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ソニーがブラビアの2024年モデルを更新、Mini LEDを積極的に推進

ASCII.jp / 2024年7月12日 10時49分

 ソニーは7月12日、ブラビア(BRAVIA)シリーズの新製品4機種12モデルを発表した。価格はすべてオープンプライス。8月10日から順次販売を開始する。

訂正とお詫び:より正確な内容にするため本文の一部を修正しています。(2024年7月12日)

XR90(77インチ)、スタンドは狭い幅で低く
XR80(65インチ)、スタンドは下にサウンドバーを設置できる高さ
XR70(85インチ)、スタンドは幅を狭くしてサウンドバーを設置できる新しいポジション
海外では昨年から販売していたA95L(65インチ)、幅広で低いポジション

 2024年モデルとして投入するのは下記の通り:

 Mini LEDバックライト搭載の4K液晶テレビ「XR90」(65型66万円前後、75型82.5万円前後、85型110万円前後)と「XR70」(55型35.2万円前後、65型44万円前後、75型55万円前後、85型71.5万円前後)、有機ELパネルの「A95L」(55型60.5万円前後、65型77万円前後)と「XR80」(55型41.8万円前後、65型55万円前後、77型93.5万円前後)。

 いずれも、ソニー独自のプロセッサー「XR」を搭載している。発売日はXR90とA95Lが8月10日、ほかが8月31日。

 従来は有機ELが「A」、液晶が「X」などパネルの種類で型番が変わったが、新モデルでは有機ELパネル、液晶パネルを問わず、XRプロセッサー搭載モデル間での上位/下位で設定した型番になっている。なお、QD-OLED採用のA95Lはこのルールから外れるが、海外では2023年から発売されているモデルであるため。

 加えて、サウンドバーなどと同様にマーケティングネームを設定。テレビとサウンドバーが一体となった訴求をしていく。具体的には「BRAVIA 9」(XR90)、「BRAVIA 8」(XR80)、「BRAVIA 7」(XR70)だ。

サウンドバーとテレビを一緒に組み込める壁掛け金具なども用意する。一体化したフレームに取り付けることで、連動したスイーベル動作も可能となっている。

 これらの機種では「CINEMA IS COMING HOME」としてブラビアとサウンドバーをパッケージ化した映画軸の訴求を継続。77インチ、85インチクラスの大画面モデルを用意している。

 一方で、4K Mini LEDバックライトモデルのXR70には、比較的小さな55インチモデルも用意されている。Mini LEDバックライトの機種ではこれまでなかったサイズでユーザーの裾野を広げようとしている。実はXR70は昨年のフラッグシップ機「X95L」とほぼ同等で、新しいXRプロセッサーの処理を利用できるようにしたものだ。

 従来機種の性能をスライドしつつXRプロセッサーをより深く使いこなしたXR70と、より上質な画質と音質を目指したXR90の2シリーズ展開とすることで、4K Mini LEDバックライト搭載モデルを大きく拡充したのが、2024年版ブラビアの特徴となる。

各機種が共通して持つ機能

 画質面のポイントは、プロセッサーXRの活用をさらに進めて高画質化を目指していること。特に映像の認識処理の向上を図っている。具体的には「緑色の検出」「顔検出」の強化だ。緑色の検出では単純に緑色のエリアを認識するのではなく、木かどうかまでを含めて認識して実体感、立体感、精細感を上げる処理を加える。顔検出についても、正面だけではなく、横から見たり、ズームしたりした状態、さらには大人数がフレームに収まっている状態でもしっかりと顔の部分を認識し、その色合いや表情を伝えられるようにしている。

パネル輝度の違いによって、画の華やかさに違いが出る。赤の色再現の濃厚さに加えて、写真では伝わりにくいが、靴に付けられた装飾の輝きなどではかなり高い輝度が出ていて、全体のコントラスト感や鮮やかさが増している。

 新モデルと旧モデルの違いを中心にさまざまなコンテンツで比較した場合、例えば、ゴルフ中継のフィールドなどの緑の多い画の表現の違いは明確だ。グリーンの部分のグラデーションのきめ細かさであったり、グリーンとフェアウェイの芝目の対比であったりと、描き分けについて新旧の違いは大きい。全体に緑は従来よりも濃厚な再現となり、他社の製品と比べても明るく感じられる。加えて、輝度の向上は風景において、山の岩肌や遠景と近景の距離の差による立体感、奥行き感の再現などディティール再現の違いにも効いてくる。XRの進化の影響は人間が意識しやすいちょっとした部分に効いてきそうだ。  

