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4万円以下折りたたみスマホ「Libero Flip」は折りたたみ入門機に最適だが対応バンドの問題も

ASCII.jp / 2024年3月30日 12時0分

 ソフトバンクのY!mobileブランドから発売されたZTE製の「Libero Flip」は、縦折りタイプの折りたたみスマートフォンながら、オンラインストアでは6万3000円で販売。さらに新規契約や乗り換え(MNP)による割引の適用で4万円を切る価格を実現するなど、破格の値段を実現しているのが大きな特徴だ。

 なぜそれだけの低価格を実現できているのか? 安くても快適に利用できるのか? 機能や性能も含め実機から検証してみよう。

◆特徴的な背面デザインだが、厚さと重量が気になる

 本体サイズを確認すると、開いた状態ではディスプレーサイズが約6.9型となり、サイズは約76×170×7.3mm。閉じた状態ではサイズが約76×88×15.5mmで、重さは約214gだ。

Libero
「Libero Flip」を開いた状態。ディスプレーは6.9型で、大型のスマートフォンといった印象

 このサイズ感を競合の縦折り型スマートフォン、とりわけ価格や性能が比較的近く、同じソフトバンクから販売されているモトローラ・モビリティ製の「motorola razr 40s」と比べてみると、ディスプレーサイズは同じ6.9型で、開いた状態でのサイズは約74×171×7.4mm、閉じた状態では約74×89×15.8mmで、重さは約189gとなっている。

 スペック上のサイズ感はあまり変わらないように見えるが、実際に手にしてみるとLibero Flipの方が大きく重く感じてしまう。

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画面を折り曲げることはちろん可能。ヒンジは自由な角度に調節できるタイプだ
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カメラアプリや「YouTube」など、アプリによっては折り曲げた状態で上下に画面を分割して利用できる

 理由の1つはそもそも重量が25gほど重いことなのだが、もう1つの理由として挙げられるのはデザインだろう。Libero Flipは背面を除くと、デザインは全体的にここ最近のiPhoneを意識したスクエアなデザインとなっており、側面も角ばっていることから大きさをダイレクトに感じやすい。

 一方でmotorola razr 40sは側面に丸みがあるうえに、ヴィーガンレザー仕上げの素材を用いていることから、スペック上は厚くても丸みと軽さで大きいという印象を抱きにくい。デザインコンセプトが違うので好みが分かれるかもしれないが、筆者としてはLibero Flipの方が大きく感じたというのが正直なところだ。

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閉じた状態で側面から見たところ。ヒンジはぴったり閉じるタイプだが、角ばったデザインなので厚く感じてしまう

 背面に目を移すと、カメラと背面ディスプレーを囲む丸いデザインの主張が強く、かなり特徴的な印象を与えている。背面の素材はサラサラしたマット調で、側面のメタルフレームに近い触感。もちろんFeliCa(おサイフケータイ)にも対応しているので、背面下部にはFeliaロゴも備わっている。

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開いた状態で背面にした様子。丸型のデザインが非常に特徴的で、質感は側面のメタルフレームに合わせている印象だ

 ちなみに背面ディスプレーは約1.43型と、motorola razr 40s(約1.5型)と大きく変わらないのだが、丸い形状もあって実際に見てみるとディスプレーサイズより大きく感じる。ただ、それでもスマートフォンアプリを動かすには狭いことから、利用できる機能は後述するカメラのほか、天気やタイマー、ボイスレコーダーなどの6つに限られる。

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サブディスプレーは基本的に閉じた状態で利用する仕組み。天気やタイマーなど6つの機能を利用可能だ

 なお、サブディスプレーで利用できる機能は、「設定」から「ホーム画面とロック画面」→「サブディスプレー」と選んで設定できる。壁紙に関してはLibero Flipをベースとした「nubia Flip 5G」と同様、動く「ペット壁紙」の利用も可能だ。

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サブディスプレーの壁紙には「nubia Flip 5G」と同様、「ペット壁紙」の設定も可能だ

 側面のインターフェースを確認すると、右側面には電源キーと音量キーが搭載されており、電源キーは指紋センサーも兼ねた仕様となっている。左側面にはSIMスロット、底面にはUSB Type-C端子が搭載されており、イヤホン端子は備わっていない。

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右側面には電源キーと音量キーが並ぶ。電源キーは指紋センサーも兼ねている
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底面にはUSB Type-C端子を用意

◆折りたたみらしい撮影は満喫できるが電源キーに要注意

 続いてカメラを確認すると、背面のメインカメラは約5000万画素/F値1.8(Exif値より)の広角カメラと、ポートレート撮影に用いる200万画素の深度センサーの2眼構成。フロントカメラは約1600万画素/F値2.4(Exif値より)の1眼構成となる。

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背面のメインカメラは約5000万画素と200万画素の2眼構成。だが一方は深度センサーとして機能するため、実質的には1眼構成だ
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メインカメラで撮影した写真
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「ポートレート」を用いれば、深度センサーにより背景をぼかした写真の撮影も可能

 メインカメラは実質1眼構成で、性能的にはミドルクラス相応といえるだろう。それゆえズームはデジタルズーム(最大10倍)となり、「フォト」や「ビデオ」などでは焦点距離26mmと50mmのボタンを切り替えて撮影する形となる。

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「フォト」で焦点距離26mmで撮影した写真
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同じ場所から焦点距離50mmで撮影した写真。カメラは1つなのでデジタルズームでの撮影となる

 撮影機能としては「ポートレート」「夜景」「プロショット」といったスタンダードなもののほか、「カメラモード」から6つの撮影機能を選ぶことができる。ただ、特定の色以外をモノクロにする「単色」を除けば、撮影機能はいずれもスタンダードなものなので、スマートフォンでの撮影に慣れている人であれば、使いこなすのは難しくないだろう。

