話題のガラケー風テンキー付き折りたたみスマホを使う かけ放題付き格安SIMとの相性は良し
ASCII.jp / 2024年6月9日 12時0分
「motorola razr 40s」で折りたたみスマホを使い始めた筆者だが、折りたたみと言えば、ガラケー風スマホもあったことを思い出して実際に購入。使い勝手はどうなのかを調べた。
最新の折りたたみケータイ風スマホ「Mode1 RETRO II」
折りたたみスマホを使うようになって、昔のテンキー付きの折りたたみケータイは非常にコンパクトで、通話もしやすかったことを思い出した。
というわけで、今回購入したのが昨年10月発売のケータイ風スマホの「Mode1 RETRO II」(大手ECや量販店での価格は2万9800円)。P-UP Worldが提供する「型はガラケー、中身はスマホ。」とうたう製品で、内容はスマートフォンなのだが、テンキーなどの物理ボタンがある。一方で、液晶部分はタッチパネルになっている。
見た目も手にした感じも折りたたみケータイそのものだが、キーボードを見るとAndroidのナビゲーションボタン(←○□)が物理ボタンとして並んでいる。その下には発話/終話ボタンがあり、終話ボタンが電源ボタンを兼ねているところもケータイっぽい。
本体にはストラップホールも用意されており、やろうと思えば昔のようにジャラジャラとストラップを付けることが可能。外観上はレザー調の貼りものがあることでレトロ感を演出しているのだが、それは筆者は不要に感じた。高い年代層の利用を想定している面もあると思うが、後述するように操作自体は従来の折りたたみケータイとはかけ離れているからだ。
一応スペックを紹介しておくと、プロセッサにMediaTek Helio G85、メモリーは4GB、ストレージは64GB。プロセッサは2020年登場のもので当時はミドルクラスだったが、現時点では普通に使える最小限度と考えたほうがいいだろう。Androidのバージョンは13。
画面は約3.5型と小さいが、解像度は720×1440ドットで、粗いという印象はなく、むしろ小さな画面に緻密な表示という印象を受ける。
通話機能はすぐ使える グーグルの同期機能のおかげで連絡先の登録は問題無し
折りたたみケータイとしては、まず最初に試したいのはやはり通話機能。昔のケータイと同じく、テンキーの数字ボタンを押すと通話アプリが立ち上がる。そのまま電話番号を続けて入力し、発話ボタンを押せばすぐ電話をかけられる。
ただ、電話番号を打ち間違えたときに終話ボタンを押しても何も起こらないのが昔のケータイと少し違うところ。ダブルクリックすれば通話アプリが終了、すなわちホームボタンを押したことと同じ状態になる。
電話帳機能は、登録したGoogleアカウントの電話帳を参照できるので、ここは従来のケータイよりも便利だ。スマートフォンからMode1 RETRO IIに移行してもGoogleアカウントだけ設定すれば、すぐフル活用できる。
形状的にも電話がしやすく、かけ放題の利用に独自アプリを必要としない格安SIMと組み合わせれば、通話用に大変便利だろう。
ただし、楽天の国内通話かけ放題で用いる 「Rakuten Link」との相性はよくない
やや問題が生じるのは、独自の通話アプリが必要なケースだ。かけ放題でオトクと言えば、基本料金にかけ放題が無料で付いてくる楽天モバイルが思いつくが、通話定額の利用にはRakuten Linkアプリを使って発信する必要がある。
ところが、Rakuten Linkアプリと本機の相性はかなり悪い。なぜなら、せっかくのテンキーが役に立たなくなるのだ。Mode1 RETRO IIからRakuten Linkアプリで電話を発信するには、ディスプレーに表示される数字をタッチで操作する必要がある。通話の標準アプリとしてRakuten Linkを設定することもできない。
上下ボタンは使えるので、電話帳から相手を選ぶことには使えるが、発信しようと発話ボタンを押すと標準の通話アプリが立ち上がってしまう。
