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【レビュー】サウンド&機能のバランス良好! 耳をふさがないHUAWEI「FreeClip」

ASCII.jp / 2024年3月16日 12時0分

ファーウェイの耳をふさがないワイヤレスイヤホン「FreeClip」

 今週はファーウェイが発売したワイヤレスイヤホン「FreeClip」をレビューします。直販サイトの価格は2万7800円。いま流行っている「耳をふさがないワイヤレスイヤホン」としてのコストパフォーマンスを、色んな角度から検証しました。

耳をふさがないイヤホン:3つのチェックポイント

 FreeClipは、本体を耳に挟んで装着するイヤーカフスタイルのワイヤレスイヤホンです。製品名に"クリップ”が付いている由来でもあります。

 耳をふさがないイヤホンを選ぶ際に3つの大事なチェックポイントがあります。

 1つは「音がしっかりと聴こえること」です。耳穴をふさがずに装着するので、当然ながらイヤーピースを使って耳をふさぐイヤホンよりも遮音性能が劣ります。静かな場所なら使えるけれど、賑やかな場所に移動すると音が聴こえづらくなる……というイヤホンでは、音楽リスニングやハンズフリー通話など本来の目的に適いません。

 2つめは、音楽などを再生した時に「音がもれない」ことです。FreeClipのように、耳の側に小型スピーカーをあてて使う空気伝導方式のイヤホンは、音もれケアがしっかりできていないと、周囲に迷惑をかけてしまいます。ハンズフリー通話の場合は会話がまわりに聞こえてしまうので、プライバシーやセキュリティ的にもよくありません。耳をふさがないイヤホンは構造上、音もれを完璧にゼロにすることは困難ですが、なるべく音もれの少ないイヤホンを選ぶべきです。

モバイルアプリ「HUAWEI AI Life」からイコライザー、センサーリモコンのジェスチャー操作など本体の各種設定ができます

 そして3つめに装着感も大事なポイントです。FreeClipも採用するイヤーカフスタイルは、挟み込む力が強すぎると耳が痛くなります。反対に緩すぎると耳に固定されず、満足なリスニング感が得られないだけでなく紛失・故障の原因にもなります。

イヤホン着脱時の自動検出、ワイヤレスオーディオの低レイテンシ化など様々な機能をアプリから選択します
左側が「Bose Ultra Open Earbuds」。ファーウェイのFreeClipと音質や音もれのレベルを比較しました

バランスの良いサウンド、音もれを打ち消す音響機構を採用

 最初に「音の聴こえ方」からチェックします。

 FreeClipはイヤホン本体の前側、アコースティックボールと名付けた部位に10.8mm口径のデュアルマグネットで駆動するダイナミック型ドライバーを搭載しています。本体を装着すると音の出口がまっすぐ耳穴に相対するので、厚みのある力強いサウンドが楽しめます。ハンズフリー通話の声も明瞭で伸びやか。聞こえやすく、安定感があります。

 アコースティックボールの後面、イヤホンを装着すると外向きの上下に細いスリットがあります。音楽などを再生すると、各スリットから再生音と逆位相の音が出て、もれ出る音を打ち消します。この逆音波システムと、イヤホンを耳に密着させて装着するデザインにより、通常程度の音量で音楽などを再生すると音もれが最小限に抑えられます。

 前回レポートした「Bose Ultra Open Earbuds」と音もれの具合を比べてみました。どちらの製品も背面スリットから逆位相の音を出して漏れる音を打ち消します。

 静かな場所で音楽を再生しながら比べてみると、ボーズのイヤホンの方が音もれが少なく抑えられていました。FreeClipも音量をやや控えめにすれば静かな場所で使えると思います。ボーズの製品も然りですが、いずれにせよ耳をふさがないワイヤレスイヤホンを周りに人がいる環境で使う場合、人との距離感や音量設定などは十分気にかけて使うべきです。

 スマホにペアリングして音楽を再生してみます。ファーウェイのFreeClipは開放型イヤホンらしい、切れ味と広がりのある中高音域が特徴的です。ボーカルが透明感に富んでいたり、アコースティックギターの弦が震える様子など細部のリアリティに富んでいます。「HUAWEI AI Life」アプリには、FreeClipのサウンド効果をカスタマイズできるイコライザー機能があります。屋外で音楽を聴きたい時など、積極的に使うのもアリです。

 ボーズ「Bose Ultra Open Earbuds」と比べながら聴くと、ボーズのイヤホンは耳をふさがないイヤホンの中では異質と言えるほど「低音に厚み」があります。ボーズは本格的に「オーディオライクなサウンド」を完成させているところが持ち味であるとすれば、対するFreeClipは通話など音声コミュニケーションも含めて、様々なイヤホンに求められる用途をそつなくこなす「バランスの良さ」が魅力です。

FreeClipを装着。耳にクリップしても痛みはなく、むしろ筆者の場合は上下に動いてしまうことがありました

負担の少ない装着感。アプリ連携で多彩な機能が使える

 FreeClipの装着感について、インプレッションを報告します。イヤホン本体は片側約5.6g。耳にクリップした時のプレッシャーは軽め。長い時間装着してみましたが、筆者はさほど負担を感じませんでした。

 同社が「C-bridge」と名付ける、イヤホンの前後の筐体をつなぐバンドは耐久性の高いニッケルチタン形状記憶合金を素材としています。本当は数ヵ月単位で使い込んでみる必要もありますが、手に取る限りでは曲げ伸ばしにも強く、耳をはさむ力がすぐにヘタりそうな感じはありません。

 はさみこむプレッシャーが控えめなぶん、耳の上の方に着けていたはずのイヤホンが、耳の下の方に少しずれることがありました。クリップしたイヤホンが不意に外れて紛失する心配はなさそうですが、使い勝手や音の聴こえ方はユーザーの耳の形によっても変わります。ほかのイヤホンと同様に、購入を真剣検討する際には実機の試着を欠かさずしましょう。

 ハンズフリー通話時には独自のAIノイズ処理効果がかかり、内蔵するデュアルマイク+骨伝導VPUセンサーにより、話者のクリアな声を相手に伝えます。最大2台の送信側機器と同時にペアリングした状態を保てるマルチポイントや、左右の区別がないイヤホンをユーザーが耳に装着した時点で左右を割り振る「左右自動識別」、ほかにも「スマート装着検出」や「低オーディオ遅延」のようなハイテクな機能が充実しているところはBose Ultra Open Earbudsにない魅力です。

AI Lifeアプリからイコライザーを選択。好みのサウンドにカスタマイズができます

 3万円以下で購入できる耳をふさがないイヤホンの中で、ファーウェイの「FreeClip」はバランスの良いサウンド、イヤーカフスタイルの斬新さも含めて、とてもコストパフォーマンスが充実している製品だと言えます。お気に入りのノイズキャンセリング機能付きのイヤホン、ヘッドホンのほかにもう1台、音楽リスニングやオンライン会議にも使いやすい「耳をふさがないワイヤレスイヤホン」が欲しい方に本機をおすすめします。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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