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「ROG Phone 8 Pro」は性能が良いにもほどがある! 日常使いもゲーミング機能も超充実

ASCII.jp / 2024年5月15日 12時30分

 ASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone 8」シリーズ。その中でも上位モデルと位置付けられる「ROG Phone 8 Pro」は、ゲーミングに関する機能・性能をより強化しながら、日常使いのスマートフォンとしても使いやすいことに重点を置いたスマートフォン。なのだが、ここでは最も気になるゲーミングに関する機能を中心に確認してみたい。

ゲーミングデバイスらしさが抑えられたデザインに

 まずは基本となるデザインを確認すると、ROG Phone 8 Proは6.78型の有機ELディスプレーを搭載し、サイズは約76.8×163.8×8.9mm、重量は225g。前機種の「ROG Phone 7 Ultimate」がやはり6.78型で、サイズは約77×173×10.4mm、重量は245gだったことから、全体的に小さく軽くなり、持ちやすくなったことがわかる。

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「ROG Phone 8 Pro」の前面。全体的にやや小さく薄くなり、重量はかなり軽くなった印象だ

 ほかにも大きな変化はいくつかあり、1つは前面のフロントカメラ部分がベゼルではなく、パンチホールになったこと。ROG Phoneシリーズはこれまで、ゲームプレイに影響が出ないようノッチやパンチホールの採用をあえて避けてきたのだが、ここにきて現在のスマートフォンで一般的なパンチホールを採用したことには驚きがある。

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ベゼルを狭くするためフロントカメラはパンチホールで、ディスプレー内に設置するようになった

 そしてもう1つは背面デザインだ。ROG Phone 8 Proはファントムブラックの1色展開で、背面デザインは「ROG」ブランドのロゴなどが備わっているものの、これまでのROG Phoneシリーズと比べるといかにもゲーミングデバイス、という印象は薄められている。

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背面を見るとROGロゴなどはあるもののものの、派手さに重きを置いたゲーミング色はだいぶ抑えられている

 また、ROG Phoneシリーズの大きな特徴でもある、背面が光る仕組みは継続しているものの、かなり大きく変化している。ROG Phone 8 Proでは背面にドット調のLEDでアニメーションが表示される「AniMe Vision」が新たに搭載され、ゲームプレイ中に光るだけでなく、電話やメールなどの着信を通知したり、カメラのタイマーとして活用できたりするなど、より汎用的な使い方ができる仕組みとなっている。

 加えてAniMe Visionを非表示にすると、LEDのドットがわからないようデザイン上の工夫もなされており、こうした点からもイメージが大きく変わった印象を受ける。

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光る背面はドット調の単色LEDによる「AniMe Vision」に。メールや音声通話の着信にも使えるなど、こちらもゲーミング色はだいぶ抑えられている

 カメラに関しても、ここ最近のハイエンドスマートフォンで一般的な、広角・超広角・望遠の3眼カメラ構造に変化。とりわけ広角カメラは画素数こそ5000万画素と変わっていないのだが、新たに同社の「Zenfone 10」などに搭載されていた6軸ジンバルモジュールを採用、手ブレに非常に強いカメラに進化している。

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カメラは広角カメラに6軸ジンバルが搭載されたほか、望遠カメラも強化が図られている

 ゲーミングスマートフォンは一般的にカメラ性能が抑えられる傾向にあったが、ROG Phone 8シリーズではカメラ性能の向上にもかなり力が入れられていることが分かる。とりわけROG Phoneシリーズはこれまで撮影時の手ブレが気になる傾向があっただけに、Zenfoneシリーズ譲りの強力な手ブレ補正が備わったことは大きなメリットといえるだろう。

性能はもちろん最高クラス、冷却性能も強化

 こうした変化は日常的に使えるスマートフォンにすることを意識したものであり、従来のROG Phoneシリーズと比べるとゲーミングデバイスらしい雰囲気がかなり抑えられていることは確かだ。とはいえ、ゲーミングスマートフォンとしての機能・性能が引き下げられたのかというと、決してそうではない。

 実際側面のインターフェースを確認すると、左側面には電源キーと音量キーに加え、後述する「AirTrigger」に用いる超音波センサーが上下(横にした状態で左右)に備わっている。また、右側面には本体を横にしてゲームをプレイする際に充電ケーブルが干渉しないよう、USB Type-C端子を搭載している点は従来と共通しており、ゲーミングに配慮されたインターフェースを備えていることが分かる。

