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映画を楽しむのにいい! Sonos初のヘッドホン「Sonos Ace」体験レポ

ASCII.jp / 2024年6月3日 23時0分

 Sonos(ソノス)は、高機能なネットワークスピーカーやサウンドバーで最近存在感を高めつつあるブランドだ。「最近」と書いたが、これは国内の店頭でも見かける機会が増えたという話。米国を中心とした海外では概ね20年と長い歴史を持ち、先進的な機能を提供するコンシューマーオーディオのブランドとして広く認知されている。

 Sonosのスピーカーは、ストリーミング再生の普及やスマートスピーカーの誕生にも影響を与え、新しいリスニングスタイルの普及にも影響を与えてきた。このように新しい音楽の世界観の発展に寄与してきたSonosなのだが、意外なことにパーソナルオーディオは「Sonos Ace」が初である。

 高級ヘッドホンが話題となるきっかけを作り、パソコンやネットワークを経由した音楽再生が発展するきっかけを作ったのはやはりiPodの登場だ。Sonosブランドが生まれ、進化する過程はアップルを中心とした音楽市場の変化、つまりiPodやiTunes Storeから始まり、AirPlayやApple Music、さらには空間オーディオへと至る変化の過程と重なるタイミングと重なる。その入口となったのがハイクラスのヘッドホンであった。そう考えると、不思議さもある。

 とはいえ、後述するようにSonos Aceは、音楽を高音質に聞きたい人に向けた単純な高級ヘッドホンというよりは、ホームシアターや空間オーディオといったこれから発展する要素を多く取り入れている。リビングオーディオの機器とも連携しながら、ヘッドホンリスニングの可能性を高められるデバイスを志向しているようにも感じる。

 少し大げさな書きぶりになってしまって恐縮だが、もっと簡単に言えば、最初に製品を見たときから「普通のヘッドホンとちょっと違うよね」という感想を持った。いま改めて実機を手にして使い込んでいくと、その感想が「じわじわと強まっていく」感覚を味わっているのである。ヘッドホンの市場にようやく参入したというよりは、技術の未来に投資できる製品と言ってもいいかもしれない。

Sonos初のパーソナルオーディオは高級ヘッドホン!

 Sonos Aceの特徴について簡単に触れておこう。まずは価格だが、国内では7万4800円という設定だ。手軽に買える金額とは言いにくいが、円安の影響で輸入オーディオの値上がりが続いているので、円ベースではクラス感がイメージしにくくなっている面もあるだろう。米国価格は450ドルで、ソニーの「WH-1000XM5」(399ドル)よりは高価で、「AirPods Max」(549ドル)よりは安価な設定。大手メーカーが販売している高機能ワイヤレスヘッドホンとだいたい同クラスの製品と考えて良さそうだ。

 機能的もプレミアムクラスの製品として十分なものを備えている。外側マイクと内側マイクを併用して効果的にノイズを除去するハイブリッド型のノイズキャンセルを搭載。音質的にも、Snapdragon Soundに対応し、aptX Adaptiveによるハイレゾ級のワイヤレス伝送ができたり、44.1kH/16bitのaptX Losslessの再生ができたりと、高級機としての条件を一通り備えている。

 加えて、さらにヘッドトラッキング機能や、Dolby Atmosへの対応、空間オーディオ再生なども前面に打ち出している。こうした特徴から、音楽はもちろんだが映画も存分に楽しめるこの機器の特徴が見えてくる。これらはアップルのAirPods Maxもアピールしている特徴であるため、購入時にはその影も脳裏によぎりそうである。

質感が高く所有感がいい、ロゴもおしゃれ

 外観を見てみよう。見た目はシンプルかつオーソドックスだが、全体の質感は高く、所有する満足感が得られるできだ。ハウジングにあしらわれた「SONOS」のロゴは上から見ても、下から見ても「SONOS」であるため、ケースに収納した状態、実際に装着した状態のどちらでもユーザーに正対する。

SONOSのロゴは逆から見てもSONOSだ
コンテンツキー

 また、「コンテンツキー」という上下スライド+押し込み対応のスイッチなど独自の操作部材も備えていたり、左右を分かりやすくするために右側と左側の色を少し変えてあったりして、操作性やデザインも気が利いている印象だ。

よく見ると左右の色が違うのが分かるだろうか?

 個人的には高級感を感じさせるブラックが好きだが、ホワイトも人目を引くだろう。マグネットでケースにつく、ケーブル収納用のアクセサリー類の仕上げも含めて、よく考えられたデザインだと思う。

 なお、コンテンツキーは、単体で再生や一時停止、音量の調節が可能だが、長押しすることで「スワップ機能」も使える。後述するが、Sonos Aceは、「Sonos Arc」などSonos製のサウンドバーとの連携もアピールしており、屋外ではスマホとつないでSonos Aceで聴いていた音楽を、自宅に着いてすぐにSonos Arcから流すことができるようになっている。また、その逆にテレビにつないだSonos Arcで楽しんでいた映画の音をSonos Aceに切り替えて楽しむということもできる。

ホワイトモデルは内部がグリーンになっておりおしゃれ

 こういった機能を持つ点は、ただ高級なヘッドホンと言うだけではなく、独自性が高く新しい機能を備え、新しい使用シーンを提案、ライフスタイルのストーリーを変えるポテンシャルを持っていることを感じさせる。Sonos初のヘッドホンは、ただ単に高級なヘッドホンというだけではないのである。