右が従来モデルのX95L、左が新モデルのXR90。肉眼で見るとより明快だが、XR90の画は全体に明るく、緑が鮮やかで、人の顔も健康的に見えた。

 さらに、「スタジオキャリブレーテッドモード」(Studio Calibrated Mode)の対応サービスも拡充した。これはもともとNetflixに最適化した映像モードとして始まっているが、その後、IMAX EnhancedやDTS音声への自動切換えができる「SONY PICTURE CORE画質モード」が追加され、さらにAmazon Primmeビデオ向けに、映画だけでなくスポーツ中継など様々なコンテンツを部屋の環境に合わせて最適化して表示できる「Prime Videoモード」が新しく追加された。Amazonが提供している画質APIを利用して、コンテンツの種類を判別し、それに合った映像設定を選択するもののようだ。

Prime Videoモード

 AIを活用して人の声の成分だけを抽出できる「ボイスズーム3」も強化ポイント。動画コンテンツ内の音声から、声の成分だけを認識・抽出して、その声だけを好みの音量に調節できる機能だ。具体的には、歓声が大きなスポーツ観戦で聴きにくくなりがちな実況の音声を調節したり、声を聞き取りにくく感じている高齢者などに便利な機能と言える。

 ちなみに、こういった機能は声を強調することが主眼になりがちだが、ボイスズーム3では、抽出した人の声を敢えて落とし、スタジアムの歓声だけを大きくすることもできる。また、サウンドバーから出る音をテレビ側から調整できるのも特徴だ。

ボイスズームの調節はクイック設定から呼び出せる。

 サウンドバー連携では、テレビ内蔵スピーカーからも音を出すことで、声などの定位位置を画面に合った高さにできる「Acoustic Center Sync」も強化。自動でテレビとサウンドバーの音響調整をし、より一体感のある音声が楽しめるようにしている。

 「ブラビアコネクト」アプリを通じて、スマホとテレビをペアリングし、スマートフォンを使ったテレビ操作も可能となった。このアプリでは、サウンドバーの音質設定の変更もできるが、テレビも一貫して操作できるため、より統合感が高まる。

 付属リモコンも変更され、専用ボタンに「FOD」が追加されている。代わりに「My BRAVIA」の位置が下部に変更し、停止キーを省くなどレイアウトに調整が加わった。エコと言う観点では、再生プラスチック材料の割合も増やしている。

新旧の付属リモコン
My BRAVIAの位置が下部に変更となり、停止ボタンが省かれた。

 従来機種同様、「BRAVIA CAM」を接続すると、自動が画音質調整が可能となる。環境光による自動調整機能で、光や壁の反射を加味した画質調整をカメラを使って簡単にできる。「PSリモートプレイ」では、接続したブラビアの通信機能を活用して他の場所からPSを遠隔操作できる。入力設定に最初から登録されているため使いやすい。

BRAVIA CAM

 デザイン面では、4ウェイスタンドを装備。従来も3ウェイスタンドとして、外側に広く、内側に狭く、さらにサウンドバーを置けるよう外側に広くしてで高さも上げるポジションが選べたが、新機種では内側スタンドでサウンドバーを置ける高さを確保するポジションも用意している。狭いテレビラックで、かつ奥行きが取りにくい環境で有効だ。サウンドバー側にスペーサーを入れて、底を少し持ち上げることで、テレビの脚をサウンドバーの下に潜り込ませるという工夫がある。

機種別の進化ポイント

4K Mini LEDバックライト搭載のフラッグシップがXR90(BRAVIA 9)

 4機種のうちXR90は、Mini LED搭載のフラッグシップ機で、豊富な高画質化技術がポイント。特に注目したいのは、Backlight Master Driveの進化だ。ピーク輝度とバックライトコントロールの精度の向上で高い映像美を感じ取れる。また、エリア制御のためにソニー独自のLEDドライバーをソニーセミコンダクターと共同開発して搭載。緻密なコントロールが可能となった。デバイスはゴマの1/4程度と非常に小型で、これを多数配置して、多くの分割数を可能にしている。また、基板レイアウトの効率化や低消費電力化にも貢献。輝度は高くなったが、全体の低消費電力は下がっているという。数値的には約1.5倍のピーク輝度高輝度化とXR Contrast Booster 30による高コントラスト化も果たした。

