10万円で10日間、東南アジアを何ヵ国まわれるか挑戦してみた ギリギリの乗車劇、ゲーミングPCの中みたいなバスで過酷な24時間を過ごす(7ヵ国目:ベトナム/日本)
ASCII.jp / 2024年3月13日 9時35分
円安やインフレの影響を乗り越えて「東南アジアを10万円・10日間で何ヵ国まわれるか?」という企画チャレンジ、シリーズ第7回です。前回はラオス・ビエンチャンで2年ほど前に開業したばかりの中国ラオス鉄道に乗車してみたり、宿でお金を盗まれたためラオス料理を食べつつ「ビアラオ」ビールでやけ酒をあおったりしていました。
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バスターミナルでの切迫したチェックイン ギリギリでのバス乗車劇
夕方からは次の国に向けて移動開始。まずはラオスのライドシェアサービスの「LOCA」を使って、バスターミナルまで移動します(料金:16万6166.9キープ/約1142円)。ビール5本と飲み過ぎていたこともあり、クルマの中で爆睡してしまい、目を覚ますとバスターミナルに到着していました。
時計に目をやると、16時40分過ぎ。予定では16時20分くらいの到着を目処に移動を始めたのですが、どうやら道が混んでいたようです。バスの出発時間は17時。すでにチケットはOTA(オンライントラベルエージェント)の「12Go」で購入済みですが、前日に送られてきた確認メールには、「Please go to the bus station at 16:50 and go to ticket room 8 check in(16:50にバス停に行き、チケットルーム8に行ってチェックインしてください)」と書かれているので、かなりギリギリです。
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バスターミナルの8番窓口はすぐに見つかったので、メールに添付された予約書を見せようと思ったものの、モバイル回線の通信速度が遅くなかなか表示されません。そうこうしているうちに8番窓口は営業終了なのか、担当者は帰り支度を始めました。
「いや!待って!チケットあるから!ネットが遅いの!いますぐダウンロードするから!」と嘆願するもむなしく、17時50分を過ぎたところで担当者はカウンターを出て帰ってしまいました。
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このままだとバスに乗れない!? ここに来て企画失敗で終わってしまうのか! と酔いもすっかりさめて焦りしかありません。バスの出発予定も迫り、このままでは確実に置いていかれます。なんとかQRコードのある予約書はダウンロードできたので、ダメ元でバスが停車しているところへ行って、乗せてもらえないか聞いてみることに。
ちなみに行き先はベトナムのハノイ。勘のいい方はおわかりだと思いますが、8日目で初日に訪れたベトナムに向かうということは、「東南アジアを10万円・10日間で何ヵ国まわれるか?」の結果としては7ヵ国となります。ハノイからは日本への帰国便も予約してあります。すなわち、このバスに乗り遅れると最悪、日本へ帰る便にも間に合わない可能性があるわけです。
バスターミナルには沢山のバスが停車していて、どれがハノイ行きかわかりません。とにかく必死に運転手っぽい人たちに、スマホの画面を見せながら「ハノイ! ハノイ!」と聞いて回ります。
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バスの運転手たちは意外に親切で、スマホの画面をチェックして、「あっちだ」とか「あのバスだ」とか教えてくれます。結果として「このバスだ」と言ってくれる運転手を発見。無事乗車することができました。
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(次ページ:機一髪、乗車したバスの車内はド派手で狭い!)
