同じmineoやIIJmioでもネットワークによる違いはあるのか? 実際に試した
ASCII.jp / 2024年3月31日 12時0分
今年に入り、MVNOではどうしても弱点になる平日昼休みの通信品質改善をうたっているmineo。本連載でも紹介したが(「平日昼休みの通信品質5倍改善は実際どう? 20GBが最大6ヵ月、月990円も魅力のmineoを試す」)、mineoは3社のネットワークでサービスを提供しており、その際はドコモだけで試したこともあって違いが気になってきた。
ネット上ではauやソフトバンクだと速度がまったく違うという声も見られたので、そのmineoに加えて、ドコモ/auのネットワークでサービスを提供しているIIJmioについて、実際に差があるか筆者が加入した回線で試した。
![mineo](https://ascii.jp/img/2024/03/31/3710221/x/8342e4b46f868e6b.jpg)
mineoはドコモ/au/ソフトバンクで違いがあるのか?
MVNOの格安SIMの中には、複数のネットワークに対応しているサービスがある。たとえばmineoはドコモ(Dプラン)、au(Aプラン)、ソフトバンク(Sプラン)の3つから選べる。ほかにNUROモバイルやQTnet、ピカラモバイルが3キャリア対応。IIJmioのようにドコモ/auの2つから選べるものだともう少し増える。
ネットワークが違えば、通信速度や品質が異なる可能性はある。まず思いつくのはサービスエリアで、現在も建物の奥のほうや、人が住んでいない山間部などでは差がつきやすい。自分の行動範囲で圏外になるネットワークを選んでしまうと実用性が怪しくなる。
圏外にならなくても電波が弱くなれば通信速度も遅くなり、さらには通信が途切れるなど不安定にもなる。最近はコード決済を使う人が増えているが、その意味でも建物の中で使えるかどうかは重要だ。
通信速度だと差はさらに生じやすい。MVNOのネットワークと各キャリアを接続する経路にデータ通信の渋滞があれば速度は遅くなる。ドコモとの経路で速度が遅くなっていたとしても、auやソフトバンクは別。そのため、ドコモでは通信速度が遅くなっても、auなら大丈夫だったということもありえる。
また、昨年から特に言われているドコモのネットワークの「パケ詰まり」によってデータが流れにくくなることもある。ドコモのネットワークの要因によるパケ詰まりなら、auやソフトバンクを選べば影響がなくなるはずだ。
速度は同じ傾向だが、明らかに差が出ることも
では、速度測定と実使用の使いやすさを見てみたい。今回、mineoの3回線に加えてIIJmioの2回線の合計5回線で速度や使い勝手などを比べている。いずれも5G対応機で、速度計測は同じ機器を使っているが、実利用では適宜SIMをシャッフルして使用感を確かめている。
![mineo](https://ascii.jp/img/2024/03/31/3710222/x/bf8edfd8a19bca0c.jpg)
まずは通信速度。今回は朝夕の通勤時間帯と最も回線混雑する平日昼休み、そして速度が比較的出やすい午前中の4つの時間帯で測定した。
以前の計測で、mineoは「Speedtest by Ookla」のアプリで通信できないことがあったが、今回は一部を除いて計測できた。できない場合だけ別のサイトで計測した。筆者がSpeedtest by Ooklaにこだわる理由は最速の数値が出やすいためで、同時に速度計測のサーバーからのデータ送り出しがスムースで、より正しい速度が測れると考えているからだ。
朝や午前中の速度は、いずれも良好で使用感では差が感じられない。数値だけ見れば、mineoのDプランが若干遅く感じられるが、計測は3回のうちの中間値を採用しているためで、実際の測定では100Mbps前後を記録したり50Mbps前後となったりと変動があった。
平日昼休みはmineoのDプランだけ数値面では高速に
反対に昼休みの時間帯はなぜかmineoのDプランだけ突出して高速になっている。3大キャリアのサービスなら、平日昼休みもこうした数字を出すことはよくあるが、MVNOでは珍しく感じる。mineoがうたっている改善の成果と考えていいだろう。Aプランも同様で10Mbps近くの速度が出ていることから、動画配信でも引っかかりがなく映像が楽しめそうに思える。
ただ、実際の使用感ではmineoのDプランは数値ほどの優位性は感じなかった。たとえばTVerで動画視聴した際、IIJmioのDプランとの比較では、タッチして本編動画が再生するまでの時間は他のSIMとほとんど同じだった。動画の再生開始までは一気にデータをバッファすることから通信速度の差は出やすいはずだが、基本ほぼ同じ。速度テストがそのままとはいかない感じだ。
再生中の動画も最高画質にはならず、IIJmioと見比べても差は感じない。TVer以外でもそれほど差があるようには思えなかった。
そして、最後は夕方18時30分ごろ。ちょうど帰宅時間帯にあたるため、多くの人がスマートフォンを見ながら電車に乗っている時間帯だ。ところが、今回の計測では午前中よりも速い結果を示した。
ただしmineoのDプランとSプランでは、Speedtest by Ooklaが使えずFAST Speed Testで計測している。ドコモスピードテストでも計測したが、Speedtest by Ooklaが使えた回線と数値がかけ離れていたため採用していない。なお、数値測定は不具合が出てもmineoのDプランとSプランでも実際には良好に通信はできており、実用上の問題はまったくなかった。
![mineo](https://ascii.jp/img/2024/03/31/3710223/x/0c0fc0c50fd20ad1.jpg)
IIJmioも平日昼休みの落ち込み以外は良好に使えている。こちらはドコモとauではトップスピードでは差があるように見えるが、基地局と測定場所の違いもあるので、実用上の差はまずないと言える。mineoとIIJmioの間でも、どちらかが優位だったと言えるほどの差は感じていない。
MVNOの格安SIMでのネットワークの差は 電波の強さやネットワークの特性の差が中心だろう
今回、mineoとIIJmioにおけるネットワークによる違いを比べたが、MNO側のネットワークの差に依存するというのが結論と言える。筆者が試している限りでは、ドコモ/au/ソフトバンクそれぞれの無線区間における電波の強さや、ドコモの「パケ詰まり」の影響がそのまま反映される。
では、ドコモのパケ詰まりを避けて、auかソフトバンクのネットワークを選択するのが無難としてもいいのだが、たまたま筆者の行動範囲ではauが弱いところがあったり、ソフトバンクは筆者がコード決済を使うお店で通信が怪しかったりする。どれも一長一短であり、1つに決めるのではなく、2つ以上のネットワークが使える状態にしておきたいというのが正直なところだ。
つまり、自分の行動範囲に合わせてネットワークを選び、そのうえで料金プランや付帯するサービスで決めるのがよさそうだ。できれば、他のネットワークを使っているサービスも予備で契約しておくと、確実に使える範囲がより広がるだろう。
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