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Lunar Lakeは「Snapdragon X Eliteを凌駕し、x86だが電力効率が良い」とインテルCEOが断言

ASCII.jp / 2024年6月6日 12時0分

 台湾・台北で開催中のCOMPUTEX 2024にて6月4日に行われた基調講演にインテル CEO パット・ゲルシンガー氏が登壇。同社のサーバー用プロセッサー最新モデルの「Xeon 6シリーズ」や、今年の後半に市場投入を予定しているモバイルPC向けのプロセッサー「Lunar Lake」についての発表を行なった。

COMPUTEX 2024の基調講演に登壇したインテル CEO パット・ゲルシンガー氏

10代の若者なら10秒に1回くらいはサーバーにアクセスしている

 冒頭でゲルシンガー氏は、「初めてのCOMPUTEXは1981年で、翌年の導入に取り組んでいたのは80286」と、80286を掲げつつインテルとCOMPUTEXの関係に触れ、「80286には10万トランジスタが搭載されているが、今では10億トランジスタに。ムーアの法則は健在」と、これまでとこれからの進化が、綿綿と続いていることをアピール。

80286を掲げるゲルシンガー氏

さらに「来年のCOMPUTEXでは、インテルと台湾の40周年記念パーティーを開催する予定」と話している。

 ゲルシンガー氏は続いて、テータセンターについて話し、サーバー向けの新プロセッサーでEコアだけで構成された「Xeon 6 6700E」を発表。Xeon 6 6700Eは基調講演が行なわれた当日より販売開始となり、今後はPコアを搭載した「Xeon 6 6900P」などがリリース予定となっている。

ステージ上で「Xeon 6 6700E」を披露

 Eコア搭載のサーバー向けプロセッサーをリリースすることについて、ゲルシンガー氏は「スマートフォンの普及により、よりサーバーにアクセスする機会が増えている。10代の若者なら、10秒に1回くらいはアクセスしているかも」と語り、サーバーへのアクセス増大が「電力およびエネルギーソリューションに対する需要がますます高まるにつれて対処しなければならない問題を生み出す」と説明。それゆえに、より低消費電力でもパフォーマンスを発揮するサーバー向けのプロセッサーが必要になっているわけだ。

 ゲルシンガー氏は「第2世代のXeonと比較すると1秒あたりのフレーム数は、Xeon 6では最大4.2倍のパフォーマンス向上が見られ、消費電力を最大60%削減する」と説明。「Xeon 6 6700E」は、現在のデータセンターが抱える、サーバー設置の物理的スペースの問題と電力消費の問題を解決できるプロセッサーであるとしていた。

 加えて、最近のデータセンターの重要な役割とも言える「AI処理」について、こちらも最新のAIアクセラレーター「Gaudi 3」での対応をアピール。ライバルとなるNVIDIAの「H100」と比較し「H100よりも高速な推論が可能で、約2.3倍のパフォーマンスとスループットを実現する。さらに価格面でもGaudi 3は1ドルあたり2倍のパフォーマンスを発揮することが期待できる」と話していた。

「Gaudi 3」を紹介するゲルシンガー氏

Lunar Lakeは過去25年間で最もエキサイティングな瞬間 COMPUTEX 2025ではPanther Lakeがパワフルに動き出す

 コンシューマー向けの発表としては、今年の後半にリリースが予定されているモバイル向けのプロセッサー「Lunar Lake」について言及。ゲルシンガー氏は「過去25年間で最もエキサイティングな瞬間。25年前にはWi-Fi規格が完成した」とし、「その約2年後、Centrinoが発売され、すべてのコーヒーショップやホテルにホットスポットが設置され世界が変わった」と過去の大きな変革について言及した。

市場に出ている各メーカーのCore Ultra搭載機を紹介

 ゲルシンガー氏は今の「AI PC」はこの変革に匹敵するものとし、「2028年までに全PCの80%がAI PCになると予想しており、インテルはその先頭に立っている。Core Ultraは、昨年12月の発売以来、すでに800万個のデバイスを出荷している」と語った。この流れをさらに加速させる起爆剤としての新プロセッサーが「Lunar Lake」というわけだ。

 ゲルシンガー氏はLunar Lakeについて「CPU、GPU、およびNPU用の新しいIPブロックで、これにより、業界で最も多くの次世代AIが採用される。すでに80社以上の設計があり、20社のOEMが第3四半期に出荷と量産を開始する予定」と話している。

 さらにゲルシンガー氏はLunar Lakeについて「次世代のLion Coveプロセッサーは、IPCが大幅に改善され、高いパフォーマンスを提供すると同時に、電力効率も劇的に向上している。すでに素晴らしいチップだったMeteor Lakeのほぼ半分の電力で高いパフォーマンスを実現している」と説明した。

 そして「GPUもパフォーマンスが50%向上。それに加えて、最大48TOPSのパフォーマンスまで強化されたNPUで強力なAIコンピューティングパフォーマンスを実現できる」と話している。

Lunar Lakeのアピールポイント

 またライバルと目されるクアルコムの「Snapdragon X Elite」を引き合いにし「CPU、GPU、AIのパフォーマンスにおいてSnapdragon X Eliteを凌駕している。特にプラットフォーム全体のAIパフォーマンスでは、120TOPSという驚異的な性能を発揮している」とアピール。さらに「Lunar Lakeは互換性の問題は必要ない、最高級のx86だ。すべての企業、すべての顧客、すべての過去の推進力と機能がシンプルに機能する」と協調していた。

Lunar Lakeは「最高級のx86」自信を持ってアピール

 さらに「x86は電力効率では勝てないと言う人が多くいる。Lunar LakeはMeteor Lakeよりも最大40%低いSoCパフォーマンスという前例のない電力効率を提供する」と、X86はバッテリーが持たないという迷信を打破するプロセッサーであると断言。「IPCイノベーションのフラッグシッププラットフォームであるLunar Lakeは、性能、互換性、アプリケーション、ソフトウェア対応、電力効率と比類のない組み合わせ。私たちはIPCにコミットしている」と話していた。

ゲストとして登壇したASUSのジョニー・シー会長は「ハイブリッドAIへのパラダイムシフトが加速し、ユビキタスAI時代のビジョンが真に実現されると信じている」と語った
ゲストとして登壇したACERのジェーソン・チャンCEOは、Lunar Lake搭載のノートPCを披露

 今後ロードマップについては、デスクトップ向けArrow Lakeを今年後半にリリースとのこと。Lunar Lakeの後継となるPanther Lakeについては、2025年にリリースと発表。ゲルシンガー氏は「COMPUTEX 2025では、Panther Lakeがパワフルに動き出す」と話しており、来年のCOMPUTEXもインテルの動きから目の離せない状況となりそうだ。

今後のロードマップもあらためて公表された
Panther LakeはIntel 18Aでの製造をアナウンス
「COMPUTEX TAIPEI 2024レポート」

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