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海外のパーソナルオーディオイベント「CanJam NY」に向けて発表された新製品

ASCII.jp / 2024年3月24日 17時0分

 パーソナルオーディオイベントのCanJamが、アメリカのニューヨークで3月9日から10日まで開催された。CanJamはHead-Fi主催のイベント。パーソナルオーディオは、ポータブルオーディオだけでなくデスクトップオーディオなども含まれる。イベント自体の雰囲気は、日本のヘッドホンイベントに似ている。

 イベントの様子はHead-Fiのフォーラムにある動画や参加者の書き込みで分かる。日本市場ではまだ見かけないが、日本にも近いうちに登場しそうな製品が登場しているので、ピックアップしてみよう。

Campfire Audio「Fathom」

 まず日本でも人気の高いCampfire Audioの新作「Fathom」。米国サイトの製品ページは公開されているが、国内導入については不明だ。6基のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを搭載したマルチドライバーイヤホンだが、その構成に特徴がある。2基が低音域用ドライバー、2基が中音域用ドライバーというのは普通と変わらないが、残り2基が超高音域用ドライバーとされている。つまり通常の高域用ドライバーはスキップされているのだ。詳細は不明だが、クロスオーバーの分割帯域を通常よりも高い周波数帯においていることが関係していそうだ。Campfire Audio伝統のT.A.E.C機能も搭載されていないようだ。なお、Fathomという名前は海洋分野に使われる水深の単位。いままでのネーミングルールとは異なるものだ。

Campfire Audio「Fathom」

 以上から、Campfire Audioの新機軸を打ち出した製品と推測できる。イベントで試聴したという書き込みは少ないが、正確な音再現を目指した設計のようで、「帯域特性のバランスが取れていて優れている」「低音は抑え気味だが、質の高い表現だ」というコメントがあった。このあたりは、新製品に試聴に長い列を作る日本とは異なり、アメリカの参加者は新製品に対してそれほど関心が高くないのも特徴だろう。

真空管搭載のAstell & Kern「SP3000T」

 やはり日本でよく知られているAstell & Kernは「SP3000」の真空管バージョンである「SP3000T」を出展している。DAC ICには「AK4191EQ」と「AK4499EX」を搭載し、DACやデジタル部分はほぼSP3000を踏襲しているようだが、アンプ部分に真空管を搭載している点が異なる。「SP2000T」では真空管部にコルグの「Nutube」が採用されていたが、SP3000TではレイセオンのJAN6418軍用規格サブミニ管(ミニ管より小型の規格)を採用している。これは実際に真空管が軍用に使われていた時代のNOS(新古品)が使用されているようで、かなり本格的な真空管アンプとしての設計が採用されていると言える。SP2000Tで搭載されたオペアンプとのハイブリッド形式も搭載されている。

Astell & Kern「SP3000T」

 参加者は「SP3000よりも暖かく、より肉厚で低音寄りのサウンドだった」とコメントしている。SP3000とは音質が異なるのではなく、個性が異なる製品で使い分けるようなものだという声もあった。

Cayin「N3 Ultra」

 また、真空管搭載のDAPでは、Cayinも「N3 Ultra」という機種をCanJamに出展している。こちらもSP3000Tと同じ真空管を搭載している。N3 Ultraはフラッグシップ限定版製品「N30LE」に搭載されたGen3真空管オーディオ回路が採用されているということだ。N30LEは日本でも発売されていたので、N3 Ultraも国内導入が期待できるかもしれない。

Cayin「N3 Ultra」

HIFIMAN「EF499」

 日本でもよく知られているHIFIMANは「EF499」という新製品を登場させている。これはDAC内蔵のヘッドホンアンプ製品だが、従来搭載されているHIFIMAN独自のヒマラヤDACではなく、フィリップス製のR2R形式DACを搭載した廉価版。海外価格は259ドルとなっている。国内で販売される場合も比較的低価格で購入できるのではないか。

HIFIMAN「EF499」

EverSolo「DMP-A8」

 海外で据え置きのネットワークプレーヤーの人気が高いEverSoloは新製品「DMP-A8」を展示した。日本でもブライトーンが取り扱うというアナウンスがあった。Androidを搭載することでApple MusicやAmazon Musicの再生が可能。プレーヤー機能だけではなくDACやプリアンプとしても使えるワンボックス製品だ。海外ではFiiO「R7」「R9」のような立ち位置で扱われることも多いようだ。

EverSolo「DMP-A8」

Schiit「Midgard」

 日本で導入される見込みは低そうだが、興味を引いたのがSchiit Audioのヘッドホンアンプ「Midgard」だ。私も個人輸入したことがあるブランドだが、低価格で高性能の製品を開発するブランドとして、アメリカで人気が高い。Midgardは219ドルという価格破壊的な低価格に加え、HALOトポロジーという増幅のフィードバックループに関する新技術を導入している。製品紹介動画の中でも「買うのに悩む必要はない」と太鼓判が押されている製品だ。

Schiit「Midgard」

新世代ヘッドホンのOAE1やMEMSスピーカーにも関心が

 元ゼンハイザーのアクセル・グレル氏による新世代ヘッドホン「OAE1」も製品に近いバージョンが展示されたようだ。グレル氏自身によって、500ドル前後と筆者の想像よりもかなり低価格になることが明らかになった。試聴コメントは、いまだ賛否両論あるようだ。独特のドライバー配置による設計のため、聞えに個人差があるのかもしれない。

OAE1
OAE1

 MEMSスピーカー搭載モデルとしてはCreative Technology「Aurvana Ace」に注目が集まっていたようだ。アメリカではNoble Audio「FALCON MAX」が出ていないことも関係しているかもしれない。Creative製品は、マニアックなユーザーの集うHead-Fiで取り上げられる機会は少ないが、アメリカでもMEMSスピーカー技術に注目が集まってきていることの表れだろう。

 過去最大規模のCanJamになったということだが、会場が騒がしいという声も多く見受けられた。洋の東西を問わず、イベントの会場運営にはむずかしさがあるようだ。紹介した新製品が日本でも早く試せることを期待したい。

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