そして終話ボタンも使えず、折りたたんでの終話もできない。アプリを切り換えても終話しないため、いつまでも通話状態のまま可能性もある。着信も同様で、発話ボタンで電話に出ることはできず、Rakuten Link側で電話が鳴っているのに、発話ボタンを押すと標準の通話アプリが立ち上がるということになる。
もし、Rakuten Linkと組み合わせてオトクなかけ放題ケータイを狙っているのなら、操作性にはよく注意したほうがいいだろう。顔に当てて通話しやすいという以外のメリットはこの組み合わせにはない。Rakuten Linkを使うなら、普通のスマートフォンのほうが混乱せずに使えそうだ。
慣れが必要だが、ケータイ的なキー入力は可能
物理キーを使ったケータイ的な文字入力は可能だ。ただし、少々慣れが必要となる。全角など文字種切替は物理ボタンでできるのだが、文字入力時のみの動作で、状態によっては違うアプリが立ち上がることもあるからだ。
また、画面上にキーボードが表示されることもあり、こうした事態になっても慌てずに元に戻してキー入力を続けるのには慣れが必要。ボタンの押し方によってはアプリが終了したり、意図せずに切り替わったりすることもある。慌ててホームボタンや終話ボタンを連打すると、裏でアプリが実行され続けてしまうこともあり、余計に混乱する。
入力時に画面にキーボードが出た場合は画面上のキーボードのアイコンをタッチすれば最小化して引っ込める。反対にまた物理ボタン入力時にキーボードアイコンをタッチすれば、画面上にもキーボードを表示できる。
そして、SMSのアプリやLINEなどを使うとき、メッセージを入れたあとの送信ボタンに相当する物理ボタンがない(画面をタッチすればいいだけだが)。ちなみに物理ボタン利用時に改行を入力する際は「OK」ボタンを押す。
説明書にこれらのことについて詳しく書いておらず、実際に操作したり、ネットを検索したりして、大体わかってきた次第だ。本機独特の操作になる物理ボタンによる入力については、もう少し説明が欲しかったところだ。
スマホに慣れない人はシンプルホームで 通話とSMSだけ使うのがよさそう
もし、現時点でスマートフォンを使っていない人が、3Gケータイからの移行として本機を考えているのなら、正直言ってオススメはしにくい。従来型ケータイ自体は、LTE対応タイプが普通に販売されているからだ。
LINEを使いたい、昔からのキャリアメールを「メール持ち運び」に変更して、キャリアフリーで使いたいといった、スマートフォンでしか不可能なことのために移行を検討しているのなら、周囲がサポートできるiPhoneなどにしたほうがいいだろう。物理キー入力に対応したことによる本機独自の操作性は、スマートフォンに慣れた人でも混乱する。誰も助けられないということになりかねないからだ。
そして、3.5型という画面は小さい。写真や動画の表示で、特にシニア層には辛いだろう。スマートフォンの操作に慣れておらず、今後も積極的に慣れようとしない人であれば、本機の設定アプリから極めてシンプルなホーム画面「シンプルホーム」に切り替えて、通話とSMSのみという状況で使うのがよさそうだ。
マニア的には貴重な物理2枚SIM対応もうれしい 通話に便利なのは間違いない
一方で、Mode1 RETRO IIは、マニアがノスタルジック的に使うのなら非常に面白いスマートフォンだとも思っている。
なぜなら、通話がしやすいのはもちろんのこと、物理2枚SIMの貴重な機種でもあり、LTEだけの対応(5G非対応)にはなるもののテザリング機としてモバイルルーター風の使い方も可能だ。パフォーマンスも明らかなローエンドではないため、そのほかの用途でも現在のところ普通に利用できる。
買いやすい価格で、比較的コンパクト。折りたためば誤操作の恐れも少ない。カバンに放り込んでおく予備機として、おもしろい1台となるかもしれない。
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