強力なAI機能を備える「Pixel 8a」、1万円の値上がりもコスパは健在
ASCII.jp / 2024年5月14日 12時0分
グーグルが5月8日に発表した、Pixel Aシリーズの新機種「Pixel 8a」は、同社製の最新チップセット「Tensor G3」を搭載し、AI技術を活用した豊富な機能が利用可能ながら、上位モデルより価格が抑えられた、人気のPixel Aシリーズの最新モデルだ。
Pixel 7aの発売時点と比較すると、価格が1万円上がってしまったPixel 8aだが、そのコストパフォーマンスは健在なのだろうか。実機から確認してみよう。
見た目は「Pixel 8」に近いが細かな違いで低コスト化
まずは本体サイズから確認すると、Pixel 8aは6.1型有機ELディスプレーを搭載しており、リフレッシュレートは90Hzから120Hzに向上した。本体サイズは約72.7×152.1×8.9mm、重さは188g。前機種となる「Pixel 7a」もディスプレイサイズは6.1型で、サイズは約72.9×152×9mm、重さは193gであったことから、画面サイズは変わらないながらもやや軽くなっており、コンパクトさは維持されていることがわかる。
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SoCに「Tensor G3」を搭載し、上位モデルに位置付けられる「Pixel 8」と比べた場合はどうか。Pixel 8はディスプレーサイズが6.2型とやや大きく、サイズは約70.8×150.5×8.9mm、重さは約187gとなっている。値段が高いだけあってベゼル幅が狭く、画面サイズが大きい割にコンパクトに仕上がっていることは確かだが、ベゼルさえ気にならなければほぼ同じサイズ感だ。
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背面のデザインを確認すると、こちらは従来のPixelシリーズと同様にカメラ部分がバー状で、中央にグーグルのロゴが備わったおなじみのデザインを踏襲していることがわかる。ただ、従来のaシリーズと同様、上位モデルのPixel 8と比べてカメラ性能が抑えられていることもあって、カメラ部分の出っ張りは低くなっている。
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また、背面の素材は引き続きガラスが用いられているものの、光沢のあるコーニング製の「Gorilla Glass Victus」を採用したPixel 8とは違って、マット調の「Gorilla Glass 3」を採用。それゆえ高級なイメージは薄く、強度の面でもPixel 8には譲るが、指紋は付きにくくカジュアルな印象を与えるデザインに仕上がっている。
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側面のインターフェースを確認すると、右側面には音量キーと電源キー、左側面にはSIMスロット、底面にはUSB Type-C端子が備わっており、比較的スタンダードな構成となっていることがわかる。
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これは最近のPixelシリーズに共通して言えることなのだが、音量キーが本体中央にかなり近い部分に配置されていることから、横にした場合、三脚などに設置するマウントを中央からずらして設置する必要があり、ややバランスが悪くなってしまう。この点はそろそろ何らかの改善がほしい。
カメラ性能は「Pxiel 7a」相当もAIでかなり強化された
カメラ性能を確認すると、Pixel 8aのメインカメラは6400万画素/F値1.89の広角カメラと、1300万画素/F値2.2の超広角カメラの2眼構成。フロントカメラは1300万画素/F値2.2の1眼構成となっている。
Pixel 8のカメラと比べてみると、画素数はいずれのカメラも大きいのだが、広角カメラはイメージセンサーのサイズが1/1.73インチと小さく(Pixel 8は1/1.31インチ)、超広角カメラにはオートフォーカス機能が備わっていない。
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むしろ性能面では前機種のPixel 7aにかなり近く、大きな進化は見られない。Pixel 8シリーズはハード面でのカメラ性能向上が注目されたが、aシリーズに関しては価格を抑えるためか性能面を据え置いたようだ。
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昼間の明るい時間帯であれば十分綺麗な写真を撮影できるし、グーグルが得意とするAI技術を活用することにより、解像度の高い8倍までのデジタルズーム撮影や、「夜景モード」を活用した暗所での撮影にもしっかり対応。従来のPixelシリーズと同様に、シーンを選ぶことなく撮影できるのはメリットだ
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もちろんTensor G3を搭載しているだけあって、AI技術を活用した編集機能の充実度はかなり高い。静止画に関して言えば、複数の写真から顔を入れ替える「ベストテイク」や、生成AI技術を活用してオブジェクトを消したり、移動したりできる「編集マジック」にももちろん対応しており、こちらはPixel 8と遜色ない。
