきです。
Bose QuietComfort Ultra Earbudsも搭載するボーズ独自の立体オーディオ技術である、BoseイマーシブオーディオがBose Ultra Open Earbudsにも載っています。
Boseイマーシブオーディオはあらゆるコンテンツのサウンドを立体化できます。またイヤホンを装着したユーザーの顔の向きに合わせて、聴こえるサウンドの音像を固定、または連動させるヘッドトラッキング機能も合わせて楽しめます。
密閉型のQuietComfort Ultra Earbudsとイマーシブオーディオの効果を聴きくらべてみました。ボーカルを中心としたバンドによる演奏は、密閉型のQuietComfortの方が声と楽器の音像がより力強く定位して、演奏のコントラストが明らかです。対して、耳をふさがないOpen Earbudsはイマーシブオーディオをオンにした時の音場の見晴らしがますますクリアに感じられました。オープン型イヤホンによる開放的なリスニング感がさらに一段、限界を超えてきます。イマーシブオーディオ機能をオンにしても音楽が薄まらないところも魅力的です。
Boseイマーシブオーディオを利用するとバッテリーの減りが速くなります。イヤホンの内蔵バッテリーで音楽再生を連続して楽しめる時間は最大7.5時間ですが、イマーシブオーディオをオンにすると最大4.5時間になります。上手に使いわけましょう。
イヤホン本体はIPX4相当の防滴対応です。スポーツシーンでも使いやすいイヤホンでしたが、スポーツクラブでは店内BGMが混ざって聞こえるので、本機よりもノイキャンイヤホンの方が使いやすいと思います。オープン型イヤホンはApple Music Singなど、音楽配信サービスの「カラオケ機能」と好相性です。
すでにお気に入りのイヤホン・ヘッドホンをお持ちの方も、耳をふさがないフルオープンスタイルのイヤホンをコレクションに加えるとポータブルオーディオライフの彩りが一段と豊かになります。Bose Ultra Open Earbudsは完成度が高く、おすすめできるイヤホンだと思います。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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