危機一髪、親切なバス運転手たちに救われバスに乗車 ゲーミングPCの中にいるようなド派手車内です
今回は無事に乗れましたが、やはり予約書などのPDFはダウンロードして保存しておかないとダメですね。あと渋滞なども考慮して時間に余裕をもって動くことと、ひとり旅の場合、移動中はお酒を飲み過ぎないようにしたほうがいいですね。
ちなみにバスを待っている間、ほかの乗客も同じような予約書を運転手に見せていました。あとからよくよくチェックすると、予約書にはバスの運転手に見せると書いてあります。先ほどの間に合わなかったチェックインは、リコンファーム的な確認のためだけだったのかも。
また17時と予約書には書いてありましたが17時に乗車すら始まらず、乗車してもなかなか出発しません。結局バスが動き出したのは17時40分頃でした。これならそこまで慌てなくてもよかった……。実は、乗り遅れないよう慌てていたので、トイレにも行っていなかったし、車中で飲む水も買っていなかったからです。
幸い出発して1時間もしないうちに、サービスエリアのような場所に到着。ここでトイレに行って、大きいペットボトルで水を購入(7000キープ/約48円)できました。ただ、道中の最後のほうで気がついたのですが、水はバスの先頭で配っていたので買う必要はなかったようです。
さて。ハノイまでのこのバスですが、一般的な椅子席ではなく、ベッドのようなシートの「スリーピングバス」。前方は下段が2席×2列、上段は片側が2席でもう片側1席となっていて、後部は両方とも2段2席というレイアウト。自分は後部の下段シートにしました。
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これがまたかなり窮屈で、176cmの身長がある自分の場合座ると完全に頭がつかえます。つまり基本的には寝転がっているしかありません。窓も上段ベッドに隠れていてほとんど見えません。バスはほぼ満席だったものの、自分の隣は空いていたので、ある程度はラクチンでしたがかなり辛いです。
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ただ窓側の天井に充電用のUSBポートがあり、スマートフォンなどの充電は可能。しかもType-AとType-Cの2ポートあり、両方の同時使用も可能でした。ただ運転席でオン・オフができるのか走行中しか利用できず、後半は使えなくなっていました。さらになぜか車内の電灯はカラフルで、さながらゲーミングPCのよう。こういったライティングが人気なんですかね。
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このような車内環境で、ハノイまで予定では約22時間のバス旅です。ビエンチャンを出発するとメコン川に沿って東に向かい、途中から山道を登り始め、ベトナムとの国境があるナムパオ国境検問所へと向かいます。この道中が舗装の悪い山道ということもあり、縦にゴツンゴツン、横にフラフラととにかく揺れます。幸い、乗りものには強いほうなので大丈夫でしたが、弱い人は確実に酔いますね。
(次ページ:こんなルートを選んだのかと若干、後悔も)
8日目(2023年12月27日)夜明け前、ナムパオ国境での暑寒地獄 なんでこんなルートを選んだのかと若干、後悔も
深夜2時過ぎにナムパオ国境検問所に到着。ですが国境検問所は閉まっているのでオープンするまでバスの中で待機です。屋外に公衆トイレはあるものの、個室は鍵がかかっていて使えないので、こんなとき女性はどうするのだろう……と悩みつつ、自分も大きな方をもよおすとめんどうだと思い、大人しく車内のシートで寝ることに。
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ただ、ここでバスのエンジンを切ってエアコンも止めてしまうので、暗くなって寝やすくなるかと思いきや、車内の温度と湿度がどんどん上昇し、それにつられて空気がメッチャ淀み、寝苦しさこのうえなし。シートにうずくまって暑さをしのぎながら、なんでこんなルート選んだんだろう……と自分がイヤになってきました。
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外も明るくなった6時45分頃、バスの派手な車内灯もついて、乗客が外に出て行きます。どうやら国境検問所がオープンするようです。ひとまずパスポートや貴重品などを持って検問所へ向かうのですが、ここでちょっとした選択ミスをしてしまいました。
車内では裸足になっていたので、そのままサンダルで外に出てしまったのですが、ナムパオ国境検問所のあたりはかなり標高が高いようで、早朝は冬のような寒さ。しかも出入国がすぐに終わるかと思ったら、結局2時間くらい外にいることになったので、足下が冷え冷えで寒さに震えていました。靴下を履いて、靴で出てくるべきでした。
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出入国の手順は、まずラオス側のナムパオ国境検問所で出国手続です。ここで50分ほど並びました。しかも並ぶのは屋外なので寒いんですね。
9日目(2023年12月28日)に徒歩でベトナム再入国 ナムパオからカウチェオへの移動へ
出国手続を終えたら、続いてベトナム側のカウチェオ国境検問所まで、徒歩で移動します。距離にして600mほどです。ちなみにラオス側の施設は簡易的でしたが、ベトナム側は立派なビルで、入国審査も屋内で待てます。ベトナム側の入国審査は20分ほどで通過。そのあとはカウチェオ国境検問所のゲート外に出て、バスがやってくるのを待ちます。
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バスに再度乗り込むことができたのが、8時30分頃。さらに乗客全員が乗り込むのを1時間ほど待って、ハノイへ向けて再出発したのは9時30分頃でした。ちなみにバスの乗降場所には屋台が出ていて、おこわを売っていたので、朝ご飯として購入(1万キープ/約69円)しました。
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移動中の注意点としては、道中、ラオスもベトナムも数時間おきにトイレ休憩がはいり、そこは飲食店も併設しているのでおいしい食事もとれるのですが、トイレがどこもあまり清潔ではなく、個室に籠もりたくないなと思うレベルでした。なので、このおこわを食べただけで、道中の食事を控えていました。紙もないところが多かったので、バス移動を考えている方は、トイレットペーパーを持参したほうが良さそうです。