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左側面には音量キーと電源キーのほか、横にした状態で左右端に「AirTrigger」で試用する超音波センサーが備わっている
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横にした状態で下に位置する右側面には、充電しながらのゲームプレイに影響しないようUSB Type-C端子が備わっている

 底面にもUSB Type-C端子が搭載されているほか、3.5mmのイヤホン端子も継続して搭載。遅延がプレイに影響するリズムゲームを楽しむ際には大きなメリットとなるだろう。

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底面にはUSB Type-C端子とSIMスロット、3.5mmのイヤホン端子が用意されている。ちなみに、SIMスロットは最近珍しい、物理SIM(nanoSIM)×2となっている

 性能面に関しても、チップセットにはクアルコム製のハイエンド向けとなる最新の「Snapdragon 8 Gen 3」を採用しており、ROG Phone 8 Proの場合メモリーは16GBで、ストレージは512GB。24GBのメモリーを搭載する最上位の「ROG Phone 8 Pro Edition」より性能は落ちるが、Androidスマートフォンでは最高クラスの性能を持つことは間違いない。

 ベンチマークを確認しても現状のスマートフォンでは最上位のスコアを記録しており、性能面での不足はない。リアルタイムレイトレーシングにも対応しており、専用のデモでその効果を確認することもできる。

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左から「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果、「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果、「3DMark」(Solar Bay)のベンチマーク結果
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リアルタイムレイトレーシングを確認できるスマートフォンアプリはまだ少ないが、標準搭載のデモでその効果を確認できる

 また、主要なAAAクラスのゲームをいくつかプレイしてみたが、グラフィックの設定は現行モデルで最高クラスの設定でプレイ可能。その設定状態で安定したプレイが可能だという点からも、性能の高さが理解できるだろう。

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「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティーが「ウルトラHDR」、フレーム設定が「ウルトラ」までと、Androidでは最高水準に設定できる
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「原神」のグラフィック設定もデフォルトではAndroidで最高水準となる「中」だが、最高水準に設定してもプレイはスムーズだ
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実際にグラフィック設定を最高水準にしてプレイしているところ。発熱や消費電力は大きくなるが、グラフィックもスムーズで快適にプレイできる

 一方で長時間プレイ時の発熱に関しても、熱源となるチップセットを中央に配置し、ベイパーチャンバーやグラファイトシートを設置するなど、従来のROG Phoneシリーズで進められてきた熱対策に加え、新たに急速冷却用のヒートシンクを追加するなどして一層の強化がなされている。

 実際に負荷の大きな「原神」を1時間以上プレイして温度を確認したところ、最も熱い中央部分の温度は45度近くになるが、それ以上の上昇はなくパフォーマンスの低下も感じられなかった。また、熱源が中央に集中していることもあって、最も熱い部分をダイレクトに触れずに済むのもメリットだ。

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原神を長時間プレイした状態で温度を測定。最も熱い部分で45度くらいにはなるが、それ以上上がることはなくパフォーマンスの低下も見られなかった

 今回は専用の冷却ファン「AeroActive Cooler X」をお借りすることができなかったが、こちらを装着すれば大幅に冷却性能が高まることは従来機種と共通している。長時間のゲームプレイにこだわるなら別途購入するか、AeroActive Cooler Xが最初から付属する「ROG Phone 8 Pro Edition」を選ぶといいだろう。

ゲーミングをサポートするツールは合計26個に増量!

 続いて、ROG Phone 8 Proのゲーミングに関する新機能や、追加された機能などについて確認していきたい。まずは、ゲームプレイ中に呼び出せるアシストツール「Game Genie」だが、ROG Phone 8シリーズでは合計26個のツールが用意されているという。

 その中には、側面の超音波センサーを押したりしてゲーム中のさまざまな操作を実現する「AirTrigger」や、操作を繰り返し実行するマクロ機能など、従来備わっている機能も含まれているのだが、新たに追加された機能もいくつかある。

 代表的な新機能となるのが、ゲーム内の文字をテキストに変換してくれる「AI Grabber」だ。あまり小さな文字や、背景と混在した文字などは変換が難しいが、RPGのキャラクターの台詞などは確実に変換できるので、ゲーム攻略などに役立てられるだろう。

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「AI Grabber」を使うとゲーム中の文字をテキストにすることができ、そのままWebブラウザーで検索することもできる