映画が楽しい! Sonosらしいシネマ体験

 この記事ではこうした特徴を持つ、Sonos Aceの魅力をできるだけ率直に伝えたいと思う。Sonos ArcとSonos Aceを組み合わせて、映画の音を中心に試聴してみた。

 Sonos AceとSonos Arcの連携に関しては発表時にも記事にしているが、一般的なBluetoothによる接続でテレビにヘッドホンをつなぐのではなく、テレビとHDMIにつながったサウンドバーとヘッドホンを1対1のWi-Fi通信でつなぐ。その結果、テレビにつながった様々な機器の音をヘッドホンで楽しんだり、テレビで再生しているサラウンドオーディオをヘッドホンでも存分に楽しめになるようになるというものだ。

Sonos Arcと組み合わせた

 ここでポイントとなるのは、サウンドバーの高い計算リソースを活用することで、テレビから出力された音声信号を最大7.1.2chにアップミックスしたり、Sonos Aceに適した形でバーチャルサラウンド化して伝送したり、ヘッドトラッキングによってSonos Aceを装着したユーザーがヘッドホンを付けているのを忘れているほど自然に空間を感じたりできるという点である。

 Sonos Aceには、周囲の音を聴く「アウェアモード」があるが、このモードにしてSonos Arcで再生中の音をSonos Aceに切り替えると、一瞬その音がヘッドホンから鳴っているのか、サウンドバーから鳴っているのか分からないほど、自然で驚く。アウェアモードは周囲の音も耳に入る分、姿勢が変わったり、顔の向きが変わっても、テレビのある前方向から音が届くことが変わらないことを実感できる。その意味ではヘッドトラッキングと相性が良いが、慣れてくるとノイズキャンセルモードでも音が自然であることに気付き、ヘッドトラッキングがあることの利点を感じる。

 サウンドバーとヘッドホンの聞こえ方は当然異なるが、同じSonos製品であるためか、近い雰囲気になっており、違和感も少ない。このヘッドトラッキングに関する処理は、Sonos Aceのセンサーから取得した姿勢の情報をSonos Arc側で処理する仕組みになっている。だからこそできる精度と言えるだろう。

 なお、Sonos Aceはドルビーのヘッドトラッキングにも対応しているので、iPadなどで再生中のNetflixの動画でも適用できる。

しっかりとした音質チューニング

 実際の音質だが、セリフなど人の声はかなり細かい子音まで拾い、プロ機器などに多いチューニングに感じる。イメージとしては、ヘッドセットなどで、近めのマイクで声を拾った時のような音の近さ、細かさがある。

 テレビで映画などを観る際は、少し距離が離れる。そのためかたまに音が途切れることもあるが、映画や音楽などを迫力あるサウンドで楽しめる。割合ニュートラルな雰囲気だが、低域はかなりしっかりしていて重量感やビート感がある。

 Sonosアプリを利用することで、空間オーディオのオン/オフに加えて、ヘッドトラッキングのオン/オフの切り替えもできる(当然だが、ヘッドトラッキングのオン/オフができるのは、空間オーディオをオンにした状態でとなる)。当然のように、その差はかなりあるので、店頭デモなどを体験する機会があるのなら、ぜひ実機で確かめてほしい。

アームはハウジング内に収納されていく仕組み、シンプルな見た目もいい

頭上から雨が降り注ぎ、後方まで音がしっかりと回る! 

 サラウンド感に関してだが、Dolby Atmosで制作されたコンテンツではきちんと音が回り込んでくる。自分を中心に前方から背後に回り込み、また前方に戻っていくような音の動きも後方の距離感はやや近めなもののしっかり感じ取れるし、雨が降ったり、ヘリコプターが頭上で旋回しながら移動したりするような表現もしっかりと再現する。低域もかなり濃く、爆発音などの迫力や硬い金属を叩いた重量感(低域の太さと高域の伸びの両方が必要)なども良い。

 音に包み込まれるという感覚ではサウンドバーも優れているが、前方から鳴る関係で音場の広さは示せても、背後に回り込むような音の動きは完全に再現できない。Sonos Arcの場合はワイヤレスでリアスピーカーの追加もできるが、Sonos Aceの場合はリアスピーカーを設置せずに自分を中心としたさまざまな位置から音を感じられるので、より優れたサラウンド感を味わえるという面もある。

 この感覚は、例えばボヘミアンラプソディーの終わり近くのライブシーンなどでも有効。ステージを中心に広がる音だけでなく、自分の背後にいる人々の歓声なども感じられるので、自分もライブ会場にいて、群衆の中でステージを見ているという実感がわく。

 すでに述べたように、Sonos Arcで再生中の音はコンテンツボタンの長押しすることで、Sonos Aceの音に切り替わる。サウンドバーでは音が聞けない深夜や別の家族がいるリビングで映画の世界にひとり没頭したい場合もすぐにSonos Aceに切り替えられる。さらに、上下で音量調節ができるのもなかなか便利だ。

 Sonos Aceを使って、ヘッドホンで映画の音を楽しむという提案はなかなか楽しい。

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