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通常の撮影以外にも6つの撮影機能が用意されている
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「単色」は特定のカラー以外をモノクロにして撮影する

 より大きなポイントとなるのは、やはり本体を折り曲げての撮影である。垂直に折り曲げて机などに置くことで、安定した状態でセルフィーなどが撮影しやすくなるのはもちろんのこと、ビデオカメラのように持って動画を撮影することなども可能だ。

 もちろん本体のディスプレーだけでなく、サブディスプレーを見ながら撮影することも可能。より画質のいいメインカメラでセルフィーを撮影したい時は大いに活用したいが、サブディスプレーに画面を表示するには、カメラアプリの左上にあるボタンをタップしてサブディスプレーをオンにする必要があり、少々分かりにくいのが気になった。

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撮影時にサブディスプレーをオンにすれば、メインカメラを使ってセルフィーを撮影できる
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サブディスプレーをオンにするには左上のボタン(赤枠部分)を押す必要があり、少々分かりにくい

 また本体を閉じた状態で、サブディスプレーからカメラ機能を呼び出すことでも、メインカメラを使ってセルフィーを撮影することが可能だ。この際シャッターを切るには音量キーを押すか、指紋認証と同じ要領で電源キーに軽く触れ、そのまま指を置くかのいずれかの操作をする形となる。

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本体を閉じた状態であればサブディスプレーからカメラを起動することも可能。撮影には音量キーや指紋センサーを用いる
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カメラによるセルフィーの違いを比較。こちらはフロントカメラで撮影したもの
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こちらはメインカメラで撮影したもの。色合いなどにかなりの違いがあることがわかる

 ただ、指紋センサーによるシャッターは不要では? と感じたのも事実。なぜなら指が電源キーに少し触れていてもシャッターを切ってしまうため、誤って撮影してしまう事象が相当な頻度で発生したからだ。カメラ使用時は、本体を持つ際に電源キーに指をかけないよう、十分注意する必要がある。

◆性能はミドルハイ相当、通信はほぼソフトバンク系専用

 性能面を確認すると、Libero Flipはチップセットにクアルコム製のミドルハイクラス向けとなる「Snapdragon 7 Gen 1」を搭載しており、メモリーは6GB、ストレージは128GB。

 ZTEからSIMフリーで発売されている「nubia Flip 5G」は7万9800円と若干高く設定されており、チップセットこそ同じだが、メモリーは8GB、ストレージは256GBとなっていることから、性能の違いが値段の違いの1つとなっているようだ。

 ベンチマークやゲームなどで性能を確認すると、やはりハイエンド以下、ミドルクラス以上という性能になる。横画面でゲームをプレイすると、操作によっては時々真ん中のヒンジ部分がややグラつくのが少々気になったが、これだけの性能があれば、画質を最高設定にするのでなければAAAクラスのゲームも満足にプレイできる。価格を考えれば十分な性能といえるだろう。

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「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果
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「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果
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「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが「HDR」まで、フレーム設定が「ウルトラ」まで上げることが可能。ハイエンド機種のように「ウルトラHDR」まで上げることはできない
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「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「低」と、やはりハイエンドモデルと比べると低い

 一方、バッテリーは4310mAhと縦折り型の端末としては大容量の部類に入る。また、33Wまでだが急速充電にも対応しているので、いざという時の安心感がある。

 そして最後に通信性能についてだが、Libero Flipは物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIM対応で、5Gにも対応するが対応バンドには注意が必要だ。というのも、Libero Flipは対応バンドがソフトバンク向けにかなりカスタマイズされており、国内向けとして対応するのは5Gでバンドn3(1.7GHz帯)/n28(700MHz帯)/n77(3.4/3.7GHz帯)/n78(3.5GHz帯)、4Gでバンド1(2GHz帯)/3(1.7GHz帯)/8(900MHz帯)/41(2.5GHz帯)/42(3.5GHz帯)のみとなっている。

Libero
Libero FlipのSIMスロットはnanoSIMのみ。eSIMも搭載しているので、デュアルSIMでの運用が可能だが、対応バンドの問題から実質的にソフトバンクのネットワークでないと快適に通信できない

 それゆえドコモやauのネットワークで最も広い面積をカバーしている、4Gプラチナバンドの800MHz帯(バンド18/19)に対応していないことから、両社のネットワークを用いたSIMで通信すると利用可能なエリアが狭くなる可能性がある。

 nubia Flip 5Gはそれらのバンドにも対応しているだけに、対応バンドを絞っていることもLibero Flipが安い理由の1つといえるだろう。

【まとめ】オトクなことは間違いないが災害時の備えは欲しかった

 まとめると、Libero Flipは折りたたみスマートフォンとしては非常に低価格ながらも必要十分な機能を備えており、日常的な利用が主というのであれば不満が出ることは少ない。

 カラバリもゴールド、ホワイト、ブルーと3色用意されており、いずれも淡い色合いで万人にマッチしやすいことから、折りたたみスマートフォン初心者に最適なスマートフォンであることは間違いない。

 ただ、折りたたんだ時の厚さと重さ、指紋センサーによるシャッターがカメラの誤操作を招きやすい点、そして対応バンドの問題でデュアルSIMを有効活用できない点はかなり注意が必要だと感じる。

 中でも対応バンドの割り切りに関しては、災害や通信障害への備えとして他社回線のSIMを追加する「副回線サービス」をY!mobileが提供していないことも影響したと考えられるが、能登半島地震の影響もあって災害時のデュアルSIM活用が見直されているだけに、最低でもドコモとauのプラチナバンドには対応してほしかった。

 

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