14900KF&RTX 4070 SUPER構成で最大35.9dB、図書館よりも静かなゲーミングPCに耳を澄ます
ASCII.jp / 2024年5月2日 10時0分
PCの主な騒音源は、クーラーやPCケースのファンだ。ゆえに、究極の静音PCとは、完全ファンレスPCのことを指す。しかし、その代償に冷却性能が低くなるので、高性能なCPUやビデオカードをあきらめなければならない。
ゲーミングPCはGPU性能が命のため、ファンレスビデオカードの性能は極端に低く、快適プレイは望めない。ある程度の性能が欲しければ、ある程度の騒音は仕方がない。もはやこれは暗黙の了解だろう。
つまり、性能と静音性はトレードオフの関係にある。そのバランスに秀でたBTOパソコンが、サイコムの「Silent-Master NEO Z790/D5
」だ。ゲーミングPC然とした性能を備え、圧倒的に静かに運用できる。
14900KF&RTX 4070 SUPERも選べる静音ゲーミングPC
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Silent-Master NEO Z790/D5のポイントは大きく2つ。1つは、CPUクーラーはあえて空冷モデルを採用し、低負荷時やアイドル時の動作音が小さいこと。そして、もう1つはビデオカードにサイコム独自の静音ビデオカード、「Silent Master Graphicsシリーズ」(以下、SMGシリーズ)を搭載している点だ。
いわゆる「静音PC」は、発熱を減らすためにCPUやGPUをエントリー~ミドルクラスを採用したモデルが多い。しかし、今回の試用機はハイエンドCPUの「Core i9-14900KF」を搭載。ビデオカードもアッパーミドルの「GeForce RTX 4070 SUPER」と、かなり高性能な構成だ。
なお、今回の試用機の電源ユニットはBTOオプションで用意されていないものだった。性能への影響はほぼないと考えられるが、本来は選べない構成になっている点にご了承いただきたい。
静音ゲーミングPCのヒミツはNoctuaのファン
PCの静音化は、動作音の小さいファンを採用することが基本。しかし、静音ファンは回転数が低く、風量が少ないものがほとんど。そういったファンは冷却性能も低いので、CPUやGPUの性能をフルに引き出せない場合がある。
その点、Silent-Master NEO Z790/D5で採用しているファンは、すべてNoctua製。NoctuaはPC自作業界でも定評がある老舗メーカーで、静かにしっかり冷やせるファンを数多く輩出している。
サイドパネルを開けてみると、同社のブラウンとベージュという特徴的なカラーリングが異彩を放っていた。このカラーリングはもはや静音PCの象徴と言ってもいい。
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PCケースファンは、フロントに吸気用として140mmの「NF-A14 FLX」を搭載。リアには排気用に120mmの「NF-S12A FLX」を備える。いずれも低回転だが、しっかり送風できる定番モデルだ。
装着位置もよく考えられている。吸気ファンから取り込んだ冷たい外気は、CPUクーラーとビデオカード両方にあたる。リアの排気ファンは、CPUクーラーから出た熱風をすばやく排出できる位置にある。
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CPUクーラーもNoctua製の定番空冷モデル「NH-U12S」を採用。CPUの熱をヒートパイプで大きなヒートシンクに伝導し、静音ファンで効率良く拡散できる。
「静音PCなら簡易水冷クーラー」という考え方もある。しかし、簡易水冷クーラーにもラジエーターファンがあるし、ポンプの駆動音が耳障りなモデルも中にはある。低負荷時でもその音は消えないので、一定の動作音はご愛嬌ということになる。
その点、NH-U12Sはポンプがない空冷クーラーなので、低負荷時は本当に静かだ。もちろん、高負荷になるとファンの回転数が上がって、動作音が大きくなる。しかし、CPUに高負荷がかかるシーンはそう多くない。
年がら年中動画編集のエンコード作業や、CGレンダリングをしているなら話は別だが、多くの人は低~中負荷で運用している時間のほうがはるかに長いはずだ。この多くの時間帯を占めるシーンで、騒音を気にせず済むことこそが、Silent-Master NEO Z790/D5の強みだ。
では、ゲームプレイ中はどうか? 本機はサイコム独自の静音カスタムを施した、SMGシリーズを採用しているので心配なし。こちらもNoctuaのファンを採用しているため、一般的なビデオカードよりもかなり静かに運用できる。
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動作音を外に漏らさない、静音PCケースを採用
