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渋めのレトロ調から白黒まで、富士フイルム「X-T50」は多彩なフィルムテイストで猫撮影が楽しめる

ASCII.jp / 2024年6月5日 12時0分

まだ若いキジトラが、ひょっこり顔を出したところを「クラシックネガ」で。ちょっと彩度が低くて、くすんだ感じが渋い。2024年6月 富士フイルム X-T50

 小さくてかわいくて高性能な猫撮りカメラが欲しいよね、というあなたに朗報です。富士フイルムの「X-T50」。

コンパクトな普及型ミラーレス一眼「X-T50」。円安もあって、前モデルより価格が上がってしまったのが残念。レンズは、新型の「XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」を装着。軽くてコンパクトなよいレンズだ。

 型番を見るとわかるとおり、同社の主力モデル「X-T5」の弟分だ。弟分だけあり、X-T50のほうがひと回り小さくて、100g以上軽いのだ。そして、背面モニタがチルト式なので、寝てる猫を正面から撮りたいときも、さっとモニタを開いて対応できるのである。

 最近、小型・軽量系のカメラは、みな動画を意識してバリアングルモニタになっちゃって、猫撮り伝統のチルト式モニタをめっきり見なくなってしまった、とお嘆きのみなさまにぜひチェックしてほしい。

モニタをさっと開けるので、猫目線アングル撮影にもよし。左肩の「FILM」ダイヤルにも注目だ。
フィルムシミュレーション「REALA ACE」で、気持ちよさそうに寝てるハチワレ。2024年6月 富士フイルム X-T50

 では早速、その快適さを味わいに、いつもの「保護猫シェルター QUEUE」へおじゃまだ。

 X-T50のもうひとつの売りは「フィルムシミュレーションダイヤル」。これを回すと、いつでもさっと「フィルム(シミュレーション)」を変更できる。だから、ついつい「何かいつもと違うテイストで撮っちゃおう」と思うわけである。

 冒頭写真は、一番渋くてレトロな雰囲気で撮れる「クラシックネガ」。彩度が落ちてちょっとくすんだテイストになるのがいい。この雰囲気は、自分で現像してもなかなか作れないからね。

 同じ猫を「REALA ACE」という一番新しいフィルムシミュレーションで撮ったのが、次の写真。REALA ACEって、富士フイルムが昔出していたフィルムの名前(フィルム時代なのだから、昔なのは当たり前だが)。

 ぱっと見て、普通の画像じゃんと思うのだけど、標準の設定(PROVIA)よりちょっと鮮やかさや階調の出し方が違っていて、日常的に使う”フィルム時代”として気に入った。今回は、もうこれを自分の中で”標準フィルムシミュレーション”にしてしまった。

リアルでクリアな写りがいい「REALA ACE」。このキジトラさん、人に興味はあるけど不用意に近づくと逃げちゃうシャイな子なのだった。レンズは50mm F2.0で。2024年6月 富士フイルム X-T50

 なにしろ、ダイヤルひとつで好きなものにセットできるので、ついあれこれいじっちゃって。でも、あっちでも撮っておこうとか、こっちもいいかな、あとで選ぼう、なんてやってると撮影枚数がどんどん増えちゃっていかんですな。

 「クラシックネガ」に似てるけど、色の出方がちょっと違うのが「ノスタルジックネガ」。

ちょっとレトロな感じの色合いにしたいときに「ノスタルジックネガ」がいい味を出してくれる。2024年6月 富士フイルム X-T50

 フィルムシミュレーションって、ちょっとレトロ系が多いのだけど、考えてみたら富士フイルムがかつて販売していた「フィルム」のテイストが元なのだから当たり前か。いつか「21世紀クローム」とか「サイバーネガ」とか未来っぽいフィルムシミュレーションも作ってほしい気がするけど……無理でしょうか。

 それはさておき、違う猫も行こう。強めにプラス補正をして明るい白黒写真を作ってみた。フィルムシミュレーションは伝統の「ACROS」。白黒フィルムだ。コントラストがきれいに出るので、白黒で撮りたいときはこれを使っちゃう。

白黒なら「ACROS」で撮るとカッコいい。プラスの補正をして、わざと明るめに撮ってみた。2024年6月 富士フイルム X-T50

 お次は、「REALA ACE」でぐぐっと寄って撮ったお昼寝猫。明るくクリアに撮りたいときにいい。

「REALA ACE」でお昼寝猫にぐぐっと近寄って撮ってみた。雨の日ならではのやわらかい光が当たって、すごくいい感じに。2024年6月 富士フイルム X-T50

 今回、おとなしかったり寝てたりする猫が多いのは、雨の日のお昼寝タイムという、ちょっとアレなときにおじゃましちゃったから。でも、1匹だけちょっと遊んでくれた。まだ若いからね。

 シェルターの片隅にお客さんがコートを掛けたり、荷物を置いたりするためのちょっとした棚があるのだけど、それがやわらかいポリエステル(でいいのかな? 違ってたらすまん)でできていて、下から指先で押し上げてやると、そこを前足でパンッと叩くのである。

わかりますかね。私が下から左手人差し指でつついたら、それを左前足でパンッと叩いた瞬間の図。モグラ叩きっぽくて面白かったのでつい。2024年6月 富士フイルム X-T50

 もぐら叩きごっこ。これ、反応してくれる猫がたまにいるので遊んでみてください。

 次回は、このX-T50を持って屋外の猫を撮りに行ってくる予定だ。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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