ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!?
ASCII.jp / 2024年4月30日 12時0分
ビール会社のハイネケンが携帯電話事業に乗り出す……ということではなさそうだが、その長い歴史で初であろう携帯電話を披露した。その名も「The Boring Phone」。直訳すると”退屈な電話”だ。製造はHMDが手がける。
![ハイネケン](https://ascii.jp/img/2024/04/29/3725551/x/b1cdec5fc6b73401.png)
ハイネケンが発表したBoring Phoneの“退屈な”スペック
Boring Phoneはハイネケンが4月17日に発表したケータイだ。そう、スマホではない。
スペックは「退屈な」という製品名にふさわしい内容だ。無線は2G/3G/4Gに対応、Wi-Fi、Bluetoothなどのサポートもなし。形状は折りたたみ式。当然画面は小さく、開くと2.8型QVGAの画面、折りたたむと1.77型のQVGA画面がついている(QVGAと入力したのは何年ぶりのことだろう)。そしてカメラ。画素数は0.3メガピクセルで、わざわざ「low pixel camera」と称している。
機能はもっと“退屈”だ。通話、SMS、アドレス帳、写真/ビデオギャラリー、FMラジオ、そしてゲーム「Quick Snake」……これぐらいだ。アプリストアはないので、機能は追加できない。
そのほか、ヘッドホン用に3.5mmジャックがあり、microUSBも挿すことができる。バッテリー持続時間は、通話時最大20時間。
5000台の限定生産、一般発売はなし
スペックを並べると退屈だが、外観は目をひくデザインだ。ケースは半透明で、バッテリーや基板が透けて見えている。白地に緑を配したキーボード、偶然だがQVGA画面や透けて見える基板もハイネケンカラーの緑を感じる。
![ハイネケン](https://ascii.jp/img/2024/04/29/3725552/x/25e5c0378844f6db.png)
ハイネケンは、Boring PhoneでストリートウェアのキュレーターBodegaとコラボしている。そして携帯電話の製造では、HMDと組んだ。HMDはNokiaブランドのスマホ/フィーチャーフォンを手がけるフィンランドのメーカーだ。写真をみて、ピンときたという人もいるかもしれない。Boring Phoneは「Nokia 2660」がベースになっている。
Boring Phoneは、発表の翌日からイタリア・ミラノで幕を開けた「Milan Design Week 2024」で披露した模様だ。
ここまでくると、値段や発売に関する情報が気になるところだが、Boring Phoneは市販はされない。5000台の限定生産で、イベントやキャンペーンを通じて配布するという。
狙うはハッキリとZ世代 動き始めているトレンド“Newtro”ブームに乗る考え
なぜビール会社が携帯電話を、と思ったが、ハイネケンのサイトを見ると納得した。スマートフォンは、ビール会社にとっては必ずしも心地よい存在ではないのだ。
バーやパブのような場所で「一杯やろう」とビールを飲むときも、手元にあるスマートフォンに注意が逸れてしまうことがある。「スマートフォンはおもしろすぎる。ハイネケンが携帯電話を作るなら、ビールを飲むというソーシャルな場と競争しないものであるべき」。Boring Phoneに関わったハイネケンの広告代理店Publicisの担当者は、LinkedInで狙いを説明している。
Boring Phoneを手にビールを飲むのであれば、InstagramやTikTokなどのデジタルのソーシャルを忘れて、仲間とビールを楽しむリアルのソーシャルライフが戻ってくるということだろう。
”フィーチャーフォンならお手のもの”のHMD。2017年からはNokiaブランドでデバイスを製造してきたが、2024年に入り自社ブランドの端末も加えていくことを発表している。2月のMWCでは、Mattelと提携してバービーフォンを開発していることも明らかにした。バービーフォンの情報は現時点で開示されていないが、色はピンク。折りたたみ式の”退屈な”電話になると予想されている。
気になるのは、このようなフィーチャーフォンのニーズだ。HMDはNokiaの「Nokia 3310」などのリメイクを行なっているが、果たして需要はあるのだろうか?
ハイネケンやバービーは、明確にZ世代をターゲットにしているという。このようなレトロブームは”新しい(New)”と"レトロ(retro)"を組み合わせた造語「Newtro」というのだそうだ。実際、若者の間でレコードが流行したり、「写るんです」が若者でブームになっている。体験した人からすると退屈なものが、体験していない人には新鮮に映るのかもしれない。
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