ソニーは最近、4000nitの高輝度に対応したマスターモニター(HX3110)をリリースし、制作現場にも徐々に浸透しつつある。最先端のハリウッド作品では4000nitの環境を活用したグレーディングも出ているが、XR90はこれに匹敵する輝度表現が可能だ。例えば夕日などの輪郭表現、明るい空に浮かぶ雲の階調性などが確実に表現できる。
写真はバックライトが置かれた基板、中央の非常に小さな部品が新しいコントローラーだ。エリアコントロールの分割数も倍となり、細かさはK型番の従来機に比べて3倍になった。ちなみにコントローラー側で対応する階調も22bitとかなり高い数字になっている。エリアコントロールの精度についてはバックライトだけを見たデモも観られたが、精細化することによって、暗い画面に浮かぶシャンデリアなどでフレアや明るいところと明暗部の帯の沈み込みなどが、バックライトだけで分かるほどの緻密さだった。
ビームトゥイーターを装備している。ビームツィーターとフレームツィーターの組み合わせで高域が持ち上がるためか、解像感が増し、こもりのない音が感じられる。
従来のフレームトゥイーターも併用、設定ではビームトゥイーターの効かせ具合を調整できる。X95Lも量感があって中低域を重視した充実のサウンドという印象だったが、XR90では両方のツィーターを同時に使用しており、それに合わせた音圧の調整をしていることもあり、高域の明瞭感に差が出る。

 音質面では、昨年モデルが搭載していたフレームトゥイーターに加えてビームトゥイーターを背面上部に搭載した。画面から音が出ているような包み込まれる感覚が得られる。サイズは65型、75型、85型の3サイズ。

4K Mini LEDバックライト搭載で昨年モデルと同等機能を持つXR70(BRAVIA 7)。スタンドは内側のハイポジションとして、サウンドバーを下に置きやすくしている。

 Mini LED搭載の下位となるXR70は、Backlight Master DriveのICが前世代、高コントラストか処理もXR Contrast Booster 20となるものの、現行のハイエンドモデルX95Lと同等のパフォーマンスを誇る戦略モデルでもある。また、XRプロセッサーの進化によって、画づくりに関してはXR90に近い進化したものになっている。サイズは55型、65型、75型、85型の4サイズ。

有機ELテレビのフラッグシップ「A95L」と従来の「A95K」の比較。肉眼で見ると、輝度が上がっていることで全体に鮮やかな表現となり、緑の瑞々しさも変わっていることを確認できた。
有機ELテレビでは最も売れると思われる「A80L」

 有機ELのA95LはQD-OLED搭載の有機ELフラッグシップテレビ。海外では昨年から販売している。従来機との比較でピーク輝度は倍ぐらい出せるという。サイズは55型と65型の2サイズ。XR80は「A80L」の後継でXR Contrast Booster 15により、ピーク輝度が1.2倍ほど向上している。サイズは55型、65型、77型の3サイズ。

A80は背面の美しさにもこだわっている。薄さに加えて余計な突起などもなく、タイル状の模様も構造物的な美しさがある。

 全体のラインアップとしては「A90K」「X90L/X90K」「X85K」「X80L」「X75WL」などが継続している。合計で有機EL3シリーズ、液晶6シリーズの展開だ。明るい環境下での画の見え方を含めて高画質を訴求していきたいという。特に77インチ、83インチの有機ELテレビは高価になりがちでもあり、大画面のMini LEDテレビをフラッグシップとして重点を置いていきたいそうだ。

 なお、フラッグシップとなるXR90と、有機ELの最上位「A95L」の比較では、画の締まり感は有機ELのほうがよく自然さや落ち着きがある。XR90は全体に明るくビビッドな色彩感がある。比較的明るい場所でテレビを観るリビングであれば華やかさがあるし、全体にパキッとした明瞭感もあって好印象だった。価格、画面サイズ、画質などのバランスからXR90をフラッグシップに置いたソニーの意図も十分に理解できるできであった。

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