Silent-Master NEO Z790/D5の騒音対策は、Noctuaファンの搭載だけではない。PCケースはCooler Masterの静音モデル「Silencio S600」を採用。サイドパネルやフロントパネルに遮音材が貼られているので、動作音が外に漏れづらいのだ。
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なお、Silencio S600にはサイドパネルに強化ガラスを採用したモデル(MCS-S600-KG5N-S00)もあるが、本機ではスチールモデル(MCS-S600-KN5N-S00)を採用。
最近のゲーミングPCは強化ガラスのサイドパネルが定番だが、ガラスは音を外に伝えやすいという欠点がある。そのため、Silent-Master NEO Z790/D5では、あえてスチールモデルを選んでいるわけだ。
なお、天板は遮音カバーで覆っているが、メッシュ仕様のダストフィルターも付属している。静音性よりも通気性を重視したい時は、気軽に交換できる。なお、動画編集など、長時間高負荷が続くようなシーンなら、一時的にカバーを外してしまうのも手だ。
![14900KF&RTX 4070 SUPER構成で最大35.9dB、図書館よりも静かなゲーミングPCに耳を澄ます](https://ascii.jp/img/2024/04/30/3726081/x/d1918d429bf3d005.jpg)
ビデオカードの高負荷時でも最大35.9dB
では、実際はどのぐらいの動作音になるのか、PCの正面約40cmの距離から騒音計で測ってみた。検証環境は深夜の住宅街で、暗騒音は32.3dB。電源を入れてしばらく待った後のアイドル時は34dB。正直、電源が入っているのか心配になるほどの静けさだった。
高負荷時はどうなるかと、「CINEBENCH 2024」のMulti Coreテストを実行。全コアに高負荷を10分間以上かけるテストなので、どこまで動作音が大きくなるか心配していたが、結果は拍子抜け。実行直後で35.1dB、終了直前では34.4dBと静音そのものだった。
音の感じからファンの回転数が上昇したことはわかった。ではうるさいかと言えば、決してそんなことはない。日中昼間であれば、耳を澄まさないとその変化に気づかないだろう。
次に、ビデオカードに負荷がかかった場合はどうだろうと、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質、WQHD、フルスクリーン)を試してみた。こちらは最大35.9dBと、CINEBENCH 2024実行時よりも音が大きくなった。
だが、それでもたったの35.9dBだ。一般的に、静かな住宅地の昼間、あるいは図書館の騒音が40dBとされている。それと比較すれば、かなり静かだというのは間違いない。
![14900KF&RTX 4070 SUPER構成で最大35.9dB、図書館よりも静かなゲーミングPCに耳を澄ます](https://ascii.jp/img/2024/04/30/3726082/x/ed41277b23257736.jpg)
SDカードリーダーが地味にうれしい
ゲーミングPCはキーボードとマウスのほか、ゲームパッドにヘッドセットなど、接続する周辺機器が多い。すなわち、USBポートの数もPC選びの重要な要素になる。
Silent-Master NEO Z790/D5はタワー型PCらしく、インターフェースが豊富。リアはUSB Type-Aが7基(USB 3.2 Gen 2が1基、USB 3.2 Gen 1が2基、USB 2.0が4基)のほか、USB Type-C(USB 3.2 Gen 2x2)も備える。また、有線LANは2.5GbEと高速だ。
![14900KF&RTX 4070 SUPER構成で最大35.9dB、図書館よりも静かなゲーミングPCに耳を澄ます](https://ascii.jp/img/2024/04/30/3726083/x/887cd22a4491d22e.jpg)
フロントインターフェースは天面に搭載。USB Type-A(USB 3.2 Gen 1)は2基備えるものの、USB Type-Cがない点は惜しい。しかし、この手のPCでは珍しく、SDカードリーダーを搭載している点は評価したい。
![14900KF&RTX 4070 SUPER構成で最大35.9dB、図書館よりも静かなゲーミングPCに耳を澄ます](https://ascii.jp/img/2024/04/30/3726084/x/c933017d35d883d3.jpg)
ゲームが快適に遊べるスペックを実現しながら、ここまで静かなPCはなかなか見当たらない。静音性も性能のうちだと考えている人であれば、間違いなく気に入ってもらえるだろう。
しかし、冒頭でも述べた通り、静音性と性能はトレードオフの関係にある。果たしてこの静かさでまともな性能が発揮できるのか。その点は次回のレビューで紹介しよう。
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