 ちなみにAI Grabberで「ウェブで検索」を選ぶと、フローティングウィンドウでウェブブラウザーを立ち上げ、検索してくれる。ゲームの進行を妨げることなく検索できるのは便利。

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実際に検索してみたところ。ブラウザーがポップアップ表示されるので、ゲーム中に検索しやすいのもメリットだ

 ゲームを最小化、あるいは端末をスリープ状態にした時も、バックグラウンドでゲーム動作の継続できる「バックグラウンドモード」に関しても、新たに制限時間の設定が可能になった。これによって、たとえば起きている時はゲームをいつでもプレイできるようバックグラウンドモードをオンにしておき、寝る頃になったら終了させる……といった使い方もできる。

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画面を最小化してもゲームの動作を継続できる「バックグラウンドモード」は、制限時間を設定できるようになった

 また、「ROG Phone 7」シリーズから提供されている機能の1つ「X Sense」に関しても、新たに日本で人気の「原神」や「崩壊:スターレイル」などが対応したので恩恵を受けやすくなった。とりわけ原神では、会話のスキップだけでなくアイテムの自動ピックアップなど豊富な機能が利用できることから、有効活用すればゲームをよりスムーズに進行できるようになる。

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「X Sense」は「原神」などで利用可能に。アイテムの自動ピックアップや会話のスキップなどができるので素早くゲームを進めるのにとても便利だ

 そしてもう1つ、ゲームを統合管理する「Armoury Crate」に関しても、ROG Phone 8 Proに合わせていくつかの追加・変更がなされている。1つがAniMe Visionの設定で、表示させるアニメーションを選択することが可能だ。

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AniMe Visionは「Armoury Crate」から設定可能。再生されるアニメーションの選択や、アニメーションを表示する時間帯などを選択できる

 次に「表示エリア」である。これはフロントカメラがパンチホールとなったことから、表示領域を変えるために追加されたもの。横にした状態で左側のフロントカメラ部分にもゲーム画面を表示する「全画面表示」だけでなく、フロントカメラ部分を非表示にする「片寄せ表示」、そして左右の同じ面積を非表示にする「中央表示」の3つから選ぶことが可能だ。

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「表示エリア」ではパンチホール部分にそのままゲーム画面を表示するか、パンチホール部分だけ表示をオフにするなどの設定ができる

 この設定は画面表示だけでなく、操作にも大きな影響を与える。ROG Phone 8 Proはベゼルを減らしたぶん画面占有率が高まったことから、全画面表示にしていると本体を抑える人差し指の腹などで、ゲームプレイ中に意図しない誤タッチを起こしてしまうケースが増えている印象だ。そうした誤タッチを減らし操作により重点を置くならば、中央表示に設定しておくといいだろう。

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PUBG MOBILEで「全画面表示」にしているところ。広くなった画面をフル活用できるが、横画面でゲームプレイするとどうしても誤タッチが生じやすくなる
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こちらは「中央表示」に設定したところ。左側のパンチホール部分だけでなく右側も同じ面積を非表示にし、ゲーム中のタッチ反応もなくなることから、表示領域は狭くなるが誤タッチが生じにくくゲームプレイはしやすくなる

【まとめ】スペックは優秀だが、そろそろ縦画面ゲーム向けの機能強化も欲しい

 まとめると、ROG Phone 8 Proは日常使いに重点を置いたことで、見た目のゲーミングスマートフォンらしさはかなり薄れた印象があるものの、その中身はしっかりとしたゲーミングスマートフォンであり、ゲームプレイに満足できる機能・性能を持ち合わせていることは間違いない。

 Game Genieの充実度がより高まっただけでなく、ディスプレーにパンチホールを採用しながらも表示領域を変えてプレイに支障の出ない環境を維持するといった配慮は、ROG Phoneシリーズならではといえるだろう。

 ただ欲を言うならば、そろそろ横画面だけでなく、縦画面のゲームプレイに関しても機能強化がなされてもいいのでは? とも感じる。これまで縦画面のゲームと言えばカジュアルゲームや2Dベースのものが多かったが、最近はAAAクラスに類するゲームが増えてきているだけに、縦画面でもAirTriggerを何らかの形で使えるようにするなどの対応があってもいいのではないだろうか。

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「勝利の女神:NIKKE」でGame Genieを表示したところ。デフォルトの縦画面でプレイするとAirTriggerなど一部の機能は使えなくなる

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