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動画撮影に関しても、Pixel 8シリーズの新機能「音声消しゴムマジック」には対応するが、最上位モデル「Pixel 8 Pro」で利用可能な「動画ブースト」や「ビデオ夜景モード」にはやはり非対応だ。低価格モデルのPixel 8aではやむを得ない部分ではあるが、AI処理に長けたチップセットを搭載しているだけに、やや残念だ。
「Gemini」が利用可能もCPU・GPUはミドルハイ相当
性能面を確認すると、チップセットには先にも触れている通り「Tensor G3」を搭載。メモリーは8GB、ストレージは国内向けモデルの場合、128GBのみとなる。
グーグルのTensorシリーズはAI関連の処理に非常に長けていることから、Pixel 8aもPixel 8と同等のAI関連機能を利用可能だ。リアルタイムでの翻訳機能や文字起こしができるボイスレコーダーなど、これまで提供されてきた機能に加え、サムスン電子の「Galaxy S24」シリーズでもアピールされていた「かこって検索」の利用ももちろん可能だ。
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そしてもう1つ、AI関連機能に関する大きな変化となるのが、生成AIを活用したグーグルの新しいサービス「Gemini」を「Googleアシスタント」の代わりとして利用できることだろう。
今回使用したのは発売前のものということもあって、Geminiのアプリを別途インストールする必要があったのだが、発売後はGeminiが標準のアシスタントとして利用できるものと考えられる。
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Geminiは従来のGoogleアシスタントと同様「OK、グーグル」と話しかけて呼び出し、音声やテキストで調べたい内容を入力し、Geminiと対話しながら情報を得ることも可能だ。また、GeminiをGoogle Workspaceと連携してれば、Geminiに話しかけて自身の「Gmail」や「Googleドキュメント」などの内容を直接参照することも可能。
実際に使ってみると、情報を調べるのにやや時間がかかるのでスムーズにとはいかない印象だ。だが話しかけるだけでメールの中身も直接調べてくれるだけに、従来のGoogleアシスタントよりもかなり便利な使い方ができることは確かだろう。
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一方でTensor G3は、CPU、GPUの性能は、最新のハイエンド向けチップセットと比べあまり高くないとの評価が多い。Pixel 8aでは各種ベンチマークアプリが利用できなかったことから、チップセットとメモリー、ストレージが同じスペックのPixel 8のベンチマークを確認すると、クアルコムの2世代前となるハイエンド向けチップセット「Snapdragon 8 Gen 1」と同等、あるいはそれよりやや低いといった印象であり、リアルタイムレイトレーシングにも対応していない。
それゆえ各種ゲームのグラフィック設定を確認しても、ほかのAndroidのハイエンドモデルと同等の設定は可能なのだが、グラフィックを最高設定にしてプレイすると、タイミングによって時々フレーム落ちが生じたり、止まったりすることもある。もちろん画質を下げれば快適なプレイは可能なのだが、チップセットの性能としてはミドルハイクラス相当と捉えるのが良さそうだ。
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それ以外の機能・性能に関して確認すると、バッテリー容量は4492mAhで、Pixel 8(4575mAh)やPixel 7a(4385mAh)と大きな差はない。ワイヤレス充電にも対応するが、バッテリーシェアに対応していない点はPixel 7aと同じだ。
また防水・防塵に関しても、Pixel 7aと同様IP67の耐水性能にとどまり、IP68ではない点も共通している。ただFeliCaには対応しているほか、モバイル通信に関してもNTTドコモから販売されることもあり、5Gの4.5GHz帯(n79)に対応するので日本での利用には安心感が高い。
【まとめ】依然コスパは良いが1万円の値上げはやはり痛い
まとめると、Pixel 8aはPixel 8シリーズの充実したAI機能をしっかり備えながらも、カメラ性能やボディー素材などを抑えることで低コスト化を実現している。それでいてチップセットやメモリーといった基本性能はPixel 8と共通していることから、本体デザインやカメラ性能、そしてPixelシリーズが代々弱みとしているゲーミングに強くこだわるのでなければ、非常にお得感が高いことは間違いない。
ただ、記録的な円安の長期化によって、価格は7万2600円と、Pixel 7aの発売当時の価格(6万2700円)と比べ1万円も値上がりしてしまったことが、消費者目線からすると非常に痛いことは確かだ。価格がここまで上がってしまうと比較対象が6万円以下のミドルクラスから、「Galaxy S23 FE」「AQUOS R9」など8~10万円のミドルハイクラスへと変化し、消費者のコストパフォーマンスに対する感じ方も変わってきてしまうだけに、販売への影響がやや気がかりではある。
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