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ベトナム側はラオスよりも舗装がよかったので、割と軽快に走行。ですがハノイに近づくにつれ渋滞が酷くなり、ヌオックガムバスターミナルに到着したのは18時頃でした。バスでビエンチャンを出発してから24時間後です。今回のバス旅は本当に長かった……。このバスの料金は12Goでの決済だったので日本円で5172円です。飛行機での移動にした場合、1万円代半ば〜2万円台が相場なので、それに比べれば割安ですが、道中はかなりのキツさです。チャレンジするなら若い頃をオススメします。
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(次ページ:最後の晩餐は世界最安のビールと共に)
ビアホイで旅の終わりを祝う夜、1泊437円 最後の晩餐は世界最安のビールと共に
さてヌオックガムバスターミナルは、ハノイの郊外にあり中心地までは距離があるので、ライドシェアサービスの「Grab」でバイタクを頼んで移動(料金:4万ドン/約232円)。予約していたドミトリーの宿に荷物を置いて、旅の疲れを癒やしおこわしか食べていない空腹を満たすため飲食店に移動します。
以前の記事「発見だらけの最新ベトナム(ハノイ)トラベル事情」でもレポートしましたが、ハノイには「世界でいちばん安いビール」とも言われている、1杯1万ドン(約61円)の「ビアホイ」があります。もうトイレの心配もなく、あとは翌朝のフライトで日本へ帰るだけ。安心してビアホイで乾杯です。
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そのまま移動の疲れもあり、宿で就寝。宿は2段ベッドが3つの6人部屋で10万8000ドン(約630円)。大きなロッカーもあり、室内はかなり清潔だったので、ドミトリーとしては快適なほうでした。
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最終日の10日目は、8時12分ハノイ発のベトジェット VJ934便に搭乗する予定です。空港でのチェックインの時間考えると、もう少し遅めの便のほうが街中で朝ご飯を食べたりできるので良かったのですが、10万円の予算内に収めるにはこの便しかなく、料金は2万8090円でした。飛行機、特にLCCは早朝や深夜の時間帯に出発する便のほうが安めなんですよね。
10日目、日本・成田空港へ帰国! 東南アジアの激安旅はこちらで無事終了です
というわけで、ハノイ市街の宿を5時起きで出発。Grabでクルマを頼んでノイバイ空港まで移動し(料金:31万8000ドン/約1854円)、出発の1時間50分ほど前に到着しました。ただ、初日に到着したホーチミンもそうですが、最近ベトナムの空港は混んでいて、この日のベトジェットチェックインカウンターも長蛇の列。さらに出国審査もかなり並びました。ベトナム旅行の際には、空港へは3時間前を目安に行ったほうが、余裕を持って動けそうです。
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フライトは、ほぼ定刻通りにハノイのノイバイ空港を離陸。成田空港へは30分ほど早着して15時頃に着陸しました。ちなみにベトジェットはLCCなので、無料の機内食などはなし。機内販売ではホットミールのほか、ベトナムのサンドイッチ「バインミー」なども売っていましたが、旅の疲れと、無事に旅をやりとげたという安堵感もあり、ぐっすり寝てしまい、なにもオーダーしていません。
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(次ページ:「東南アジアを10万円・10日間で何ヵ国まわれるか?」の結果は)
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以上が「東南アジアを10万円・10日間で何ヵ国まわれるか?」のチャレンジで、結果としては「ベトナム・シンガポール・インドネシア・マレーシア・カンボジア・タイ・ラオス」の7ヵ国となります。かかった費用(国境越えや長距離移動+宿代)は9万9319円と予算内での移動も達成できました!
またそれ以外の費用は、6万9617円でした。内訳のうち、中国ラオス鉄道の往復にかかった費用が約7000円、シンガポールの鼎泰豐(ディンタイフォン)で食べたご飯代が約4700円、そしてインドネシアとカンボジアのビザ代が合計約9000円と、このあたりが金額として大きかったかなと。
逆に10万円の予算内に収めるため、今回は宿のほとんどがドミトリーでしたので、旅慣れていない人にはちょっとこの条件は厳しいかも。そのあたりを考慮しながら、このシリーズを読んで「自分が東南アジアを格安旅行するなら、いくらぐらいの予算が必要か」の参考にしてもらえればと思います!
以下は、ここまでかかった費用です。
■移動予算10万円(国境越えや長距離移動+宿代) 移動予算10万円(国境越えや長距離移動+宿代)
スリーピングバス(ビエンチャン→ハノイ):5317円 宿代:630円 ベトジェット(ハノイ→成田):2万8090円 合計:3万4037円 前回までの費用:6万4303円 残金:681円
※そのほか滞在費など(予算に含めず)
LOCAクルマ:1142円 水大:48円 朝食おこわ:69円 Grabバイク:232円 空芯菜・ビアホイ×2:437 フォーガー・缶ビール:523円 Grabクルマ:1854円 合計:4305円(累計:6万9617円)
※レートは支払時のものです。この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)
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世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
- 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
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